(海難の事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成16年1月31日09時52分
鹿児島県川辺郡笠沙町小浦港北方
(北緯31度25.0分 東経130度11.7分)
2 船舶の要目等
(1)要目
船種船名 |
漁船第2希望丸 |
総トン数 |
1.60トン |
全長 |
7.92メートル |
機関の種類 |
電気点火機関 |
漁船法馬力数 |
30 |
(2)設備及び性能等
第2希望丸(以下「希望丸」という。)は,昭和51年10月に進水した船外機付き和船型FRP製漁船で,定置網漁業等に使用され,操舵は船尾端に腰掛けて舵柄を手で握って行うようになっていた。
航海全速力は約14ノットで,同速力航走時の旋回径は約40メートルであった。船首死角については,航海全速力で航走中,操船者が船尾端の定位置に腰掛けた姿勢で前方を見たとき,若干の船首浮上による死角が生じるものの,水平線が見える状況であり,約11ノットで航走するとき,約40メートル先までの船首方海面が見えなくなる状況であったが,同死角は,身体を左右に寄せたり,船首を左右に振ることで解消されていた。
3 船置場(以下「小浦港」という。)沖の定置網の設置状況
小浦港の西側沖は,笠沙町小浦から北方に2,000メートルばかり突き出した岬となっていて,同岬の東側南部の沿岸は,H組合による共同漁業権が設定され,同組合から承認を受けて地元漁業者がつぼ網の一種で粕谷式家族定置網と呼称する小型定置網を設置しており,A受審人の父及び兄がヨボセ瀬漁場及びいかまち瀬漁場にそれぞれ同定置網を設置し,ヨボセ瀬漁場の定置網の,魚捕部がある箱網の中心部位置(以下,定置網の場所については箱網の中心部位置で表わす。)が鹿児島県片浦港防波堤灯台(以下「防波堤南灯台」という。)から077度(真方位,以下同じ。)900メートル,いかまち瀬漁場の定置網が同じく076度760メートルのところにそれぞれあるほか,他の漁業者によって,トビ瀬漁場の定置網が同灯台から098度880メートル,魚見岳漁場の定置網(以下,定置網の呼称については「漁場」を省略する。)が同じく123度1,050メートルのところにそれぞれ設置されていた。そして,これらの定置網の道網の長さは,それぞれ同岬の東岸の岩場から75メートルないし120メートルであった。したがって,これらの定置網のフロートの東端付近を結ぶ線上は,定置網の網起こしや同網の張り替えなどを行う定置網漁船の通航路となっていた。
4 事実の経過
希望丸は,A受審人が単独で乗り組み,陸揚げして修理したいかまち瀬定置網を設置する目的で,同網の運動場及び箱網部分を積載し,平成16年1月31日08時45分小浦港を発し,少し遅れて同受審人の兄が船長で乗り組むJ号が,道網を積載して同港を発し,両船が共に,いかまち瀬定置網の枠綱及びフロートが設置されている場所に向かった。
08時47分少し過ぎA受審人は,魚見岳定置網のすぐ沖合に達し,つぎに設置されているトビ瀬定置網の箱網のフロート東端付近に向け,針路を北方に定めたとき,あるいはその少しのち,左舷前方約300メートル以内のところに,20秒ないし30秒間隔で浮上しては息継ぎをしながら素潜り漁を行っている潜水者Eが存在したが,その付近にE潜水者の存在を示す作業船等が存在しなかったことや,同潜水者が自己の存在を示す目立つ浮き標識を備えていなかったこともあって,これを認めなかった。
08時50分ごろA受審人は,いかまち瀬定置網に至り,運動場,箱網及び同網付きの魚捕部の順で設置したのち,少し遅れて道網の設置を開始していた兄を残し,帰港する目的で,船首0.06メートル船尾0.07メートル,船外機の推進器下端までが0.51メートルとなった喫水をもって,右舷船尾端の定位置に腰掛けて左手に舵柄を握り,09時50分39秒防波堤南灯台から075度780メートルの地点を発進し,針路をトビ瀬定置網の北東端のフロート付近に向く154度に定め,船外機のスロットルを4分の3開とし,11.0ノットの速力(対地速力,以下同じ。)で進行した。
