ANNEX 4
RESOLUTION MEPC.126(53)
2005年7月22日採択
活性物質を利用するバラスト水管理システム承認の手順(G9)
海洋環境保護委員会は、
海洋汚染の防止及び制御のための国際会議の資格を与えられている海洋環境保護委員会(MEPC)の機能に関するIMO条約第38(a)条を想起し、
また、2004年2月に開催された船舶バラスト水管理に関する国際会議において、2004年船舶バラスト水及び沈殿物の制御及び管理のための国際条約(バラスト水管理条約)が、4本の会議決議と共に採択されたされたことを想起し、
バラスト水管理条約附属書の規則(以下“規則”という。)A-2が、排出バラスト水については、当該条約附属書の規定に従ったバラスト水管理を通じてのみ実施されるべきことを要求している旨を銘記し、
さらに、規則D-3.2が、同条約に適合する一種類もしくは数種類の活性物質を含む活性物質もしくは製剤を使用するバラスト水管理システムは、IMO策定の手順を考慮して主管庁が承認すべきことを規定している旨を銘記し、
さらに、船舶のためのバラスト水管理に関する国際会議において採択された決議1が、IMOに対し、この手順策定を緊急事項として依頼していることも銘記し、
第53回会合においてバラスト水作業部会作成の活性物質を利用するバラスト水管理システム承認の手順案を考慮して、
1. 本決議の付属に記載の活性物質を利用するバラスト水管理システム承認の手順を採択し、
2. 各国政府に対し、当該手順を、できる限り早急に、あるいはバラスト水管理条約が当該各国政府に適用となった時点で適用することを要請し、
かつ、
3. 当該手順を、検討中(under review)のままとしておくことで合意した。
1.1 この手順は、“船舶バラスト水及び沈殿物の制御及び管理のための国際条約”(以下“条約”という。)規則D-3に基づき、条約及び適用方法を遵守するため、活性物質を利用するバラスト水管理システムの承認及び承認の撤回に関して記載したものである。条約は、承認の撤回に際しては、当該撤回日の後一年以内に関連活性物質又は物質の使用禁止を要求している。
1.2 活性物質及び一つ以上の活性物質を含む製剤を利用するバラスト水管理システムについては、条約を遵守するため、IMOが策定した手順に基づき、IMOの承認を受けること。
1.3 この手順の目的は、活性物質及び一種類以上の活性物質を含む製剤の容認、また、船舶の安全、人の健康及び水環境に対するバラスト水管理システム内におけるそれらの適用を決定することにある。この手順は、活性物質及び製剤を持続的に利用するための保障措置として提供されるものである。
1.4 この手順は、活性物質の有効性評価を意図したものではない。活性物質を利用するバラスト水管理システムの有効性については、“バラスト水管理システム承認のためのガイドライン“に従って評価されること。
1.5 この手順の目標は、条約及び条約により要求される保障措置に含まれる規定の適切な適用を確保することにある。したがって、この手順については、知識及び技術の状況により更新されるべきものである。IMOは、この手順の改訂版を承認の後、回覧することになる。
2.1 この手順の目的のためには、条約における定義が適用される。また、
.1 “活性物質”とは、有害水生生物及び病原体について又は対し、一般的又は特定の作用を持つ、ウィルス又は菌類を含む物質又は生物をいう。
.2 “排出バラスト水”とは、船外に排出されることになるバラスト水をいう。
.3 “製剤”とは、いかなる添加物をも含む一つ以上の活性物質を包含する商業的製剤をいう。この用語には、条約を遵守するために、バラスト水管理を目的とし船上で生成されるあらゆる活性物質、また、活性物質を利用するバラスト水管理システム内で形成されるあらゆる関連化学物質が含まれる。
.4 “関連化学物質”とは、処理過程又は受け入れ環境において生成され、排出時に水環境及び人の健康に対し懸念をもたらす可能性のある形質転換又は反応生成物をいう。
3.1 活性物質及び製剤については、条約を遵守するための活性物質を利用するバラスト水管理システム範囲内の技術で、バラスト水に添加するか又は船上で製造することができる。
3.2 活性物質及び製剤は、船舶のバラスト水及び沈殿物内の有害水生生物及び病原体に対する作用を通じて、それらの意図とした目的を達成する。しかしながら、バラスト水が環境内へ排出される際にまだ毒性を有する場合、受け入れ水中の生物に許容し難い危害が及ぶ可能性がある。活性物質又は製剤、また排出バラスト水の両方については、当該排出に起因した毒性作用から受け入れ環境及び人の健康を保護するため毒性試験を課せられると。毒性試験については、受け入れ環境又は人の健康への影響に危害を加える可能性が容認できるほどに低い条件下で、活性物質又は製剤の利用が可能であることを確認するために必要とされる。
