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第4 財政比較分析表の改訂について
(1)財政比較分析表公表の経緯と概要
 
 近年、地方財政に係る情報開示のニーズが高まりつつあり、地方財政の決算状況に関する早期開示、国民への分かりやすい説明が求められている。
 総務省では、従来から全都道府県及び市町村の決算収支の状況等を取りまとめた「決算カード」の公表に加え、平成16年度決算からは類似団体との間で主要財政指標等の比較分析を行うことができる「財政比較分析表」を全都道府県及び市町村で作成し、総務省ホームページで公表するといった取組を進めているところである。
 財政比較分析表は、財政力、財政構造の弾力性、公債費負担の健全性、定員管理の適正度、給与水準の適正度(国との比較)、将来負担の健全度について、それぞれ財政力指数、経常収支比率、起債制限比率、人口千人当たり職員数(但し、都道府県については人口十万人当たりの職員数)、ラスパイレス指数、人口1人当たり地方債現在高によりグラフ化し、類似団体平均値との比較等を通じて各地方公共団体の財政状況を分かりやすく示している。(資料8
 
(2)財政比較分析表の改訂について
 
 本調査研究会では、歳出内容を類似団体と比較分析し、住民に分かりやすく提示する方法として、歳出比較分析表の内容を検討してきたところであるが、こうした検討を行う中で、財政比較分析表にも歳出面を表示する指標を追加することが必要ではないかとの議論があり、これについても検討を行ったところである。
 その結果、現行の財政比較分析表には行政運営の基本的なコストを量る指標が含まれていないことから、人件費、物件費、維持補修費の合計について、人口1人当たりの金額を指標化し、財政比較分析表に追加することとした。(図4
 なお、人件費、物件費、維持補修費の内訳は表4に示した通りである。人件費については、事業費支弁人件費は含むが、退職金は含まないものとする。
 また、公債費負担の健全度に係る指標については、起債制限比率に代えて、平成18年度からの地方債協議制度への移行に伴い新たに導入された実質公債費比率を用いることとする。
 
図4
市町村財政比較分析表(平成 年度普通会計決算)
(拡大画面:228KB)
 
表4 人件費・物件費・維持補修費の内訳
 
第5 おわりに
 本調査研究会においては、近年歳出削減が厳しく求められている中、各団体が歳出の状況について類似団体と比較の上分かりやすく提示するための方法について検討を行ってきた。その結果、以下の結論となった。
 
(1)地方公共団体の歳出の状況を分析し、住民にわかりやすく提示するものとして、歳出比較分析表を新たに作成し公表する。歳出比較分析表は、経常収支比率分析、経費分析(人件費、公債費、普通建設事業費の分析)の2本立てとする。
 
(2)経常収支比率分析では、経常収支比率、経常収支比率のうち人件費分、物件費分、扶助費分、繰出金分、補助費等その他分、公債費分、公債費以外分の8指標それぞれについて、地方公共団体と当該団体の類似団体の時系列データを総務省において算出し、各地方公共団体に提示するものとする。
 
(3)経費分析では、人件費、公債費、普通建設事業費の詳細について、それぞれの経費に準じるものを含めて算定し、データを提示する。
 
(4)財政比較分析表に、新たに「人件費・物件費等の適正度」を追加する。その内容は、人件費(事業費支弁人件費を含み退職手当を除く)、物件費、維持補修費の合計とし、人口1人当たり金額を表示するものとする。
 
 本調査研究会における検討結果を参考に、今後総務省において歳出比較分析表の作成、公表が行われ、各地方公共団体の今後の歳出削減に活用されることを期待するものである。


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