09時51分30秒A受審人は,トビ瀬定置網の北東端のフロートの北方50メートルばかりの,防波堤南灯台から094度880メートルの地点に差しかかったとき,間もなく,同定置網の東端にある数個のフロートを替わして針路を南に転ずる予定としていたことから,予定針路方向の右舷前方を見渡したものの,このとき,右舷前方170メートル付近の海面か海中にE潜水者が存在したが,同潜水者の近くに警戒する作業船等がいなかったこと,同潜水者が浮上しても息継ぎしたのちすぐに潜っていたこと,自己の存在を示す目立った浮き標識をロープを介して身体に取り付けていなかったことなどにより,同潜水者の存在に気付かなかった。
09時51分37秒A受審人は,防波堤南灯台から096度900メートルの地点に達し,トビ瀬定置網の北東端のフロートを右舷側に20メートルばかりで航過したとき,わずかに右舵をとって同定置網東端の各フロートを右舷側至近に望みながら続航し,同時51分45秒同灯台から099度910メートルの地点で,同定置網南東端のフロートを右舷側に20メートルばかりで航過し,針路を魚見岳定置網北東端のフロート付近に向く187度に転じたとき,右舷船首18度130メートルのところに,黄色の小浮体を視認したものの,このとき,正船首80メートルのところの海面か海中にE潜水者が存在したが,前示のとおり,同潜水者の存在を示す措置がとられていなかったので,依然として同潜水者の存在に気付かなかった。
A受審人は,黄色の小浮体を単なる浮遊物と思ったことから,その約50メートル手前にE潜水者がいることなど思いもよらず,同潜水者を避けないまま,同じ針路及び速力で進行中,09時52分防波堤南灯台から104.5度910メートルの地点において,希望丸は,その推進器翼が,海面下わずかのところをほぼ水平の態勢で潜水していたか,あるいは,海底付近から急浮上中であったかの同潜水者の前額部に接触した。
当時,天候は晴で風はほとんどなく,海上は平穏で,潮候は上げ潮の初期にあたり,付近水深は約6.5メートルで,視界は良好であった。
A受審人は,船外機及びその舵柄に衝撃を受け,不審に思い減速して回頭し,同地点に戻って機関を停止したところ,海面下の海水が赤く濁り,その下に黒っぽい物体を認めて人であることを知り,海中に数回潜って引き揚げようと試みたが,E潜水者の沈む海底まで潜ることができず,来援した兄が小浦港に急行して救助を要請し,消防隊員の救助によって同潜水者が引き揚げられた。
また,E潜水者は,C社に臨時雇用され,地元では,とんみながいと称する巻貝を採捕する目的で,F及びG両社員とともに,K号に乗船し,同日08時30分鹿児島県片浦漁港(仁王崎地区)を発し,同時40分ごろ烏帽子瀬西方の漁場でF社員が降りたのち,同時43分防波堤南灯台から111度840メートルの,水深2ないし3メートルの漁場に降り,同船はG社員が操船して3番目の桟敷島北側の漁場に向かった。
ところで,C社は,各漁場に1人ずつ別れて貝を採捕することにしており,その際,採捕した貝の収納袋として,深さ約35センチメートル(以下「センチ」という。)の袋状の網の口に直径18センチの丸枠を取り付け,同丸枠に採捕漁場の水深に合わせて適当な長さとしたロープをつなぎ,同ロープの先端を,黄色のビニールテープを全体に巻き付けた容量500ミリリットルのペットボトル(以下「黄色小浮体」という。)1個の首に結わえて集荷時の目印とし,また,通航船舶に対する潜水者の存在を示す標識としていたものの,接近する船舶に注意を促すために作業船等を配置するなり,浮き標識を目立つ色の浮環などとしてその中央に目立つ色の旗を立てるなど,潜水者の存在を示す措置をとらなかった。
