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5 安全基準の検討
 階段昇降装置が安全に使用されるため、前章で整理した「基本仕様」に基づき、ソフトおよびハードの両面から規定が必要と考えられる事項を安全基準として整理した。
 
5-1 安全基準の考え方
 斜行型階段昇降装置の安全基準を検討するにあたり、
(1)安全に関する事項
(2)操作性に関する事項 の2つの視点に分類して整理を行った。
 
 安全に関する事項については、安全上の観点で見た場合に想定される危険な事態(機器自体の異常、乗降時・乗車中の事故、故意、異常時、耐久性等)への対応を考えることにより安全基準への記載事項を整理した。
 また、操作性に関しては、階段昇降装置を使用する対象者が車いす使用者をはじめ、他の障害者やベビーカーを押す人、子供連れ等が考えられるため、「音声」や「操作位置」、「文字の表示」等の視点に基づき整理をした。
 
 以上の事項に関して、配慮すべきことや安全上、運用上の留意点を「既存エレベーターの安全基準」や「旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」、既存の基準、規格等を参考にし、安全基準への記載を整理した。
 
図5-1 安全基準策定までの考え方
 
 さらに、安全基準を整理する際の基本的な項目として、構造や制御等の一般的な安全基準の項目を挙げ、「想定される危険な事態」と共に安全基準への記載と合わせて一覧表に整理した。
 (次年度、今回作成した安全基準に基づき階段昇降装置を製作することになるが、現時点では駆動方式等が定まっていないため、設計を進める中でさらに詳細な事項が必要になってくるものと考えられる。そのため、将来的なとりまとめも想定して、安全基準に関する記載内容として整理した。)
 
表5-1 安全基準の主な項目(参考)
項目 内容
1 既存の基準・規格等 準拠すべき基準・規格等の表記
・建築基準法 ・ISO規格
2 一般事項等 一般事項として安全基準とすべき事項の表記
・定員 ・積載荷重
3 構造等 構造等として安全基準とすべき事項の表記
・重量 ・強度 ・耐久性
4 制御等 制御等の安全基準とすべき事項の表記
・安定制御 ・異常時制御
5 運用等 運用等の安全基準とすべき事項の表記
・操作方法 ・操作案内
6 環境等 環境等の安全基準とすべき事項の表記
・対候性 ・耐水、暴雨に関する事項
7 保守等 メンテナンス等安全基準とすべき事項の表記
・保守期間 ・保守内容
8 その他 その他、安全基準とすべき事項の表記
・人間工学的考え方 ・設置場所による事項 ・免責事項


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