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(2)株式会社エコライフ土佐
■(株)エコライフ土佐について
・親会社は四国内に展開するスーパーマーケットの“サニーマート”
・平成13年4月創業、資本金1,000万円、年商約1億5,000万円
・もともとはインゴット化処理していたが、住民からのクレーム(臭い)もあり、新たなリサイクル方法を模索。天然素材から抽出し作られたリモネン液を用いた本システムを採用
・エコライフ土佐は、「ゼロ・エミッション構想」を基軸に策定された高知市「エコタウンプラン」の一環として、四国初の「エコタウン事業(通産省創設)」承認を受けた事業所である
■処理システム(「Orange-net」システム)の特長について
・環境に優しいシステム
・処理の過程で廃棄物のでない完全なリサイクルシステム(マテリアルリサイクル)
・設備投資が高く、コスト面に課題
■処理コスト等について
・パテントを含むプラント建設費に約3億円
・施設の維持管理費(人件費を除く)に約100万円
・溶解回収車は導入していない
・営業エリアは関東以西で、県外からの受け入れは、基本的に現地で溶解
・昨年度(2005年度)の処理実績は、月間平均で約57トン(目標は60トン)
・時間処理能力300kg/hの1日16時間稼働
■事業採算性等について
・採算性に関しては、処理量の確保が一番の課題となっている
・処理費用は、リモネン液に溶解済のもの(液状)で30〜40円/kg、未溶解のもの(固体状)で120円/kg(ともに、輸送費別)
・溶解液のろ過残渣(シール、ビニールなど)が400kg/月程度発生(産廃処理)
■再生製品の性能等について
・高品質のリサイクル・ポリスチレンが得られるが、再生製品にはやや青みがかった色が残る
・再生製品(ペレット)はトンあたり8〜9万円で売却
・売却先は積水化成品工業(茨城)、日本GEプラスチック(栃木)
・処理後のリモネン回収率は97〜98%
■環境・安全面について
・環境・安全面で苦情を受けたことはない
・臭い対策として、排気を活性炭処理(リモネン原液の臭いは強いが、繰り返し使っていくうちに弱くなる。ただし、溶解力はさほど落ちない)
・魚箱等洗浄水の排水対策を実施
■適用条件について
・魚箱、緩衝材を処理の対象としているが、貝殻等の除去が必須
・現状、全処理量の6割程度が高知県内の中央市場等で発生する魚箱となっている
・難燃剤入りのものは処理不可
■開発補助について
・処理設備は高知市「エコタウンプラン」による補助(事業費の1/2)を受け設置。土地は市からの借り受け
■環境への取り組み(環境ISO: ISO14001)について
・未取得
■漁業用発泡スチロール製フロートの受け入れについて
・基本的に、フロートの受け入れは考えていない
・需要に応じてフロートの処理を試みたが、付着した貝殻の除去が問題となった。海水や海藻の付着はさほど問題ではなかった
・フロートはまた、その大きさが問題(大きすぎる)で、切り刻むなどの前処理が必要となるため、コスト高となる。さらに、かさばるために輸送コストがかさむ
・現地でリモネン液に溶解したものを受け入れるということは考えており、漁協等へ減容機の販売を行ったこともある
■その他
・リモネンは(株)テーイーエスより購入。400円/kg程度
・インゴット化されたポリスチレンの溶解は通常の方法では無理。また、溶解させたとしても、熱などが加えられているため、高品質なポリスチレン・リサイクルは不可
 
<現地写真等>
 
(株)エコライフ土佐
 
リサイクルフロー
 
(株)エコライフ土佐の資材回収システム
 
回収された魚箱
 
 
 回収された魚箱等は、ビニール(シール)などを取り除いて洗浄した後、リモネン熔解槽へと送られる(サイズの大きいものは切断した後、同様の処理)。
 
EPS再生設備用水洗装置(制御盤)
 
魚箱等から除去されたごみ
 
発泡スチロール溶解槽
発泡スチロール溶解槽
 
溶解槽下部に取り付けた活性炭脱臭装置
 
溶解槽内の様子
(槽内では、魚箱等がリモネン液下に沈むようプロペラが回転している)


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