2.3 陸上試験
2.3.1 バラスト水処理装置を含む試験の構成については、最低限5回の有効反復試験サイクルの期間中において、提出された書類に記載のとおりに運用されること。個々の試験サイクルについては、最低限5日間にわたり実施すること。
2.3.2 陸上試験サイクルについては、以下を含むこと。
.1 バラスト水ポンプによる取り入れ;
.2 最低限5日間のバラスト水貯蔵;
.3 対照非処理タンク内バラスト水を除いた、BWMS内におけるバラスト水処理; 及び
.4 ポンプによるバラスト水排出。
2.3.3 試験については、第2.3.16及び2.3.17項に規定された異なる条件の水を使用して、順次実施すること。
2.3.4 BWMSについては、各々の試験サイクルにおいて、その処理容量又はこのガイドライン付属PART 2の第2.3.12〜2.3.14項に規定された容量で試験を実施しなければならない。装置は、試験中、仕様通りに作動されなければならない。
2.3.5 各々の試験サイクルの処理水の分析については、排出サンプルの平均が条約の規則D-2の濃度を超えないことを確認するために使用しなければならない。
陸上試験の目的、制限及び評価標準
2.3.6 陸上試験は、型式承認を検討中のBWMSの生物学的有効性を決定する目的を果たすためのものである。承認試験は、試験の再現性及び他の処理装置との比較の確保を目的としている。
2.3.7 主官庁は、このガイドラインに記載の試験手続きに関するバラスト水管理システムにより課せられるいかなる制約条件についても、正当に銘記かつ評価すること。
陸上試験の構成
2.3.8 承認試験のための試験構成については、装置の設置が予定されている船舶のタイプが代表的な特徴及び配置のものであること。したがって、試験構成には、少なくとも以下の事項を含むこと。
.1 試験されるべき完全なBWMS;
.2 配管及びポンプ配置;
.3 タンク内の水が完全に遮光されるように建造された、バラストタンクを模擬した貯蔵タンク
2.3.9 対照非処理水及び処理水用の模擬バラストタンクには、その各々について、以下の事項を含むこと。
.1 最低容量200m3;
.2 採光及び排水口を含む通常の内部構造;
.3 設計、構造及び表面塗装については、船舶の通常の工業手法; 及び
.4 陸上タンク構造の健全性のために必要な、最低限の改善。
2.3.10 試験構成は、試験手順を開始する前及び試験サイクルの間に、散乱している破片、生物及び他の物質を除去するために、水道水で圧力洗浄、乾燥かつ清掃すること。
2.3.11 試験構成は、第2.3.25項及び2.3.26項で規定されているサンプリングを可能にする設備、並びに第2.3.18項及び/又は第2.3.19項で規定する試験流入水をシステムへ供給する生物類を含むことになる。装置の配置については、このガイドラインの本文の第7節に概説されている手順の下で特定かつ承認された個々の事例に適合させること。
バラスト水処理装置のスケーリング
2.3.12 陸上試験用インライン処理装置については、以下の標準を考慮して縮小することができる。
.1 TRC(定格処理能力)が200m3/h以下の装置については、縮小してはならない;
.2 TRCが200m3/hより大きく1000m3/h未満の装置については、最大1:5のスケールまで縮小可能であるが、200m3/h未満にしてはならない; 及び
.3 1,000m3/h以上の装置は、最大1:100のスケールまで縮小可能であるが、200m3/h未満にしてはならない。
2.3.13 装置の製造者は、いかなる縮小スケールについても、装置が承認されることになるタイプ及びサイズの船上における根本的機能及び効果に影響しないことになる旨を、数学的なモデル化及び/又は計算を用いて実証すること。
2.3.14 インタンク処理装置については、フルスケールの効果が立証できるスケールで試験すること。試験構成の適正性については、製造者が評価し、かつ主管庁の承認を受けること。
2.3.15 第5.1項(第2.3.12項?)の規定に提供される縮小スケール及びより低流速ついては、フルスケール船上試験から、また第5.2項(第2.3.13項?)に従って、スケーリング及び低流速が、スケーリング基準に全面的に従っていることを予測する結果の能力に悪影響しないという証拠を、製造者が提出可能な場合に適用することができる。
陸上試験のデザイン - 入口及び出口の標準
2.3.16 試験サイクル(5回の反復を1セットとみなす。)の1セット毎に塩分範囲を選択すること。上述に記載の試験構成に使用される試験水として選択する塩分については、以下の溶解及び粒子の含有量の組合せの1つとすること。
|
塩分濃度 |
>32 PSU |
3〜32 PSU |
<3 PSU |
溶存有機炭素(DOC) |
>1 mg/ |
>5 mg/ |
>5 mg/ |
粒子態有機炭素(POC) |
>1 mg/ |
>5 mg/ |
>5 mg/ |
総浮遊物質(TSS) |
>1 mg/ |
>50 mg/ |
>50 mg/ |
|
2.3.17 少なくとも2セットの試験サイクルを、第2.3.12項(第2.3.16項?)に記載された溶解及び粒子の含有量で、各々の異なる塩分範囲で実施すること。上記表で隣接する塩分範囲での試験においては、少なくとも10 PSU離すこと2。
2 一例として1セット目の試験サイクルを>32PSUで行い、2セット目の試験サイクルを3〜32PSUで行う場合、3〜32PSUの試験レンジは、>32PSUの試験サイクルで使用された最低塩分濃度から少なくとも10PSU離す必要がある。
|
2.3.18 試験生物は、試験水内で自然発生するもの又は試験水に加えられる培養種のいずれかとすることができる。生物濃度については、次の第2.3.19項以下に従うこと。
