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3. 玄海諸島における航路・港湾の現状
(1)定期航路の現状
(1)航路・使用船舶
 玄海諸島に就航する定期航路について、運航区間、事業者名、航路距離、所要時間、便数、船種等を整理したものが、表2-3-1である。
 航路は7島それぞれに開設されており、複数の島に寄港する航路は運航されていない。また、船舶はいずれも旅客船(海上タクシー含む)で、フェリーは就航していない。
 運航区間および運航頻度をみると、高島へは唐津港から6便/日、神集島へは湊港から14便/日、小川島、加唐島、松島および馬渡島へは呼子港から3〜5便/日運航されている。向島へは星賀港から2便/日運航されている。所要時間は馬渡島〜名護屋〜呼子が約40分で最も長く、それ以外の航路はほぼ20分以内である。
 なお、高島、神集島、小川島、加唐島、馬渡島の定期航路は、離島など船舶以外に交通機関がなく、航路廃止によって日常生活に支障が生じるおそれのある航路として、海上運送法に基づく「指定区間」に指定されている。指定区間には、同法によって、(1)事業参入に際し、一定の便数、定員の確保などを義務づける、(2)運賃は高騰防止の観点から上限額を認可する、(3)事業の休廃止は6ヶ月前までの事前届出制とする、などの制約が設けられている。
 また、玄海諸島に就航している定期航路のうち、小川島、加唐島、馬渡島の定期航路は国庫補助航路となっている。
 
表2-3-1 玄海諸島に就航している定期航路
1)番号:図2-3-1の番号
2)航路1,2,3,4,5,7は一般旅客定期航路事業、航路6,8は海上タクシー事業(旅客定員13名未満の人の運送をする貨物定期航路事業)である。
資料)九州運輸局資料等より三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成
 
図2-3-1 玄海諸島における航路の現状
資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成
 
 定期航路の使用船舶はいずれも旅客船または海上タクシーで、その規模はいずれも100トン以下と小規模である。
 航路ごとにみると、神集島(からつ丸)、小川島、加唐島、馬渡島へは約50〜100トン、定員80〜100人の船舶が就航している。また、高島、神集島(第八ほうめい)へは約20トン、定員50〜100人の船舶が就航している。松島および向島へは約10トン、定員12人の最も小規模な船舶が就航している。
 
表2-3-2 玄海諸島に就航する船舶の概要
)番号:図2-3-1の番号
資料)九州運輸局資料等より三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成
 
(2)港湾の現状
 玄海諸島において、定期航路の就航する港湾の現状を整理したものが表2-3-3である。
 島側の港湾は、全て市が管理する漁港である。本土側の港湾は、呼子港・名護屋港・星賀港が県管理、湊港が市管理となっている。
 
表2-3-3 玄海諸島において定期航路の就航する港湾
島/本土 港名 港種 航路番号 主な相手地域
高島 高島 市1 1 唐津
神集島 神集島 市2 2,3
小川島 小川島 市2 4 呼子
加唐島 加唐島 市1 5 呼子
松島 松島 市1 6 呼子
馬渡島 馬渡島 市1 7 名護屋、呼子
向島 向島 市1 8 星賀
本土 唐津 - 1 高島
市2 2,3 神集島
呼子 県地 4〜7 小川島、加唐島、松島、馬渡島
名護屋 県2 7 馬渡島
星賀 県地 8 向島
1)港種:
県地=県管理地方港湾、県1〜4=県管理第1〜4種漁港、市1〜4=市管理第1〜4種漁港
第1種漁港:その利用範囲が地元の漁船を主とするもの。
第2種漁港:その利用範囲が第1種よりも広く、第3種漁港に属さないもの。
第3種漁港:その利用範囲が全国的なもの。
第4種漁港:離島、その他辺地にあって漁場の開発又は避難上、特に必要なもの。
2)唐津港は県管理の重要港湾だが、高島航路は港湾区域外である。
3)航路番号:図2-3-1の番号
資料)「2005 離島統計年報」(財団法人日本離島センター)ほかより三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成
 
(2)内航RORO航路の現状
 玄海諸島では、新車や本土からのトラック等、定期航路では輸送ができない貨物等を運搬するために、内航RORO船(自動車がそのまま乗降可能なフェリー型貨物船)が使用されている。内航RORO船を所有している主な事業者は2社(呼子・名護屋)である。


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