3.3 活性物質及び製剤を利用するバラスト水管理システムについては、条約を遵守するため、船舶、設備及び人員に対し安全であること。
3.4 バラスト水管理システムに使用するウィルス又は菌類を利用する活性物質及び製剤の承認については、この手順では取り扱っていない。バラスト水管理のため当該物質の承認については、当該物質の利用を提案する場合に、条約規則D-3に従って、IMOによるさらなる検討を要求すること。
4.1.1 活性物質又は製剤の承認申請書には、たとえ船上で生成された場合においても、化学的同定及び化学成分の説明を含むこと。化学的同定は、いかなる関連化学物質についても提供されること。
4.2.1 承認申請書には、以下のいかなる成分を含む、製剤の特性又は作用についての情報を含むこと。
.1 感受性が高く代表的な生物を含む、水生植物、無脊椎動物、魚類及びその他の生物相への影響に関するデータ
・水生生物に対する急性毒性
・水生生物に対する慢性毒性
・内分泌かく乱性
・底質毒性(sediment toxicity)(訳者注:水生生物が個体の対象物質を摂取した場合の毒性)
・生物利用効率(bioavailability)/生態濃縮性(biomagnification: 飼料を経口摂取した場合の生物濃縮性)/生物濃縮性(bioconcentration: 溶存化学物質を摂取した場合の生物濃縮性)及び
・食物網/個体群に対する作用
・急性毒性
・皮膚及び眼への影響
・慢性的かつ長期的毒性
・発生的かつ生殖的毒性
・発がん性 及び
・変異原性
.3 好気性及び嫌気性条件下における環境運命及び効果に関するデータ
・分解過程(生物的;非生物的)
・生物蓄積性、分配係数、オクタノール/水(分配)係数
・関連媒体中(バラスト水、海水及び淡水)における、主な代謝物質の難分解性と同定
・有機物との反応性
・野生背物及び底生生物群集に対する潜在的物理的影響
・海産物への潜在的残留性 及び
・既知の相互作用
.4 該当する場合には、活性物質及び製剤並びに処理済バラスト水に関する以下についての物理的及び化学的特性
・融点
・沸点
・可燃性
・密度(比重)
・蒸気圧、蒸気濃度
・水溶解度/解難定数(pKa)
・酸化/還元電位
・一般的な船舶構造の部材及び設備に対する腐食性
・自己発火温度 及び
・その他関連する既知の物理的又は化学的危険性
.5 環境関連濃度の分析法
4.2.2 承認申請書は、製剤又は各成分別に、上述のデータセットを含むこと。また、成分の名称及び相対量(体積百分率)のリストを添付すること。第8.1項に記述のとおり、すべての所有主のデータについては、機密事項として取り扱うこと。
4.2.3 活性物質及び製剤の試験については、国際的承認を得たガイドライン5に従って実施されること。
5 経済強力開発機(OECD)の化学品試験ガイドライン(1993)又は同等のものが望ましい。
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4.2.4 試験のプロセスには、以下から成る、厳格な品質管理/品質保証計画書を含むこと。
.1 品質管理計画(QMP)及び品質保証プロジェクト計画書(QAPP)の両方。これらの計画書の準備のためのガイダンスについて、他の指針書及び全般的な品質管理情報に加えて、国際標準化機構(ISO)( www.iso.org)からダウンロードすることが可能である。
.2 QMPについては、試験機関(下請契約者及び外部分析機関を含む。)の品質管理経営の体制及び方針を記入する。
.3 QAPPについては、試験対象となるシステムの詳細、試験施設、また、必要な実験についての実際の計画及び実施に影響する他の条件を反映した具体的プロジェクト技術資料である。
4.2.5 申請者は、この手順に従った活性物質及び製剤の評価に要求される必要データを満たすため、過去に化学物質の登録に使用された関係書類を提出することができる。
4.2.6 申請書には、バラスト水管理のための製剤の適用方法について、必要添加量及び保持時間を含めて記載すること。
4.2.7 承認申請書に、(物質)安全データシート((M)SDS)を含むこと。
4.3.1 承認申請書には、アセスメントレポートを含むこと。当該アセスメントレポートには、試験報告書の品質、リスク特性、また、当該アセスメントに付随する不確実性の検討について記入すること。
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