2.3.19 流入水には、以下のものを含むこと。
.1 最小サイズ50μm以上の生物については、できれば1m3当り106、少なくとも105以上の個体の総密度を有しており、少なくとも3つの異なる生物門/部門からの少なくとも5種が存在していること;
.2 最小サイズ10μm以上50μm未満の生物については、できればミリリッター当り最低104、少なくとも103以上の固体の総密度を有しており、また、少なくとも3つの異なる生物門/部門からの少なくとも5種が存在していること;
.3 従属栄養細菌については、ミリリッター当り、少なくとも104の生存バクテリアの濃度で存在していること; 及び
.4 様々な密度及び生物要件を満足するために自然の生物集合又は培養生物のどちらを利用してとしても、そのことに関係なく、試験水内生物の多様性について、上述に記載されているサイズクラスに従って記録すること。
2.3.20 以下のバクテリアについては、流入水に加える必要はないが、流入時及び排出時に計測すること。
.1 大腸菌;
.2 腸球菌族;
.3 コレラ菌; 及び
.4 従属栄養細菌。
2.3.21 培養試験生物を使用する場合には、培養及び排出期間における地域で適用される検疫規則が確保されることを考慮すること。
陸上における監視及びサンプリング
2.3.22 処理された試験生物数及び模擬バラストタンクで貯蔵期間中の試験生物数の変化については、付属Part 4の第4.5〜4.7項に規定された方法を用いて計測すること。
2.3.23 処理装置が、試験サイクル中、電力消費及び流速などについて、特定されたパラメータの範囲内で作動すること証明すること。
2.3.24 ph、温度、塩分、溶存酸素、TSS、DOC、POC及び濁度(NTU)3のような環境パラメータについては、規定のサンプル採取時と同時に計測すること。
3 NTU=Nominal Turbidity Unit
|
2.3.25 試験中のサンプルについては、次の時期及び個所で採取すること。:
処理装置の直前、処理装置の直後及び排出時
2.3.26 対照非処理水(control)及び処理水のサイクルについては、同時又は連続して実施することができる。対照非処理水サンプルについては、第2.3.25項に記載の設備試験と同様の方法で、また、流入水時及び排出時に採取すること。これらを図示した一例が、図1である。
2.3.27 サンプリングのための設備又は配置については、できる限り悪影響を少なくした処理水及び対照非処理水の代表サンプル採取ができることを確保するように設置すること。
2.3.28 第2.3.25項及び第2.3.26項に規定のサンプルについては、その都度3サンプル採取すること。
2.3.29 以下についての個別のサンプルを採取すること。
.1 最小サイズ50μm以上の生物;
.2 最小サイズ10μm以上50μm未満の生物; 及び
.3 大腸菌、腸球菌グループ、病毒性コレラ菌及び従属栄養細菌。
2.3.30 最小サイズ50μm以上の生物を条約D-2基準と比較するためには、最低限20 の流入水及び最低限1m 3の処理水を、それぞれ3回ずつ採取すること。サンプルを計数のために濃縮する場合には、当該サンプルを、対角線寸法で50μm以下メッシュのろ過器を用いて濃縮すること。
2.3.31 最小サイズ10μm以上50μm未満の生物の評価のためには、最低限1 の流入水及び最低限10 の処理水を収集すること。サンプルを計数のために濃縮する場合は、当該サンプルを、対角線寸法で10μm以下メッシュのろ過器用いて濃縮すること。
2.3.32 バクテリアの評価のためには、最低限500 の流入水及び処理水を無菌ボトルに採取すること。
2.3.33 サンプルについては、サンプリング後可及的速やかに分析し、6時間以内に生存を分析するか、あるいは、適切な分析の実施が確保できるように処理すること。
2.3.34 提案されたシステムの効率効果については、制御された実験形式すなわち“実験作業”で、標準的な科学的方法をもって試験すること。特に、バラスト水内の生物濃度に対するBWMSの効果については、処理バラスト水を比較することにより試験すること。すなわち、“処理グループ”と未処理の“非処理グループ”について、以下のように比較試験すること。
.1 実験作業については、非処理水と処理水との比較から構成されること。単一の試験サイクルの中で、非処理対照水と処理水の3つ以上の複数サンプルを、その実験作業中における当該水の状態についての良好な統計的推定を得るために採取すること。単一の試験サイクルの中で採取された複数のサンプルについては、“疑似反復”を避けるために、処理効果の統計的評価における独自の測度で取り扱ってはならない。
2.3.35 いかなる試験サイクルも、非処理対照水からの平均排出結果が条約の規則D-2.1の値の10倍以下の濃度であれば、無効となる。
2.3.36 BWMS性能の統計的分析については、非処理対照水と処理水を比較するt-tests又は類似の統計的試験をもって構成されること。非処理対照水と処理水との比較は、試験措置において制御不能な死亡原因の影響があったことを示す、予測できない非処理対照水の死亡率試験を提供することになる。
2.4 試験結果の報告
2.4.1 承認試験が完了した後には、主官庁に報告書を提出すること。この報告書には、試験デザイン、分析方法及び当該分析結果に関する情報を含むこと。
2.4.2 BWMSの生物学的有効性試験の結果については、当該システムが、陸上試験及び本付属第2.2項で規定の船上試験の下に、本付属Part 4の第4.7項に規定のすべての試験サイクルにおいて条約の規則D-2の基準を満足していることが示された場合には、受け入れられなければならない。
|