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平成17年長審第15号
件名

旅客船しーぐれいす岸壁衝突事件
第二審請求者〔理事官 清水正男〕

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成17年9月27日

審判庁区分
長崎地方海難審判庁(藤江哲三,山本哲也,稲木秀邦)

理事官
清水正男

受審人
A 職名:しーぐれいす船長 海技免許:三級海技士(航海)
B 職名:しーぐれいす機関長 海技免許:三級海技士(機関)

損害
しーぐれいす・・・船首部に破口を伴う凹損
岸壁・・・損傷あり

原因
入港着桟時,投錨不用意,過大な行きあしを減殺する時機を失したこと

主文

 本件岸壁衝突は,入港着桟するに当たり,投錨用意をしなかったばかりか,船橋資源の活用が不十分で,過大な行きあしを減殺する時機を失したことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

理由

(海難の事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成16年1月25日11時43分
 長崎県有川港
 (北緯32度59.1分 東経129度06.8分)

2 船舶の要目等
(1)要目
船種船名 旅客船しーぐれいす
総トン数 327トン
全長 48.50メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 4,045キロワット
(2)設備及び性能等
 しーぐれいすは,平成5年2月に進水し,2機2軸2枚舵を備えた限定沿海区域を航行区域とする旅客定員286人の三層甲板型軽合金製旅客船で,上甲板に収容人数160の客室があってその船首尾甲板上に係船装置がそれぞれ設けられ,船首端に自重520キログラムのストックレスアンカー1個を備えて長さ150メートルの錨鎖が連結され,下甲板には,船首から順に船首倉庫,空調機室,収容人数99の客室,機関室及び燃料タンク区画並びに操舵機室が設けられていた。
 航海船橋甲板には,船首端から約17メートル後方に船首尾方向約3メートル船幅方向約5.5メートルの船橋を設けてその後方に収容人数27の客室があり,客室の後方約16メートルが暴露甲板となっていた。
 船橋は,5分割された前部ガラス窓にそれぞれワイパーが取り付けられて両舷に出入口とガラス窓を設け,同室前部には,船首尾方向約1.3メートル船幅方向約4.2メートルの操船コンソールが設けられ,同室中央やや左舷寄りの前部ガラス窓上方には,風向計,風速計及び電磁ログの速力計が取り付けられていた。
 操船コンソールは,中央部に手前から順に操舵ハンドル,舵角指示器及び磁気コンパスがあって同ハンドル右側にGPSが取り付けられ,その右舷側には2個のレーダー表示画面が設けられ,操舵ハンドルの左舷側には,両舷主機遠隔操縦装置があって主機警報盤,両舷主機回転計及び同プロペラ軸回転計が取り付けられ,主機遠隔操縦装置の左舷側には,順にCRT,両舷主機給気圧力計,発電機電圧計,同周波数計及び同操作盤並びに係船機などの遠隔発停操作盤が備えられ,操舵ハンドル,CRT及びレーダー表示画面の各後方には,それぞれ,操船者,機関当直者及び見張り員が座るいすが設けられていた。
 主機警報盤には,両舷主機の始動,停止,プライミング,非常停止,非常用クラッチの各遠隔操作ボタン及び両舷主機運転状況並びに同逆転減速機の前,後進及び中立の状態を示す表示ランプが設けられていた。
 主機は,C社製16V190ATC型高速機関2機で,両機がそれぞれ同社製のIRG140型と称する逆転減速機(以下「減速機」という。)を介してプロペラ軸を駆動していた。
 減速機は,入力軸,出力軸,中間軸,前進用及び後進用各クラッチなどによって構成され,いずれかのクラッチを油圧により作動させることによって出力軸を前後進に切り替えるようになっていた。
 速力は,両舷主機回転数毎分1,290(以下,回転数については毎分のものを示す。)の航海速力が約23ノット,同回転数1,100の半速力,900の微速力及び600の極微速力がそれぞれ約20,16及び11ノットで,主機1軸を回転数600にかけた際の速力が9ないし9.5ノット,そのときに中立状態で遊転中のプロペラ軸回転数が約200となっていた。
 なお,海上試運転成績書によれば,主機1軸を回転数990にかけた際の速力は14.5ノットで,そのときに遊転中のプロペラ軸回転数が312,左右旋回横距がそれぞれ約190メートルとなっていた。
(3)船体の特性
 しーぐれいすは,アルミニウム軽合金製で,その比重が軟鋼の約3分の1であることから鋼船と比較して重量が軽いうえ,船底から航海船橋甲板上部までの高さが約8.5メートル,計画喫水が約1.5メートルであることから,海面下の船体投影面積に比して海面上の船体受風面積の比率が大きく,風圧による影響を大きく受ける特性を有していた。

