コラム
不意に水に落ちたとき
夏は、水辺で楽しむ機会が増えます。一方で、誤って(あやまって)陸(りく)から水に落ちおぼれる事故(落水事故)も多くなります。マリンスポーツや海水浴(よく)の場合を除いて、服やズボン、靴(くつ)などを身に着けたまま、落水することがほとんどです。
新聞などではよく、事故の目撃者のコメントとして、「スーッと水の中に沈んで(しずんで)いった」と掲載(けいさい)されます。衣服を着ていると、通常の泳ぎができないからです。
昔の人は、落水事故の恐ろしさを「河童(かっぱ)に足を引っ張られる」と表現し、注意をしてきました。
もし、自分が落水してしまったら
1. まず、息をつなごう
(1)泳げる人も泳げない人も、「あわてないで、まず落ち着く」。
●着ている物が水を含んで体が一気に重くなります。
●激しい動きは、衣類の中の空気がぬけ、加えて体力を消耗(しょうもう)します。
●助けを求めて水面に腕を出そうとすると、反動で体が沈みます。
●突然のことで、鼻や口に水が入っても、少し我慢(がまん)しましょう。
(2)体の力を抜いて、あお向けで背浮き(うき)になる
●あお向けになるように、バランスをとろう。
●波で顔を洗われても、顔(口・鼻)を出して息をすることに集中しよう。
●直立は、衣類の中の空気が一気に抜け、体が重くなります。
2. 落ち着いてきたら
(3)衣類はぬがないで、周りを確認しよう。
●衣類は浮力(ふりょく)(浮く力)をためることができ、保温効果があります。
●近くに浮かぶものがあれば、活用しよう。
(例)ペットボトル・ビニール袋・ランドセル・かばん。
(4)泳ぎが得意な人も無理をしない。
●衣服を着ていると普通に泳げません。
●背浮きのまま水をかいて、少しでも岸に近づこう。
助ける時は、ここに注意しよう
できるかぎり陸の上から、ロープや棒をつかまらせて助けましょう。実際に、水泳のかなり上手な人でも、助けようとして一緒におぼれています。
水に落ちてしまっても、あわてずに浮いていれば、無理なく助けてもらえますよね。
協力
特定非営利活動法人オーシャンファミリー海洋自然体験センター 代表理事 海野義明氏
小笠原ホエールウォッチング協会 森恭一氏
特定非営利活動法人日本ライフセービング協会 理事長 小峯力氏
図解
○海鳥について
フィールドガイド日本の野鳥 (財)日本野鳥の会 高野伸二 著(参考)
○小笠原のクジラとイルカについて
小笠原ホエールウォッチング協会 Megaptera
海洋生物イラストレーター 河合晴義氏
アンドリーはB&G財団のマスコットキャラクター。
「アンド」と「フレンドリー」(友情)をかけた愛称は、2003年の体験クルーズに参加した子どもたちがその名付け親です。
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