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第4章 電子タグの活用状況と課題
4.1 コンテナレベルの適用事例
4.1.1 コンテナ自動識別システムの概要
 ここでは、電子タグ(Radio Frequency Identification: RFタグ、RFID)のコンテナレベルでの適用事例を中心に活用状況を紹介し、あわせて、電子タグのロジスティクス分野への適用上の課題、条件を整理します。
 コンテナレベルの自動識別システムは、米国の鉄道会社での利用例が最も端的な事例です。
 この仕組みは、以下のような利用部面にも適用可能だと考えられます。
(1)主要積替拠点(倉庫、港湾、税関、ヤード等)での貨物管理効率の向上
(2)トラックターミナルにおけるトラクタ相互の切替え・中継等
(3)港湾、鉄道等のインターモーダルなターミナルにおけるコンテナのトラックとの積替え
(4)国際貨物の通関業務
 このほか、自動識別技術による車両管理には、以下のようなアプリケーションが考えられています。
(1)物流拠点、鉄道・港湾施設等の出入ゲートの無人の車両情報管理
(2)タンク車管理(温度、漏出防止、燃料、オイル等)
(3)経路・到着時刻管理(位置および時間管理による自動的追跡システムの構築)
(4)トンネル内運行管理(トンネルは、セルラー、無線、衛星通信等の通常の移動体通信システムの不感地帯ですが、リーダーをトンネル内に設置することで貨物情報の入手が可能)
 自動識別技術は、GPSと移動体通信を利用した連続的な位置捕捉ではなく、あくまでリーダーの設置されている場所での情報交換(スポット通信)です。しかし、主要な貨物の積み替え拠点におけるリーダーの設置によって、かなり詳細な車両・貨物の個体データと位置情報が収集可能となり、物流拠点における貨物車両の運行管理をはじめ、受発注情報(EDI)システムと移動体(個体)管理情報の連携によって共同配送や求車・求荷システム等への応用も可能になると考えられます。
 この分野では従来から電子タグのコストが高く梱包単位に貼付するには高価すぎることが大きな制約とされていました。しかし、定期券等の旅客分野やクレジットカードの世界を中心に議論されていたICカードが量産されるようになり、今後、同様の機能が電子タグとして物流分野を大きく変える時代になることが見込まれています。
 
4.1.2 港湾の例
 港湾荷役における自動貨物識別(Automatic Equipment Identification: AEI)システムの例では、電子タグは、コンテナ、トラクタに設置され、リーダーは、ガントリークレーン、管理車両、出入ゲートに設置されています。
 
図4.1.1 港湾AEIの例(全体構成) (資料):国土交通省
 
図4.1.2 港湾関連識別システムの例
(資料):Hi-G-Tek社、2004年6月
 
 各利用部面別の概要は、以下のとおりです。
(1)船への積卸し
(2)ヤード管理
(3)ゲート管理


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