3 事実の経過
(1)基準経路と当直体制
 しーぐれいすは,五島列島にある長崎県榎津港を基地として07時20分に同港を出航し,同県有川港を経由して同県佐世保港に寄港したのち,再び有川港経由で榎津港に戻り,続いて,同県小値賀漁港と平漁港を順次経由して再び佐世保港に寄港したのち,有川港を経由して18時55分に榎津港に帰航する経路をとっていた。
 当直体制は,有川港及び平漁港と佐世保港間では,船橋で船長,一等航海士(以下「一航士」という。)及び甲板長のうち2人が操船と見張りに,機関長と一等機関士(以下「一機士」という。)のうち1人が機関操作にそれぞれ輪番で当たり,五島列島各港間においては,航海時間が短時間であることから入出港配置のまま全員で運航する体制をとっていた。
(2)浮桟橋
 しーぐれいすが着桟する有川港の浮桟橋は,有川港B防波堤灯台(以下「防波堤灯台」という。)から124度(真方位,以下同じ。)約700メートルの地点に当たる港奥に設けられ,海底に打ち込まれた4本の支柱で保持されて潮高の変化に応じて上下するようになっており,幅が15メートルで,ほぼ210度方向を向いた長さ40メートルの接舷側の南端から同港最奥部にある岸壁までの距離が約20メートルとなっていた。
 浮桟橋には,荷重15トンのボラードが6個設けられ,接舷側に直径1メートル長さ1.5メートルの円筒形の空気式ゴム防舷材5個がほぼ等間隔に取り付けられていた。
(3)入出港配置
 入出港の際には,船橋で船長が操船に,機関長が機関操作に当たり,船首には一航士,船尾には一機士及び甲板長がそれぞれ配置に就いていたが,錨は,錨鎖がワイヤーとターンバックルで甲板上に固縛され,揚錨機の駆動部には定期的に注油されていたものの,平素,投錨の用意がされないまま入出港作業が行われていた。
(4)入港操船時の速力及び着桟方法
 運航管理規程に添付された有川港における港内操船図においては,入港時には港外から減速を開始して浮桟橋の約400メートル手前で約8ノット,250メートル手前で約5ノットにそれぞれ減速したのち,浮桟橋の約50メートル手前でいったん行きあしを止めるように定められていた。
 A受審人は,運航管理者から運航管理規程を遵守するよう定期的に文書で指示を受けていたが,平素から,浮桟橋から約300メートル手前まで両舷極微速力前進の約11ノット,100メートル手前まで片舷主機回転数600の約9ノットと,港内操船図の定めを超えた速力で進行したのち機関を両舷中立運転とし,船首が浮桟橋の北端に並んだころ右舷主機を全速力後進にかけ,左舷船尾を浮桟橋に近付けて係船索をとり,船首が浮桟橋南端に並ぶころ左舷主機を全速力後進にかけ,船首部を浮桟橋に近付けて着桟するようにしていた。
(5)船橋配置者の役割分担
 A受審人は,入港着桟操船時,平素から電磁ログの速力計やGPSの速力表示を自ら参照するなど,船橋の情報資源を活用して行きあしを確認していなかったうえ,機関長の役割は機関操作であるとの認識から,B受審人に速力情報の提供を依頼するなど,船橋の人的資源を有効に活用しないで,あらかじめ自身が設定した通過地点で順次減速して着桟するようにしていた。
 B受審人は,入港着桟時の自身の役割は機関操作であると認識しており,A受審人から速力情報提供の依頼がなかったこともあって,機関操作の際に速力計を見るなどして行きあしを確認する習慣がなく,平素,中立運転とした減速機のクラッチを後進に切り替える際には,行きあしを確認しないまま,遊転中のプロペラ軸の回転数が約200に低下していることを確認することによってクラッチが中立に切り替わった状態であると最終的に判断し,その後,クラッチを後進側に操作していた。
 また,本件発生当時,電磁ログの速力計は,以前から受感部に不具合を生じたまま作動しておらず,A受審人がGPSで行きあしを確認してB受審人に速力情報を提供するとか,B受審人がA受審人に同情報の提供を求めなければ,船橋当直者が速力情報を共有できない状況であった。
(6)本件発生に至る経緯
 しーぐれいすは,A,B両受審人及び一航士,一機士並びに甲板長の5人が乗り組み,平成16年1月25日07時20分榎津港を発し,有川港を経由して佐世保港に入港したのち,旅客9人を乗せ,船首1.0メートル船尾1.8メートルの喫水をもって,同日10時00分同港を発し,有川港に向かった。
 発航操船を終えたのち,A受審人は,操船を一航士に委ねて甲板長を見張りに就け,機関当直の機関長とともに船橋で当直に当たらせて降橋した。そして,11時29分半長崎県野案中島北岸沖合約700メートルに当たる防波堤灯台から042度4.2海里の地点で昇橋し,折から風速18ないし19メートル(毎秒メートル,以下同じ。)の北西風が吹く状況下,一航士に操船を委ねたまま同島を左舷側に約0.4海里離して付け回したのち,同時32分防波堤灯台から039度3.3海里の地点に達したとき,一航士から引き継いで自ら操船に当たり,当直中の機関長をそのまま機関操作に就け,西方にある同県中通島に遮られて風勢が少し弱まる状況下,北西風を右舷側に受ける態勢で有川湾を南下した。
