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(4)試験結果
 
 IMO排出基準との関連では、注入オゾン濃度2.5及び3.0mg/の両試験ケースにおいてもG8ガイドラインの陸上試験の要件である処理5日後の状況で達成していた。また、水生生物に対する処理効果(殺滅率)は、未処理原水の水生生物数に対していずれも100%を記録し、今回試作した実船搭載型のシステムは、G8ガイドラインの承認を受けられる充分な性能を持っていると評価された。
 
(1)流量及び圧力
 表II.5.1-5には、流量及び圧力等の計測結果を示した。
 注入オゾン濃度及び海水の処理流量は、1回目の実験では2.4mg/及び307m3/hrであり、2回目の実験では3.1mg/及び277m3/hrであった。プレフィルターの平均圧損値は1回目の実験では1.8kPaであり、2回目の実験では3.9kPaであった。この圧損値は、試作システム作動中に大きく変化することはなく、プレフィルターが閉塞することはなかった。
 
表II.5.1-5 流量及び圧力等の計測結果
試験ケース 注入オゾン濃度[mg/] 海水流量[m3/hr] スリット圧損[kPa] スリット部流速[m/sec] プレフィルター(1)〜(3)平均圧損[kPa] オゾンガス濃度[g/Nm3] ガス流量[m3/hr] 注入オゾン量[g/hr]
設定注入オゾン濃度2.5mg/
(2006/2/20)
2.41 307 1249 38.8 1.8 83.0 8.91 740
設定注入オゾン濃度3.0mg/
2006/2/27
3.10 277 1286 35.0 3.9 95.8 8.94 857
但し、表中の値は、試作システム作動中の計測平均値である。
 
(2)気相オゾン濃度
 表II.5.1-6には、注入時オゾン濃度2.5mg/試験時における送風口及びマンホールの気相オゾン濃度計測結果を示した。
 気相オゾン濃度は、送風口では最大0.06ppm、マンホール口では10ppmであった。送風口は、外気とバージ内の気相を混合しながら排出したため、マンホールよりも1/10以下の計測値となった。
 なお、マンホールでの10ppmは、提案されている我が国における作業環境上の許容濃度のである0.1ppmを上回る値であり、オゾン注入後からバラストタンクに至る間に排オゾンの脱気槽が必要であることを改めて示した結果である。
 
表II.5.1-6  注入時オゾン濃度2.5mg/試験時における送風口及びマンホール部の気相オゾン濃度計測結果(ppm)
バージ漲水開始からの時間 送風口 マンホール
10分 0 -
20分 0.02 -
30分 0.06 -
40分(200m3漲水) 0.06 10
 
(3)水質分析(DOC・POC・TSS)
 表II.5.1-7には、未処理原水の水質(DOC・POC・TSS)分析結果を示した。
 水質分析結果は、溶存有機炭素(DOC)が1.1mg/、粒子状有機炭素(POC)が0.11mg/、浮遊物質(TSS)が5mg/であり、これまでにこの臨海試験施設で行ってきた分析結果と同程度であった。
 
表II.5.1-7 未処理原水水質(DOC・POC・TSS)分析結果
項目(単位) 分析結果
DOC(mg/ 1.1
POC(mg/ 0.11
TSS(mg/ 5
データは3回平均
 
(4)水質メーターによる計測(水温・塩分・pH・DO・濁度)
 表II.5.1-8には、注入時オゾン2.5mg/試験時の水質計測結果を示し、図II.5.1-2(1)〜(5)には、注入時オゾン2.5mg/試験時における水質の変化を示した。また、表II.5.1-9には、注入時オゾン3.0mg/試験時の水質計測結果を示し、図II.5.1-3(1)〜(5)には、注入時オゾン3.0mg/試験時における水質の変化を示した。
 水質メーターによる計測は、2試験ケースとも溶存酸素(DO)以外大きな変化は見られなかった。溶存酸素は、処理直後で最も高い値を示している。これは、オゾン注入により、分解し試験水中に溶存した酸素が計測されたものと考えられる。
 
表II.5.1-8 注入時オゾン2.5mg/試験時の水質計測結果
項目 未処理原水 処理直後 処理5日後 コントロール コントロール5日後
水温(℃) 11.4 11.4 11.9 12.2 11.9
塩分(PSU) 33.7 33.6 33.7 34.0 34.0
水素イオン濃度(pH) 8.1 8.2 8.1 8.0 8.0
溶存酸素(DO) 8.6 11.6 11.4 8.4 8.8
濁度(Turbidity) 0.8 1.3 0.8 1.2 1.1
データは3回平均
 
図II.5.1-2(1) 注入時オゾン2.5mg/試験時における水温の変化
 
図II.5.1-2(2) 注入時オゾン2.5mg/試験時における塩分の変化
 
図II.5.1-2(3) 注入時オゾン2.5mg/試験時におけるpHの変化
 
図II.5.1-2(4) 注入時オゾン2.5mg/試験時における溶存酸素の変化
 
図II.5.1-2(5) 注入時オゾン2.5mg/試験時における濁度の変化


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