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19. 富岳太鼓(ふがくだいこ) 竜神組(りゅうじんぐみ)」 (静岡県)
― プロフィール ―
 富岳太鼓は、日本一の霊峰富士の麓、静岡県御殿場市に所在します。設立のきっかけは1977年、社会福祉法人富岳会の理事長山内令子が、法人の施設を利用する知的障害者のセラピーとして、和太鼓に着目したことから始まりました。富岳太鼓は魂を揺さぶる「響き」、鼓動と同調する「リズム」、感情を全身で表現する「躍動」、共に打ち込む「喜び」など、打てば響く太鼓の持つ秘めたる可能性を、独自に開発した和太鼓プログラムに効果的に取り入れ、知的障害者のセラピーとして実践しています。そしてその効果は心身多面に表れ、今では障害者のリハビリテーションや社会自立のトレーニングとしては勿論のこと、障害者の文化・芸術活動にまで広がりを見せ、広く海外からも注目を集めています。
 今回の大会に出演するメンバーは、社会就労センター富岳の園の利用者と富岳の園を母体とするグループホームで地域生活を送っている利用者で構成されています。
 メンバーは、施設内での委託作業・自主生産品の作成・企業で実習を行い、社会自立を目指している人や自立してグループホームで生活し、一般企業で働きながら和太鼓の稽古に励んでいる人と様々です。和太鼓と関わる事で、多くの人とふれ合い、礼儀、社会性が身につきました。
 富岳太鼓の富岳とは富士山の別名であり、その名の通り、演奏する曲の総てが富士山にまつわる神話、民話、自然をテーマとしたものであり、富岳太鼓代表山内強嗣の手によるオリジナルの創作太鼓です。
 
 
― 実践報告 ―
富岳太鼓竜神組
 皆さんこんにちは。富岳太鼓竜神組です。
 富岳太鼓は静岡県の東部、御殿場市にある、社会福祉法人富岳会の施設の仲間でチームを作っています。
 メンバーは、富岳の園という授産施設で生活をし、施設の中で仕事をしたり、近くの会社で働きながら、仕事が終わった後太鼓の練習をしています。
 僕の生活している富岳の園では、音楽、絵画、スポーツの活動がさかんで、それらを通じて仲間作りや自分の趣味を見つけたり自立に向けた訓練を行う事ができます。
 僕も太鼓や絵画を趣味に持つことで、たくさんの思い出や経験をする事ができました。
 1つは、僕の出身地である西伊豆町で絵画の個展を開く事ができました。そしてオープニングでは太鼓の演奏をし、地元の人達がたくさん集まってくれました。
 もう1つは、韓国、台湾、アメリカなどの海外へ太鼓の演奏で行く事もできました。太鼓の演奏を通じて、多くの人達と知り合い、話をして、そして多くの友達が出来ました。
 また、昨年より、エアコンや自動車部品を作る会社で働く事になりました。
 仕事は組み立ての工程を担当しています。1日中立ちっぱなしの仕事で、細かい部品の取り付けや仕上がった製品を運んだりと、集中力や力のいる仕事です。
 でも太鼓の練習で身につけた体力と集中力で、細かい仕事も、力のいる仕事もたいへんだとは思いません。
 会社の人達との会話の中にも、太鼓の事や絵画の話をする事もあり、楽しく働いています。
 これからも仕事や、絵画、そして太鼓に一生懸命取り組む事で楽しい思い出や良い経験をたくさんしていきたいです。今日演奏する曲は富士の雷舞です。僕達の生活している施設の目の前には富士山があり、天候が急に変わる事がよくあります。夏には良く大きな雷が鳴り、今年も何回か落雷がありました。
 雷様が雲の上で舞いながら太鼓を打つ様子を表した曲です。どうぞお聞きください。


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