3.2 時系列データの検討
前節に指摘した大振幅横揺れが、パラメトリック横揺れであることを検証するために、まず時系列データについての検討を行った。
まず、Fig. 4に、入射波の周期が横揺れ固有周期付近における、横揺れ同調時の時系列データを示す。上下揺れ、横揺れ共に入射波と同じ周期で変動しており、縦揺れはほとんど発生していない。次に、入射波周期が横揺れ固有周期の半分よりも若干短い0.76秒で、大振幅の横揺れが発現した場合の時系列データをFig. 5に示す。上下揺れは、入射波周期とほぼ同じ周期で運動しているが、縦揺れの波形はかなり乱れており、横揺れは時間と共に増加し、最終的には25〜27度程度の振幅の定常状態に達している。この時の横揺れの周期は、入射波の2倍に近く、かつ横揺れ固有周期に近いが若干短くなっている。
Fig. 4 |
Time histories of measured data for naked hull at roll resonance condition at Hw=0.04m and Tw=2.01sec. |
Fig. 5 |
Time histories of measured data for naked hull at case of maximum roll motion at Hw=0.04m and Tw=0.76sec. |
Fig. 6, 7には、Fig. 5に示す大振幅横揺れのピーク発生周期よりも短周期での時系列データの例を示す。Fig. 6の記録から、横揺れ振幅は小さいが、その周期は入射波周期よりははるかに長いことが分かる。Fig. 7に示す記録は、Fig. 5とFig. 6との間の周期におけるもので、入射波のほぼ2倍周期の横揺れが明瞭に発現している。
Fig. 6 |
Time histories of measured data for naked hull at Hw=0.04m and Tw=0.60sec. |
Fig. 7 |
Time histories of measured data for naked hull at Hw=0.04m and Tw=0.65sec. |
Fig. 8には、Fig. 5に示す実験より長周期域で横揺れ振幅が非常に小さい周期での結果を示す。同図からわかるように、横揺れ振幅は非常に小さいものの、その周期は入射波周期の2倍近くなっており、パラメトリック横揺れが発現している可能性があるものと思われる。
Fig. 8 |
Time histories of measured data for naked hull at Hw=0.04m and Tw=0.98sec. |
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