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訪問看護の特徴
☆病院看護とは異なるものである!
・主導権は利用者にある(生活の主体は利用者である)
・ケアの場として生活(在宅)をとらえる視点
・医療は、生活の一部であるが在宅はその人の人生そのものである。
・生活の場をコントロールするのは本人と家族である
・家族および利用者を取り巻く環境の調整ができる
・関係機関との連携、資源の活用ができる(おもしろい!)
・プライバシーの尊重・人権擁護・秘密の保持に関する意識を持つ
 
精神科訪問看護の特徴
訪問看護ステーション円の現状から・・・
☆身体疾患と比較すると利用者が、自らすすんで精神医療や訪問看護を利用する事が少ない。
☆病気を自ら受け入れる事が出来ない社会の偏見や差別の歴史がある
☆訪問看護キャンセルや不在がある・・・導入時の配慮の必要性
☆行政(障害福祉課・生活福祉課・保健所等)関係機関の依頼が多い
☆複数の精神疾患及び身体疾患を抱えている世帯が増えている
☆利用者を取り巻く生活環境の問題が複雑かつキーパーソンがいない事が多い。
病院内看護とは、基本的にアプローチの仕方が異なる事を身につけ、あくまでも利用者側に立つことを原点とし「病気と付き合いながら自分らしく生活する」という日常に関わりながら生活支援の視点を持った看護をめざす。
 
訪問看護ステーション内でのケア提供体制
1、現状 八王子市 人口53万人
 
2、精神障害者への訪問サービス
 
訪問看護制度 保険医療機関の行う訪問看護 保健所の行う訪問指導
対象者 疾病・負傷等により居宅において継続して療養を受ける状態にある者でかかりつけの医師が必要と認めた者 ・入院中の患者以外の精神障害者である患者又はその家族等
・社会復帰施設に入所している患者
・精神障害者の診断後、措置入院されなかった者
・自立支援医療を受けている者
・主治医、家族等から訪問指導の依頼があった者
サービス 通院困難に陥りやすい在宅療養者(精神障害者)への生活支援を中心とした看護サービス 退院後等の病状不安定期の患者等への外来医療の一環としての看護サービス 地域に生活する精神障害者の受診勧奨、社会復帰支援等
実施主体 指定訪問看護事業者(都道府県知事の指定を受ける)医療法人、社会福祉法人、地方公共団体、NPO法人等 精神科を標榜する保険医療機関 都道府県、政令指定都市特別区
実施機関 訪問看護ステーション 病院・診療所 保健所
従事者 保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士 保健師、看護師、精神保健福祉士 医師、保健師、精神保健相談員等
費用の支払 訪問看護療養費 診療報酬
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利用手続き 指定訪問看護事業者と個人の契約 保険医療機関と個人の契約 保健所業務の一環として保健師等が対象者を公費負担制度の申請等により把握し、訪問
田中美恵子編(2004)精神障害者の地域ネットワークと看護援助−退院計画から地域支援まで P224医歯薬出版
 
3、訪問看護サービス内容(精神科)
●健康状態の観察と助言
心の健康チェック(趣味・生きがい・隣人とのつながりなど)
●日常生活の看護
療養環境の整備、コミュニケーション援助
●在宅リハビリテーション
外出・レクレェーション・生活の自立・社会復帰への支援
●精神・心理的看護
不安な精神、心理状態のケア、生活リズムの調整
社会生活への復帰援助、服薬のケア、リラックスのためのケア等々
●検査・治療促進のための看護
病気への看護と療養生活の相談、服薬管理・指導等
●家族・介護者の相談
●様々な在宅ケアサービス(社会資源)の使い方の相談
 
4、訪問看護サービスの質の向上のために
・訪問看護マニュアルつくり
・契約書等必要書類の整備と理解
(重要事項説明書・事業計画書・苦情解決システム規定 個人情報保護に関する契約書・看護記録等)
・研修参加と研修発表
(外部研修・内部研修・救急時の実習・事例検討会等)
・地域ネットワークへの積極的参加
・アンケート調査
・定期的評価
 
☆24時間ケア提供体制について
・24時間連絡体制加算(2500円)
☆利用者の同意を得て、電話等により看護に関する意見を求められた場合常時対応できる体制を整える
⇒携帯電話での対応。対応できる看護師の人数確保が必要
⇒担当看護師からの申し送り(特に土・日・祝祭日)→緊急時ノート
<対象者>
・単身者
・高齢者世帯
・希死念慮及び自傷行為のある方
・重度の合併症のある方
・主治医からの指示
☆契約及び希望時(必要時)に、24時間連絡体制について本人及び家族に充分な説明をし、納得、了承していただく。(限界設定必要である)
☆問題が起きた場合には、関係機関とのCCをもち解決を試みる。
☆緊急時の対応策を主治医と相談し、連携病院や連携クリニックの協力を得ておく。
☆電話での対応なので、限界設定を確認しておく。
 
他職種、他機関との連携について
 
訪問看護ステーションにおける他機関との連携について
〜訪問看護ステーション円〜
☆利用者紹介機関・・・精神科関係
精神科病院(12)、クリニック(13)、居宅介護支援事業所(1)、障害福祉(5市)、生活福祉課(5市)、保健所(3)、包括支援センター(↑)、地域生活支援センター(3)、社会福祉施設(作業所、グループホーム等)その他
☆事例紹介・・・医療機関以外からの紹介多い
☆ケースカンファレンスについて
・顔が見える関係になる。医療、介護のサービスの質が見える。
・退院前のCCは、入院中から本人と合えるので退院後の関係がスムーズに行われる。
(継続看護が可能、サマリーの利用)
・緊急時や問題が浮上した場合、役割分担できる
・他職種の話し合いで、包括的な支援が可能になる
・課題が整理され、支援方針が共有化できる
・丸抱えしたり、自己完結的にならない
☆連携に関して行っている事
・K病院との継続看護と退院促進の話合いや講演を行う
・八王子市生活福祉課の自立支援事業を受託
・精神科病院やクリニックの提携病院では、CCやアドヴァイスを受けている
 
緊急時の対応
・契約時、本人や家族に緊急時の連絡方法及び緊急時対応病院や主治医との連絡方法を書面にて確認しておく
⇒入院についても話し合っておく(個別対応)
⇒パンフを自宅に掲示
・緊急時の受け入れ先の提携病院や提携クリニックとの関係を作っておく
・単身者の場合、生活福祉課及び親族についても確認しておく。(医療保護入院の場合・・・市長同意もありえる)
・緊急時対応についてのマニュアル作成
・東京都精神科救急医療システムについて知っておく


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