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 津波波高は、図5-4(4)図5-4(5)で示したように、第1波目よりも第2波目、第3波目の方が大きい地点もある。図5-7は、測定期間中における津波波高の量大値の分布を示したものである。このような図から津波の災害度合を評価することができる。なお図5-8は、中央防災会議専門調査会で報告された数値計算による津波の高さ分布である5。この図は、東南海地震津波と南海地震津波が同時に起きた場合の計算結果である。水理模型実験と数値実験の境界条件(津波の規模等)が違うために定量的な評価はできないが、定性的にみると瀬戸内海全域で傾向は良く似ている。
 表5-2は、瀬戸内海東部の代表的な地点における津波波高の最大値を示したものである。表に示した数値実験の値は図5-8から読み取り、また表には水理模型実験結果と数値実験結果の比も示した。水理模型実験と数値実験の境界条件が違うために単純に比較はできないが、水理模型実験結果と数値実験結果の比は内海側に入るほど小さくなっている。
 吉田・村上ら6は数値実験より津波高さを検討し、瀬戸内海に点在する諸島群の存在が大きく影響することを指摘している。水理模型実験結果と数値実験結果の比が内海側に入るほど小さくなったのは、瀬戸内海に点在する諸島群の影響もあるのではないかと考える。なお瀬戸内海大型水理模型は737個の島を再現している。
 
表5-2 津波波高の最大値表(単位:m)
御坊 福良浦 洲本 大阪 高松 水島
(1)水理模型実験結果 3.96 2.68 0.57 0.90 0.29 O.28
(2)数値実験結果 5.9 3.5 1.0 1.8 0.8 0.8
(1)水理実験/(2)数値実験 0.67 0.76 0.57 0.50 0.36 0.35
 
5 内閣府中央防災会議HP: http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai/7/index.html、2006.
6 吉田和郎、村上仁士、島田富美男、上月康則、大宅祥弘、大谷寛:瀬戸内海における津波の流速・津波高に及ぼす海峡・島の影響に関する一考察、海岸工学論文集、第50巻、pp.321-325、2003.
 
図5-7 津波波高の最大値の分布
 
中央防災会議資料5
 
図5-8  数値計算による津波の高さ分布5(東南海と南海地震津波が同時に起こった場合)


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