 11時40分A受審人は,防波堤灯台から020度460メートルの地点に達したとき,微速力前進を令して徐々に速力を16.0ノットに減じ,防波堤灯台を左舷側に約120メートル離す態勢で,有川港防波堤入り口に向けて進行した。
 11時41分少し前A受審人は,防波堤灯台から330度130メートルの地点に達して極微速力前進を令したのち,左舵をとって徐々に左転を始めた。そして,11時41分防波堤灯台から242度80メートルの地点に達したとき,針路を港奥に向く133度に定め,機関を両舷極微速力前進にかけたまま,後方から12ないし13メートルの風圧を受け,15.0ノットの速力で続航した。
 定針したとき,A受審人は,乗組員に船首尾配置に就くよう指示したものの,一航士に指示して投錨用意をすることなく,平素のように,あらかじめ設定した通過地点で順次減速し,浮桟橋の前面で機関を後進にかければ無難に着桟できるものと思い,GPSの表示を参照するなど,自ら行きあしを確認することも,B受審人に速力情報を提供することもしないまま,11時42分防波堤灯台から144.5度410メートルの地点に達して浮桟橋北端までの距離が約330メートルとなったとき,針路を同桟橋に向首するよう100度に転じて右舷主機中立を令した。
 B受審人は,号令を受けて右舷減速機のクラッチを中立としたのち,クラッチ作動油圧力が低下して警報が鳴り,クラッチ中立の表示灯が点灯して右舷プロペラ軸回転計の示度が下がり始め,右舷減速機のクラッチが正常に作動して中立に切り替わったものの,電磁ログの速力計が作動しない状況下,速力情報が得られず,A受審人に速力情報の提供を求めなかったこともあって,その後,平素より過大な行きあしによって同プロペラ軸が300回転を超える回転数で遊転していることを認めなかった。
 転針したのち,しーぐれいすは,依然として,A受審人がGPSによって行きあしを確認することも,B受審人に速力情報を提供することもせず,船橋当直者2人が速力情報を共有するなど,船橋資源を十分に活用することなく,後方から風力6の風圧を受けて,14.5ノットの過大な行きあしで浮桟橋に接近していることに気付かないで続航し,11時42分半防波堤灯台から128度600メートルの地点に当たる,浮桟橋の北端まで約100メートル,左右両舷の陸岸までの距離がそれぞれ約70及び90メートルの海域に達して,行きあしが14.0ノットとなったとき,A受審人が左舷主機中立を令した。
 B受審人は,号令を受けて左舷減速機のクラッチを中立としたのち回転計を見たところ,右舷プロペラ軸回転計の示度が約200まで低下していないことを認め,過大な行きあしによって遊転中の同軸の回転数が平素より増加していることに気付かないまま,右舷減速機のクラッチが中立に切り替わらないで前進に入ったままであると判断してその旨をA受審人に報告した。
 A受審人は,とっさに両舷全速力後進を令して間もなく,左舷主機が後進に入ったものの,右舷主機が後進に切り替わらないまま,投錨することができない状況下,非常事態が発生したことを船首尾配置に連絡して係船索を早期に浮桟橋にとるなどの措置をとるよう指示しないで,B受審人が機関操作を行っている様子を見ながら,右舷主機が後進にかかるのを待った。
 B受審人は,右舷減速機のクラッチが前進に入ったままであると判断を誤り,号令に応じて速やかに両舷全速力後進にかける措置をとることができないまま,まず,左舷減速機のクラッチを全速力後進に操作した。そして,右舷減速機については,いったん主機を停止すればクラッチが中立に切り替わると考えて,右舷主機を停止して再起動したのち右舷減速機のクラッチを後進に入れることにして機関操作を続けた。
 こうして,しーぐれいすは,B受審人が機関操作に当たったまま,両舷全速力後進にかけるまでに時間を要して過大な行きあしを減殺する時機を失し,11時43分少し前船首が浮桟橋の北端を左舷側に約10メートル離して航過したのち,なおも前方の岸壁に向けて進行中,ようやく右舷主機が後進にかかった直後,11時43分127度を向いた船首部が,2.0ノットの速力で,防波堤灯台から125.5度740メートルの地点に当たる岸壁にほぼ直角に衝突した。
 当時,天候は曇で風力6の北西風が吹き,潮候はほぼ高潮時で,長崎西海上には海上風警報が発表されていた。
 衝突の結果,しーぐれいすは,船首部に破口を伴う凹損を生じ,岸壁に損傷を生じたが,のち損傷部はそれぞれ修理された。

