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「DV被害をのりこえる−サポーター養成専門講座」(後期)参加者アンケート結果
(拡大画面:120KB)
 
アンケート回答数 36
<プログラム>
(1)9/17 女性と子どもの人権を守る〜関係機関とのネットワーク (中村明美さん)
(2)9/17 社会資源を生かした自立支援に向けて (中村明美さん)
(3)9/24 DV防止法をめぐる関係法の動きと司法システム (小島妙子さん)
(4)9/24 自立への道筋〜地域における支援モデルと課題 (小島妙子さん)
(5)10/7 デートDVって何?〜若者のデートに潜む「力と支配」 (山口のり子さん)
(6)10/7 加害者を知ることでDVへの理解を深める〜よりよい被害者支援をするために (山口のり子さん)
 
1. 講座内容に対する興味や関心
 6講座について、参加者に5段階で評価をしてもらった。結果は下表の通りとなった。
 
1. 全く興味がもてなかった 2. あまり興味がわかなかった 3. まあまあ興味がもてた 4. かなり興味がもてた 5. 非常に興味がもてた
1 2 3 4 5 無回答(不参加含む) 合計
(1)女性と子どもの人権を守る 0
(0%)
0
(0%)
4
(15%)
11
(41%)
12
(44%)
9 36
(2)社会資源を生かした自立支援 0
(0%)
0
(0%)
2
(8%)
16
(62%)
8
(31%)
10 36
(3)DV防止法をめぐる関係法の動きと司法システム 0
(0%)
0
(0%)
6
(21%)
11
(38%)
12
(41%)
7 36
(4)自立への道筋〜地域における支援モデルと課題 0
(0%)
0
(0%)
3
(10%)
14
(45%)
14
(45%)
5 36
(5)デートDVって何?〜若者のデートに潜む「力と支配」 0
(0%)
0
(0%)
0
(0%)
10
(30%)
23
(70%)
3 36
(6)加害者を知ることでDVへの理解を深める 0
(0%)
0
(0%)
0
(0%)
4
(11%)
32
(89%)
0 36
全体として 0
(0%)
0
(0%)
15
(9%)
66
(36%)
101
(55%)
28
 
2. 最も印象に残った講座(複数回答あり)
 6講座の中で最も印象に残った講座を選び、理由を記入してもらった。結果は下表の通り。
人数 理由(主なもの)
(1)女性と子どもの人権を守る 3
・DV被害について良く分かった。この講座のはじめとして適切でした。
・現状と課題を具体的に話していただき理解が深まった。
(2)社会資源を生かした自立支援 0
(3)DV法をめぐる関係法の動きと司法システム 0
(4)自立への道筋〜地域における支援モデルと課題 1
・弁護士の役割と司法システムのあり方、またハーティ仙台のしんこきゅうタイムの持ち方が具体的で、レジメの八嶋悦子さんの原稿がよかった。
(5)デートDVって何?〜若者のデートに潜む「力と支配」 10
・デートDVの深さ、今までの講座のなかでDVがいかにまわりに多いかに驚いた。日常生活、生き方を見直すきっかけをいただいた。
・日常にありえる映像を通して、具体的に体感できたことで、更に、理解が深まった。
・DVと違ったデートDVの明確な定義とみんながDVだと気づかないうちに被害者が出ている状況を知ることができた。防止教育、加害者プログラムの重要性を痛感した。
(6)加害者を知ることでDVへの理解を深める 22
・一人ひとりが「自分のこと」として考えるというお話。加害者プログラムに興味を持った。教育の必要性を訴える姿に共感。小さい頃からの学びが必要性です。
・DV被害者からの相談を受けたことがあり、被害者に対しての支援の重要性とともに加害者への更正プログラムについて知りたかったため。
・今まで受けた講座とは違い、加害者についても理解が少し深まったように思う。「学び落とす」のは女性も必要だと感じた。
無回答 2
合計 38
 
3. 後期の講座に参加して感じたこと
 DVへの理解が深まったか、今後もこうした講座に参加したいか、などについてまとめた結果は次の通り。
はい いいえ 無回答 合計
1)講座参加前より、DV被害について関心や理解が深まったか
36(100%) 0(0%) 0(0%) 36
2)こうした講座に、今後も参加したいか
35(97%) 0(0%) 1(3%) 36
 
2)で「はい」と回答した人に、どのようなテーマに興味があるか選択してもらったところ、結果は次の通り。(複数回答)
1. 電話・面接相談の手法(ロールプレイ) 20人(56%)
2. シェルター運営と危機管理 10人(28%)
3. DV防止法の活用と法的支援 14人(39%)
4. アドヴォケイトの実際(役所、警察、裁判所、などへの同行支援) 14人(39%)
5. ステップハウスとDV被害女性の自立支援 6人(17%)
6. 被害者と子どもの心理ケア 17人(47%)
7. 自助グループ活動の手法 13人(36%)
8. その他
・精神疾患を抱えた人の支援 1人
・加害者対策 1人
 