E潜水者は,自らが発案した黄色小浮体付きの収納袋3組を所持し,黒色の,ウエットスーツの上下,フード及びフィンに,黒色で縁が黄色の水中眼鏡,同眼鏡に取り付けたシュノーケル及び腰にウエイトベルトを装着し,漁場到着後すぐに貝の採捕を開始し,とんみながい約14キログラム採捕して1組の収納袋が満杯となったところで浅海での採捕を終え,09時40分ないし同時48分ごろ防波堤南灯台から107度880メートルにあたる地点の海底に,同収納袋を置き,間もなく深みを探索することとし,同地点を発した。
このときE潜水者は,満杯として置いた同袋付きの黄色小浮体の下部に,空の収納袋付きの黄色小浮体2組を結び付け,手ぶらの状態で同地点を発し,海底の貝の分布が見易いように,わずかに潜水したり,時には深く潜水したりしながら,20秒ないし30秒おきに浮上し,息継ぎをしてはまた潜水しながら,北東方に向かううち,いつしか定置網漁船の通航路付近の海域に至った。
09時51分30秒E潜水者は,事件発生地点付近に至ったとき,北方170メートルのところに南下する希望丸を視認でき,また,同船の船外機音が聞こえる状況となったが,フードを被っていたためか,あるいは潜水中であったりしたことから,同船の接近に気付かず,同時52分わずか前,海面下わずかのところをほぼ水平の態勢で潜水中に希望丸の船外機音を横方向に聞いて同方向に顔を向けたか,あるいは,海底付近から急浮上中,前示のとおり,同潜水者の前額部が同船の推進器翼に接触した。
その結果,希望丸は推進器翼に擦過傷を生じ,E潜水者が脳挫傷を負い,のち病院で死亡と診断された。
(本件発生に至る事由)
1 希望丸
(1)A受審人が,往航中,素潜り漁を行っているE潜水者の存在を認めなかったこと
(2)A受審人が,トビ瀬定置網の北方50メートルばかりの地点で,予定針路方向の右舷前方を見渡したものの,右舷前方170メートル付近の,海面か海中にE潜水者が存在したが,同潜水者の存在に気付かなかったこと
(3)A受審人が,針路を187度に転じたとき,右舷前方に黄色の小浮体を視認したものの,このとき,正船首80メートルのところの海面か海中にE潜水者が存在したが,同潜水者の存在に気付かなかったこと
(4)A受審人が,E潜水者に気付かず,同潜水者を避けなかったこと
2 E潜水者
(1)E潜水者が,ペットボトルによる黄色小浮体を発案し,これを使用して素潜り漁を行っていたこと
(2)E潜水者が,黄色小浮体付きの空の収納袋のロープを身体に結わえて自己の存在を目立つようにする措置をとらなかったこと
(3)E潜水者が,探索中,定置網漁船の通航路となっているトビ瀬及び魚見岳両定置網の先端部を結ぶ線付近に立入ったこと
3 C社
C社が,潜水者に接近する船舶に注意を促すために作業船等を配置するなり,浮き標識を目立つ色の浮環などとしてその中央に目立つ色の旗を立てるなど,潜水者の存在を示す措置をとっていなかったこと
(原因の考察)
本件は,鹿児島県川辺郡笠沙町桂瀬鼻南方の沿岸近くで,希望丸が,定置網の設置を終えて帰途南下中,一方,E潜水者が,自己の存在を示す措置をとらないまま定置網の南方で素潜り漁で貝の採捕を行い,事件発生前には同漁を中断して探索行動中,発生したものである。
希望丸は,前方の見張りを行いながら進行していたものであり,事件発生の30秒前,トビ瀬定置網の北東端のフロートの北方50メートルばかりの地点に差しかかったとき,右舷前方170メートル付近の海面か海中にE潜水者が存在したが,同潜水者の近くに警戒する作業船等がいなかったこと,同潜水者が浮上しても息継ぎしたのちすぐに潜っていたこと,自己の存在を示す目立った浮き標識をロープを介して身体に取り付けていなかったことなどにより,同潜水者の存在に気付かなかったものである。