(本件発生に至る事由)
1 運航管理規程に定められた速力を超えた行きあしで入港着桟していたこと
2 平素から,非常事態の発生を想定した入港準備を行っていなかったこと
3 着桟操船の際,平素から船長が行きあしを確認していなかったこと
4 機関を操作する際,平素から機関長が行きあしを確認していなかったこと
5 投錨用意をしていなかったこと
6 後方から風力6の風圧を受けて,過大な行きあしで進行したこと
7 船長が電磁ログの速力計が作動しない状況のまま運航を続け,行きあしを確認せず,機関長に速力情報を提供せず,船橋資源が有効に活用されなかったこと
8 機関長が速力情報の提供を求めなかったこと
9 中立状態で遊転中の右舷プロペラ軸の回転数が平素より増加していたこと
10 機関長が右舷減速機に不具合が生じたものと判断を誤ったこと
11 機関を両舷全速力後進にかけるまでに時間を要し,過大な行きあしを減殺する時機を失したこと
12 当時,風力6の北西風が吹いていたこと
13 しーぐれいすが軽合金製であったこと

(原因の考察)
 しーぐれいすの船橋配置者が,電磁ログの速力計が作動しない状況下,GPSで行きあしを確認して互いに速力情報を共有していれば,右舷主機減速機が正常に作動していることを認識でき,両舷主機を適宜後進にかける措置をとることによって,本件発生を回避することができたと認められる。
 また,投錨用意をしていれば,右舷主機を再起動して後進にかける間に,錨を使用して過大な行きあしを減殺することができたと認められる。
 したがって,A受審人が,後方から風力6の風圧を受けて過大な速力で進行したこと,船橋資源を有効に活用しなかったことによって機関長に右舷減速機に不具合が生じたものと判断を誤らせたこと,機関を両舷全速力後進にかける措置をとるまでに時間を要し,行きあしを減殺する時機を失したこと,投錨用意をしていなかったことは,いずれも本件発生の原因となる。
 A受審人が,平素から,運航管理規程に定められた速力を超えた行きあしで入港着桟していたこと,非常事態の発生を想定した入港準備を行っていなかったこと,行きあしを確認していなかったこと,B受審人が,機関操作をする際,平素から行きあしを確認していなかったこと,速力情報の提供を求めなかったこと,右舷減速機に不具合が生じたものと判断を誤ったことは,いずれも本件発生に至る過程で関与した事実であるが,本件結果と相当な因果関係があるとは認められない。しかしながら,これらは海難防止の観点から是正されるべき事項である。
 当時,中立状態で遊転中の右舷プロペラ軸の回転数が平素より増加していたこと,風力6の北西風が吹いていたこと,しーぐれいすが軽合金製であったことは,本件発生に至る過程で関与した事実であるが,いずれも原因とならない。

(海難の原因)
 本件岸壁衝突は,長崎県有川港に入港着桟するに当たり,投錨用意をしなかったばかりか,船橋資源の活用が不十分で,過大な行きあしを減殺する時機を失したことによって発生したものである。
 船橋資源の活用が十分でなかったのは,船長が,電磁ログの速力計が作動しない状況下で着桟操船に当たる際,GPSで行きあしを確認することも,速力情報を機関長に提供することもしないまま過大な行きあしで進行し,速力情報を得られないまま機関操作に当たった機関長に,右舷主機減速機に不具合が生じたものと判断を誤らせ,右舷主機を再起動して機関を両舷全速力後進にかけるまでに時間を要したことによるものである。

(受審人の所為)
 A受審人は,電磁ログの速力計が作動しない状況下,後方から風力6の風圧を受ける態勢で長崎県有川港に入港着桟する場合,GPSで行きあしを確認して船橋配置者に速力情報を提供するなど,船橋資源を十分に活用すべき注意義務があった。しかしながら,同人は,平素のようにあらかじめ設定した通過地点で順次減速し,浮桟橋の前面で機関を後進にかければ無難に着桟できるものと思い,船橋資源を十分に活用しなかった職務上の過失により,速力情報を得られないまま機関操作に当たった船橋配置者に,右舷減速機に不具合が生じたものと判断を誤らせ,機関を両舷全速力後進にかけるまでに時間を要し,過大な行きあしを減殺する時機を失して岸壁衝突を招き,しーぐれいすの船首部に破口を伴う凹損を生じさせ,岸壁に損傷を生じさせるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては,海難審判法第4条第2項の規定により,同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。
 B受審人の所為は,本件発生の原因とならない。

 よって主文のとおり裁決する。





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