2.3.1 掲子江水系
2003年の中国揚子江幹線における各種運送船舶は約6.8万隻で、約1,652万DWTあり、うち機動船舶は4.6万隻余りで、1,085万DWT、はしけは2.2万隻余り、558万DWTであった。2004年の中国揚子江幹線における各種運送船舶は8.1万隻余り、1,970万DWTであり、それぞれ2003年より19.1%と19.2%増加した。
表26 |
2003年の中国揚子江幹線における船舶用途別の保有数及び運送力 |
船舶分類 |
船舶(隻) |
DWT(万DWT) |
平均船齢(年) |
1. 内陸河川発動機船 |
貨物船 |
25,636 |
720.8 |
12 |
コンテナ船 |
265 |
40.2 |
10 |
ケミカル船 |
884 |
24.1 |
10 |
油船 |
1,224 |
101.0 |
12 |
その他船舶 |
18,428 |
208.5 |
- |
2. 内陸河川はしけ(油送はしけと貨物はしけを含む) |
21,556 |
557.6 |
17 |
合計 |
67,994 |
1,652 |
約14 |
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上記表26の示すように、揚子江水系はしけの(油送はしけと貨物はしけを含む)老齢化はかなり高く、平均船齢は17年になり、老朽船舶率は40%を占めている。そのほかに、貨物船、油船などの平均船齢も10年以上に達している。
図10 2003年の中国揚子江幹線における各種船舶の割合
揚子江幹線では、船舶の主体は貨物船であり、貨物船の隻数は揚子江幹線船舶総隻数の37.7%を占めており、輸送べースで揚子江幹線船舶総輸送の43.9%を占めている。一方、揚子江幹線のコンテナ船、油船、ケミカル船は数が少なく、それぞれ0.39%、1.3%、1.8%を占め、輸送べースでもそれぞれ2.5%、6.2%、1.5%となっている。
図11 2003年の中国揚子江幹線における各種船舶運送力の割合
●中国揚子江幹線における客船の概況
中国の客船は旅行と高速化の方向に発展している。したがって、客船の普通客席数は減少しつつあり、高等級船室は増えつつある。旅行用船、高速船はますます増加してきている。
表27 中国揚子江幹線における旅客運送力関連データ
揚子江幹線旅客運送 |
2003年 |
2004年 |
増加率(%) |
旅客運送企業数 |
56 |
54 |
-3.57↓ |
船舶保有数(隻) |
210 |
193 |
-8.1↓ |
客席(万) |
8.6 |
7.1 |
-17.4↓ |
うち:1. 外国旅行者搭乗可能船(隻) |
44 |
51 |
15.9↑ |
客席 |
6,810 |
8,526 |
25.5↑ |
2.高速船(隻) |
17 |
19 |
11.8↑ |
客席 |
2,094 |
2,330 |
11.3↑ |
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●ケミカル船
2003年の揚子江水系のケミカル船は1,384隻、33.5万DWTである。うち揚子江幹線のケミカル船は約884隻、24.1万DWTであり、それぞれ揚子江水系ケミカル船総隻数の63.9%と71.9%を占めている。
揚子江三峡ダムの貯水が始まり、五級閘門の通航がスタートしたことにより、揚子江航路の条件が大きく改善され、それによって、川江と三峡ダムの航運経済発展が促進される。2003年6月に三峡閘門が竣工・通航してから、2004年末までの運行回数は1.3万閘回、船舶の通過量は11万隻回、貨物の運送量は4,808万トン、旅客運送量は281万人である。三峡ダム建設時の試算によれば、三峡ダムの貯水が135メートル以上になると、揚子江(三峡ダム以上の地域)地域では通航可能な支流が56本増加し、通航キロ数も200キロメートル余り増加するとされている。
揚子江水系の航運発展傾向
・川沿い地域の貨物運送量、取扱量は引き続いて成長し、特に大口の商品、コンテナなどの成長が大きいと見られる。旅客の運送量は三峡ダムなど一部の地域では多いものの、全体的には減少傾向にあると推測される。
・石炭、鉄鉱石、石油など大口の貨物は依然として揚子江運送の主要物資である。
・江、川沿い地域の産業及び製品構造の調整及び対外貿易の発展によって、ハイテク製品、高付加価値の製品がますます増加しつつある。したがって、コンテナ運送適合貨物の増加をもたらし、コンテナの利用率がますます高まるため、揚子江沿いのコンテナ運送量は今後大きな成長余地があると考えられる。
・中国西部の開発戦略に応じ、揚子江は航運のメリットを利用して、今後、流域経済の発展及び西部開発の一端を担う。
・揚子江航運は物流発展の需要を総合して、各種の運送方式の優勢を互いに利用して、各自の長所を発揮し、綜合的な運送ネットワークの重要な一部として、航運会社及び港企業の今までの単一な運送、積下ろし機能から次第に運送、積下ろし、倉庫貯蔵、配送、加工、ビジネス貿易などを一元化した綜合物流に発展させ、内陸河川航運とその他の運送方式を有機的に結合させ、最大の経済効果と利益を実現する。
・中国政府は江、河の水力発電プラントなどのインフラ施設の整備に力を入れ、内陸河川の航路に水力発電施設の建設を結合して綜合的な整備を行い、通航阻害問題及び危険な早瀬問題を解決し、通航の安全を高める。
揚子江水系の船型発展傾向
・航路条件の改善を加え、揚子江幹線の船舶は大型化、コンテナ化、シリーズ化、標準化の傾向に向かっている。
・船舶を用途別に見た場合の発展傾向は以下のとおりである。大口ばら積み貨物(石炭、鉄鉱石、原油など)の運送船舶は自航船とはしけ船隊の二種類の運送方式があるが、自航船については、大型化、シリーズ化、多目的化の方向に発展し、はしけ船隊は標準化の方向に発展している。コンテナ船はシリーズ化、標準化、高速化、大型化の方向に発展し、コンテナ船は積載量200TEU以上の浅い喫水、肥大型船型が今後の主流となり、貨物・自動車RO/RO船は自動車積載量50〜60台クラスが、カーキャリヤーは自動車積載量300〜500台クラスの船型が今後の主流となると推測される。特種貨物専用運搬船(ケミカル船、液化天然ガス運搬船、セメント運送船を含む)も今後の重要な発展目標となっている。
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