3)前期・後期含めて今回の講座で学習したことを、今後どう生かしていきたいか。(32名が回答、一部掲載)
・相談員として女性の立場に立った支援を基本にし、それぞれの被害者に何の支援ができるか見極めながら相談・支援していきたい。
・DVは分からないことばかりで困っていましたが、少しずつ分かってまいりました。もっともっと学びたいと思います。次回もよろしくお願い申し上げます。
・今回の講義で実際、DV被害者支援、加害者更正にかかわっている人やDV被害者本人の話を聞いて、本で読んだ知識だけでなく、DV被害の状況を学ぶことができました。現状に即したDV被害を解決するための取り組みを考えていきたい。
・仕事でかかわる子どもたちをDV被害から守りたい。
・社会資源を生かすこと、を被害者との相談に生かしたい。DV加害者への理解を被害者支援の役に立てたい。
・DVを防止するための活動や状況を聞くことができてよかった。できることから始めなければならないと思った。自立するための行政のサポートはどこまでできるかが課題と思う。
・非常に奥の深いテーマです。男性として地域社会に役立てたいと考えています。今後もDV被害者に対して支援してゆきたいと思います。
・日々の相談事務や予防に啓発、病院での児童虐待・疑・マニュアルとDV被害者・疑・マニュアルを作成していきたいと考えています。また引き続きご指導のほどよろしくお願いします。
・デートDVについては高校などでこのような講演をしてもらいたい。
 
4. 現在、支援にかかわっている方への質問。やりがいを感じるのはどのようなときか。(15名が回答、一部掲載)
・被害者の方が、何回かの相談を重ねていく過程で、明るく前向きになっていく様子を見られたとき。
・本人が、「自分でやれます」と元気になっていくとき。裁判所や警察が受け止めてくれたとき。
・自立の方向で新しい生活への一歩を踏み出していかれたとき、ホッとする気持ちになるが、特別、やりがいと考えてはいけないのかと思う。風のように流れていって良いような・・・
・「元気で子どもと仲良く生活しています」との電話をいただいたとき、本当によかったと思います。
5. 今、DV被害者を取り巻く状況の中で、最も難しいと感じる点は何か。(24名が回答、一部掲載)
・被害者の自立。経済的、就業支援、子どもの希望・転校したくないとか、友人と別れたくないなど、との調整。
・病院医療機関が、DV被害者に必要と思われる支援について認識がない。どうドクターに対応してもらうか。
・DV被害者、加害者自身が自分の周りにおこっていることをDVだと認識していない人が多い。
・被害者のPTSD回復のためのカウンセリングの場が少なすぎること。
・警察、病院、行政、県などの、一層の連携が必要であり、最も難しいことと思う。
・加害者から逃げるための、また自立するためのプロセスとしての社会資源を充実させること。
・警察。何かが起こらなければ真剣にならない。行政、司法、もっと勉強しサポートできることが大切。
・これだけ新聞などで多く取り上げられ、講座も開かれているにもかかわらず、まだよく理解されていないこと、関心のある人たちの間でしか広まっていないこと。加害者の処遇。
 
◎「被害者の自立」に関する回答 6人
◎「被害当事者・加害者のDV認識」に関する回答 4人
 
<結果>
1. 講義内容に「非常に興味がもてた」が55%、「かなり興味がもてた」が36%と、前期に続き、9割の参加者がかなり高い関心を示した結果となった。
2. 3日目の講義「(5)デートDVって何?〜若者のデートに潜む力と支配」「(6)加害者を知ることでDVへの理解を深める」に、「非常に興味をもった」と回答した参加者が集中した。DVについて学びたい、支援のスキルアップを図りたいと考えている人にとって、DVを多角的に捉え、理解を深められる学習機会が重要であることが再認識された。
3. 今後もこうした講座に参加をしたい、と考える人が36人中35人、97%であった。興味のあるテーマは、前期講座でニーズの高かった「電話・面接相談の手法」が20人と約半数を占めた。また、今回、前期・後期で直接的なテーマとはならなかった「被害者と子どもの心理ケア」が17人と次いで多く、法的支援、アドヴォケイト活動などの支援方法が各14人。さらに、今回の講座で、数人の講師から報告があった「自助グループ活動」についても、13人と関心の高さがうかがい知れた。
4. 今回、DV被害当事者、また当事者の家族が参加することで、グループに分かれた話し合いの場などで、参加者に大きなインパクトを与えることとなった。また、同時に、被害当事者や家族が、こうした講座に参加して、自らの体験を少しずつ話すことで、共感したり、応援してくれる人が大勢いることを知り、心強い気持ちになれた、という感想が寄せられた。参加した当事者や当事者の家族の方に、「自助グループができたら参加したいか」と質問したところ、5人中5人が「是非参加する」と回答した。
5. 茨城県内でDV被害者支援に取り組む唯一のNPOとして、DV被害者支援従事者の底上げ、社会資源の発掘、関係機関のネットワークの構築、といった様々な活動に、今後もしっかり取り組んでいく必要性が改めて実感される講座となった。来年度も、参加者のニーズが高かったロールプレイとあわせ、DV理解を深めるために新たな視点から連続講座を組み、支援者と被害当事者のさらなるエンパワーメントを目指したい。


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