3. 個別リサイクルのしくみ
(1)容器包装リサイクル
(1)法制度および背景
2000年4月に施行された「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)に基づき、容器包装リサイクルは実施されている。
ライフスタイルの多様化や消費意識の変化等に伴い、一般廃棄物の排出量は増大し、最終処分場の残余年数が逼迫している。容器包装廃棄物は、家庭ごみに占める割合が容積比で約6割に達する。
このような背景を受けて、従来は市町村のみが全面的に容器包装廃棄物の処理責任を負っていたが、消費者および事業者がともに分担して廃棄物の減量を行うため、本制度が定められた。
なお、現在、中央環境審議会(環境省)や産業構造審議会(経済産業省)では、容器包装リサイクル法の施行後10年を経ての見直しに向けた検討が進められている。
(2)対象
容器包装リサイクルの対象は、大きく金属、ガラス、紙類、プラスチックである。このうち、容器の製造業者および容器包装を用いて中身商品を販売する事業者(特定事業者)に対して、再商品化が義務づけられている容器包装リサイクルの対象は、ガラスびん、紙パック、段ボールを除く紙製容器包装、PETボトルなどのプラスチックである。
図2-5 容器包装リサイクルの対象
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資料)(財)日本容器包装リサイクル協会ホームページ
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(3)処理のしくみ
対象となる容器包装にあたっては、毎年、市町村から提出される収集計画をもとに、全国の分別収集量が算出され、再商品化可能量と照らし合わせて、再商品化義務総量が国において設定される。これに基づき、特定事業者に義務づけられる再商品化の委託料が決定され、容器包装リサイクルが実施される。
容器包装リサイクルの実行にあたっては、通常、一般廃棄物として市町村で分別回収が行われた後、指定保管施設にて保管される。保管された容器包装は、指定法人((財)日本容器包装リサイクル協会)にて選定された再商品化事業者が引き取り、再生加工処理されて、再商品化される。
図2-6 容器包装リサイクルのしくみ
資料)(財)日本容器包装リサイクル協会ホームページ
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表2-2 再商品化の例
品目 |
再商品化 |
ガラスびん |
ガラスびん
その他(舗装用骨材、タイル、ガラス繊維等) |
PETボトル |
繊維(ユニフォーム、カーペット等)
シート(卵パック、ブリスターパック等)
ボトル(洗剤等)
その他(結束バンド等) |
紙製容器包装 |
再生紙
固形燃料
建築ボード等 |
プラスチック容器包装 |
プラスチック製品(擬木、パレットなど)
熱分解油(燃料油など)
高炉還元剤
コークス炉化学原料
合成ガス(石油化学原料、燃料) |
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資料)(財)日本容器包装リサイクル協会ホームページより三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成
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(4)処理の役割分担
従来の容器包装リサイクルでは市町村が負担していた役割に代わり、特定事業者が再商品化義務を負うことで、適切な役割分担を図ることが求められている。特定事業者は自ら再商品化は行わず、委託料を支払って、指定法人を通じて再商品化事業者に業務を委託する。なお、小規模事業者は特定事業者の対象外とされている。
指定法人となる(財)日本容器包装リサイクル協会が容器包装リサイクルの調整機能を担っており、毎年市町村から提出される分別収集計画をもとに、再商品化量を算出し、事前登録された再商品化事業者の中から入札によって、処理事業者を選定し、委託する。
表2-3 容器包装リサイクルに関する関係主体の役割
関係主体 |
対象 |
求められる役割 |
消費者 |
- |
・対象となる容器包装の分別排出
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市町村 |
- |
・対象となる容器包装の分別回収・異物除去・保管
・特定事業者以外の事業者が排出する容器包装の再商品化
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指定法人 |
財団法人日本容器包装リサイクル協会 |
・市町村からの分別基準適合物の引き取り
・特定事業者からの再商品化業務の受託
・市町村からの再商品化業務の受託
・再商品化業務の委託
・普及及び啓発並びに情報の収集及び提供等
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特定事業者 |
一定規模以上*の容器製造業者および容器包装を用いて中身商品を販売する事業者 |
・再商品化義務の履行(指定法人に再商品化を委託し、委託料を支払う)
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再商品化事業者 |
(財)日本容器包装リサイクル協会に事前登録された事業者 |
・保管施設からの分別基準適合物の引取
・容器包装の再商品化(再生加工処理)
・再商品化製品の販売
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備考*)特定事業者:総売上2億4千万円以下かつ従業員数20人以下の製造業、総売上7千万円以下かつ従業員数5人以下の商業・サービス業を除く
注)再商品化事業者は、登録事業者の中から、指定保管施設ごとに入札で選定される。
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2006年6月18日に容器包装リサイクル法の一部が改正され、再商品化を進める上で市町村が質の向上に寄与し、事業者の再商品化費用が効率化された分のうち市町村寄与による分は市町村に還元されるしくみが創設された。なお、事業者から市町村に支払われる還元額は効率化された分の1/2である。この改正は、2007年4月1日から施行される。
(2)家電リサイクル
(1)法制度および背景
2001年4月に施行された「特定家庭用機器再商品化法」(家電リサイクル法)に基づき、家電リサイクルは実施されている。
一般家庭から排出される使用済みの廃家電製品は、約半分はそのまま埋め立てられていた。廃家電製品には、鉄、アルミ、ガラスなどの有用な資源が多く含まれ、また、我が国の廃棄物最終処分場の残余容量が逼迫していることから、廃棄物の減量とリサイクルが必要となっていた。
このような背景を受けて、使用済廃家電製品の製造業者等及び小売業者に新たに義務を課すことを基本とする新しい再商品化の仕組みを構築するため、本制度が定められた。
(2)対象
家庭用のエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫及び洗濯機の家電4品目を対象とする。(2004年4月より冷凍庫が対象品目となった。)
(3)処理のしくみ
廃家電製品のリサイクルは、家電製造業者および輸入業者(以下、製造業者等)が実施する。製造業者等は対象品目の再商品化等(リサイクル)を実施する場所として、全国に42個所の処理拠点を設置(H16.10時点)し、これらのプラントに置いて、リサイクルを実施している。九州では、北九州市(西日本家電リサイクル(株))および熊本市(アクトビーリサイクリング(株))にプラントが立地している。
廃棄された対象製品は、まず、エアコンや冷蔵庫、冷凍庫に含まれる冷媒フロンやコンプレッサーなどの部品などを回収し、その後機械で破砕し、再利用可能なものは資源化し、その他は埋立処分を行う。
部品または原材料として再利用する「再商品化」にあたっては、製造業者等に対して達成しなければならない再商品化率が義務づけられており、エアコン60%、テレビ55%、冷蔵庫・洗濯機50%である。
図2-7 家電リサイクルのフロー
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