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仲島忠治郎コレクション
石田憲治
1. コレクションが深江に来た経緯
 平成16年度の博物館事業の中に、「仲島忠次郎コレクション」目録作りがありました。仲島忠次郎コレクションが入っていた段ボール大小10箱を開封して、分類とデジタルデーター入力作業を本格的に始めたのが2年前です。それ以前に、専門員の樋口教授がジャンル別に整理し、コレクションリストを作成していましたので、今回はそれの詳細版にあたります。
 そもそも、仲島忠次郎氏のコレクションが深江の海事博物館に寄贈された経緯は定かではありません、樋口先生の海事資料館研究年報第29号(2001年発行)から引用すると;“仲島氏は生前蒐集品をY市の某博物館のI氏に託された。所がY市は政争で混乱し、この蒐集品が粗略に扱われ散逸する恐れも考えねばならぬ状態になった。そのためI氏はこの蒐集品がまとまって安全に保存されるようにと松木氏(神戸商船大学名誉教授)に委託された。それから既に数十年が経過しておりこれを公表しても迷惑を懸ける人もいないと思われる”
 今回、コレクションの新聞の切り抜きを整理していると、神戸商船大学に関する記事が10件ほどありました。昭39年5月22日の朝日新聞朝刊に“(神戸)商船大に海事博物館、完成は三年後貴重な資料を公開”の記事を切り抜いたものがありました。そして、彼は当時の商船大学長に昭和36年2月23日の毎日新聞夕刊の“私のコレクション船の絵はがき”記事を送っている事がわかりました。彼は、蒐集品を最終的には神戸商船大学海事資料館に委ねたいと考えていたようです。以上の経緯からコレクションは1980年頃当博物館に寄贈されました。
 
2. 仲島忠次郎さんの横顔
 一般的に、新聞等にその人となりの記事が出るような人物であれば、少なくとも生年月日等は判明するものですが、私達が熱心に調査しなかったこともありますが、忠次郎さんは間違いなく“謎多い人物”です。以下は、新聞や雑誌等に掲載された資料を基に経歴や行動を推測したものです。
 
仲島忠次郎氏
1976.7年頃鎌倉の自宅前にて:
(横浜マリタイムミュージアム提供)
 
・1903年(明治36年)頃生まれ、鎌倉市民
・11歳の時に家の前に住む、日本郵船の乗組員から船を変わるたびに船の絵はがきをお土産にもらったのが収集の始まり
・高等小学校卒業後「かべ屋の小僧」と言われた
・船会社に絵はがきなどの資料の依頼状を出し続ける
・製油会社の給仕、株式仲介人の下働きをしながら、給料をほとんど船の絵はがき購入に充てる、また航路案内も集め出す
・関東大震災でコレクションの全てを灰にした
・物産商(20歳頃)時代、中国大陸へ仕入れに行くときに収集を再開
・出版社の校正係時代 50円貯まると船に乗る(神戸−基隆間は18円)
・百貨店組合時代 船会社があきれるほど資料送付の依頼状を書き続ける
・空き巣に入られ全てを失う、海外の船会社に同様の依頼状を出す
・第二次大戦中はスパイと間違えられる、コレクションを上州(群馬県)の尻高に疎開させる
・戦中戦後、全国機帆船組合連合会や船舶運営会に勤務
・裁判官弾劾裁判所事務局参事を最後に退職(昭和45年頃)し、退職金他130万円を元に23日間の世界一周の船旅
・約25,000点の海事資料を収集していた
・クイーンエリザベスII世号で1週間の旅
・78歳頃没?
・各種蒐集家として有名―海事資料、割り箸袋、時刻表、国鉄・私鉄の切符、デパートの包装紙、各種領収書、ステッカー、メニュー、コースター、ラベル、その他紙切れ(戦中戦後の外食券や衣類券、ロウソクを買う停電証明書)―
 
3. 仲島忠次郎氏の関連記事リスト
 コレクションの中から、実際に仲島忠次郎氏が寄稿したり、取材を受けた掲載記事は多数になったことと思われますが下記はそれらの一部と考えられます。
・“金毘羅宮と船”三光月報 第30号、三光汽船(株)社報 pp.28-32, 昭和18年12月
・“たからぶね”三菱造船 Vol.2. No.5 pp.30-31, 1954、(昭和29年1月)
・“私のコレクション”、毎日新聞夕刊、昭和36年2月23日
・“捨てずにためた60年「もったいなくて」風変わり紙くずコレクション展”朝日新聞、昭和54年2月18日
・ある会合 船キチ“商船派”15日間チャーター計画、サンデー毎日、昭和43年9月8日号
・“物の不足の時代を偲んで”百万塔 第29号、紙の博物館 pp.49-50, 昭和49年9月
・“僕の世迷言”百万塔 第38号、紙の博物館 pp.31-32, 昭和50年
・東京、産経、読売、朝日、神奈川新聞 昭和51年5月23日「船のコレクション展示・即売・交換会」
・“僕は紙屑屋”百万塔 第45号、紙の博物館 pp.51-52, 昭和53年3月
 
4. コレクションについて
4.1 概要
・総数 13,890点(多数の小片、同じ資料はカウントしていない)
・海外資料 7,519点 国内資料 5,822点 未分類(カレンダー、フラッグ、土産品、会社の報告など)549点
資料の新旧
・一番古いコレクション 1898年
E.Wagen-borg's Scheepvaart 社Pamphlet Navigare Necesse Est 7ページ
・一番新しいコレクション 1977年
書籍(Book)Steam Whaling 127ページ
 
4.2 コレクションの件数と分類
 このコレクションの目録を作成するにあたり、分類資料の種別が広範囲また膨大な数量であることから、便宜的に以下の2大分類としました。
分類1 海外(輸送、運航) 日本(企業別)その他の雑誌や社報 の3区別。
分類2 企業(海運、航空、造船、官庁、団体、機関等)に属する以下の種類に区別しています。
 
海外
輸送
運航
メニュー
ラベル
荷札
乗船券
絵葉書
時刻表
未分類
ポスター
667
4,025
192
337
1,094
11
300
6
779
108
海外合計 7,512
 
日本
扇子類
運航
ウー
ラベル
荷札
乗船券
絵葉書
時刻表
未分類
ポスター
9
4,541
61
178
150
26
166
143
349
199
日本合計 5,822
 
未分類
フラッグ
カレンダー・土産
メニュー
78
46
425
分類合計 549
 
海外合計
日本合計
未分類含
7,519
5,822
549
総資料 13,890
 
【区別】
・時刻、運賃表 Fare & Schedule
・会社・運航案内・観光パンフレット booklet, pamphlet
・進水、完工記念資料 pamphlet, booklet
・船内案内 Cabin & deck plan
・設計図面 General Arrangement
・海運会社、造船所、機械メーカー出版物(社報) booklet, pamphlet
・ポスター、カレンダー poster, calendar
・私信 typedpaper, paper
・乗船券・乗船券入れ袋 ticket, envelope
・書籍、本 bookorbooklet
・新聞切り抜き newspaperscrap
・荷札(タグ) tag
・絵葉書 postcard
・神社縁起刷物 ornament
・その他上記の区別に属さないもの分類 ラベル:label, 卓上フラッグ:flag、メニュー:menu,
・ナフキン:napkin, コースター:coaster
 
4.3 コレクションの代表
(1)時刻、運賃表:Fare & Schedule
 
 
(2)運航・観光案内パンフレット:pamphlet
 
(3)会社案内パンフレット:Pamphlet


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