したがって,A受審人が,定置網の北東端フロートの北方50メートルの地点に至ったとき,右舷前方170メートル付近の,海面か海中に存在したE潜水者に気付かなかったこと,針路を187度に転じたとき,正船首80メートルのところに存在したE潜水者に気付かなかったこと,同潜水者を避けなかったことは,いずれも,潜水者が自己の存在を示す措置をとっていなかったことに起因するものであるから,本件発生の原因とならない。
A受審人が,定置網漁場への往航中,左舷側の陸岸寄りで,素潜り漁を行っているE潜水者の存在を認めなかったことは,同漁が定置網の箱網付近の水深まで沖出しして行われるものとは予測できず,一般的な素潜り漁は,沿岸で行われるもので定置網漁船の往復航路の安全運航に支障がある状況とはなり得ないのであるから,本件発生にかかわるものとは認められない。
一方,潜水者において,素潜り漁とはいえども,20秒ないし30秒の間は姿が見えず,また,息継ぎで浮上してもすぐ潜る状況であり,通航船の通常の見張りでは,その存在を確認することは困難であり,船舶が通常通航する海域においては,自己の生命を守るためにもその存在を示す措置をとらなければならないことは当然である。
したがって,E潜水者が,黄色小浮体付きの空の収納袋のロープを身体に結わえて自己の存在を目立つようにする措置をとらなかったこと,探索中,定置網漁船の通航路付近の海域に立入ったことは,いずれも本件発生の原因となる。
C社において,潜水者に接近する船舶に注意を促すために作業船等を配置するなり,浮き標識を目立つ色の浮環などとしてその中央に目立つ色の旗を立てるなど,潜水者の存在を示す措置をとらなかったことは,本件発生の原因となる。
(主張に対する判断)
C社側補佐人は,「事件発生地点が,防波堤南灯台から125度850メートルの地点であり,A受審人が指示した同灯台から104.5度910メートルの地点は,水深が6.11メートルであり,このような深いところでE潜水者がトンミナ漁を行っていたとは考えられず,何らかの理由で,A受審人がE潜水者に近付いて本件が発生した。また,ペットボトルには黄色のテープが全体に巻いてあるからラベル等でないことは一目瞭然であり,何らかの注意を促す標識と認識できるから,同受審人の見張り不十分が本件発生の主要原因である。」旨主張するのでこの点について検討する。
まず,補佐人の主張する事件発生地点であるが,これは,消防組合(E潜水者を救助)の回答書中に添付の海図写にE潜水者の救助地点の記載があり,これを根拠としたものであるものの,同救助地点の記載は,次のことから,矛盾が生じる。
(1)同地点は,海図上の2メートル等深線よりはるかに陸岸寄りにあって,海図上では0.5メートルないし1.0メートル未満の水深にあたるところであり,本件当時の潮候は上げ潮の初期で,潮高が約153センチとなるから,同地点の本件当時の実水深は約2.03メートルないし2.53メートル未満となり,A受審人に対する質問調書中,「とっさに合羽と長靴を脱いで海中に飛び込んだが水深が6ないし7メートルのところだったので,半分ぐらいのところまでしか潜れず,3回試みたが無理だった。」旨の供述記載に矛盾すること
(2)同地点は,ほぼ最低低潮時の岸線から約45メートルのところであり,すぐ南側に岩場があることから,船外機船といえども速力を落として海水の色を見ながら進行しなければならない危険な水域であり,A受審人がこのような水域に立ち入る必然性がないこと
(3)南側約70メートルのところには,沖に向かって延びる定置網の道網があり,希望丸がそのまま南下すれば同道網に乗り揚げるか,プロペラが絡網すること
(4)定置網漁業者は,航路筋付近にある定置網を除き,他人の定置網の近くには所有者の要請がない限り,接近することはないこと
(5)A受審人の指示した地点は,検査当時の実測水深が6.11メートルで,当時の潮候は低潮時で潮高が約117センチであることから,海図に用いられる水深値の4.94メートルのところに検査時の船位(A受審人の指示地点)があったことになり,A受審人が海図を見ることなく,トビ瀬,魚見岳の両定置網及び陸岸との相対位置のみを見て,この付近であると合図したときのGPSが表示する位置を,海図に落としたところ,同位置が海図記載の5メートル等深線の至近となっており,同受審人の指示地点には妥当性があること,また,本件発生当時の潮候が,上げ潮の初期で潮高が約153センチとなるから,前示海図水深値4.94メートルに約1.53メートルを加算すると,同指示地点における本件発生時の実水深は約6.47メートルとなり,同受審人に対する質問調書中,「水深が6ないし7メートルであった。」旨の供述記載とも合致すること
(6)消防組合の回答書中,救助活動報告書中の救助活動概要の欄に,「傷病者が水深約7ないし8メートルの海底に仰臥位で沈んでいるのが確認された。」旨の記載があること
(7)F社員に対する質問調書中,「トンミナの生息範囲は,2ないし3メートルのところから14ないし15メートルのところに多くいる。」旨の供述記載から,E潜水者が浅海の貝を採り終えたのち,更に深みを探索することは有り得ること
以上のことから,事件発生地点に疑義を唱える補佐人の主張を肯認できない。
つぎに,ペットボトルには黄色のテープが全体に巻いてあるからラベル等でないことは一目瞭然ということであるが,確かに,特殊なものでない限り黄色のラベルを貼ったようなペットボトルはなく,周囲から見て目立つものと認められるが,航行中の船舶から見たとき,単に浮遊するごみとか,釣り人が流し釣りに使用している浮きと見られる可能性があり,速力の遅い手漕ぎボート等に注意を喚起するときには,ある程度の効果があると認められるものの,速力が速く避航動作を瞬時にとれない一般船舶にとっては,視認したときには避航動作が間に合わないこととなり,ほとんどその効果は期待できないと認められる。また,小浮体であることから,波浪が発生すればすぐに視認できなくなるものであり,同ペットボトルが,何らかの注意を促す標識と机上では認識できても,海上では認識できないことの方が多いと認められ,接近する船舶への注意喚起標識となり得るとする論理には無理がある。また,A受審人に対する質問調書中,「トビ瀬の定置網東端のフロートを回り込んでいたとき,黄色の小浮体を右舷前方に認めた。進路から離れていたし,単なる流れものと思って気に止めなかった。」旨の供述記載があり,同受審人が前方の見張りをしていたから視認したものであり,仮に,E潜水者が同浮体をロープを介して身体に結わえていれば,同受審人は,自船の針路線付近に同浮体を視認することができたと認められ,同浮体付きの潜水者を避航することができ,本件は発生しなかったと認められるところであり,敢えて補佐人の主張を肯認する理由はない。
(海難の原因)
本件潜水者死亡は,鹿児島県川辺郡笠沙町小浦港の北方において,潜水者が,自己の存在を示す措置をとらなかったばかりか,漁船の通航路付近の海域に立入ったことによって発生したものである。
(受審人等の所為)
C社が,鹿児島県川辺郡笠沙町小浦港の北方において,貝採捕の目的で素潜り漁を行う際,潜水者に接近する船舶に注意を促すために作業船等を配置するなり,浮き標識を目立つ色の浮環などとして目立つ色の旗を立てるなど,潜水者の存在を示す措置をとらなかったことは本件発生の原因となる。
C社に対しては,本件発生後,浮環に黄色の三角旗を立てたうえ,船上に赤地の許可旗を掲げて潜水者の存在を示していることに徴し,勧告しない。
A受審人の所為は,本件発生の原因とならない。
よって主文のとおり裁決する。
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