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〔解説〕
 以上の非常電源等に関する船舶設備規程及び省令 船舶検査心得を要約し、まとめたものを表2・1〜表2・3に掲げたので参考にされたい。
 
表2・1 非常電源(船舶設備規程第299条〜300条の2)
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備考:非常電源は、次の容量を有するものでなければならない。
(1)上表の設備を同時に作動させるために十分な容量。
(2)船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動させるために十分な容量。
(主推進機関(複数の場合は、いずれか)、主発電機、主ボイラを30分以内に運転状態に入れるようにする。手動により、空気圧縮機を作動させ、又は非常用の空気圧縮機を作動させることによりこれらを30分以内に運転状態に入れるようにしてもよい。)
(3)船舶消防設備規則第5条第5号の固定式加圧水噴霧装置のポンプに給電する場合には、当該ポンプの主動力源が故障した場合に自動的に作動して十分に給電できるものでなければならない。
 なお、(2)については、限定近海貨物船に備えるものを除き、また、非常電源から給電されない場合においても船舶の推進に関係ある機関を30分以内に始動される措置が講じられている場合は、この限りでない。
注0:*印は、非常電源から自動給電を必要とする設備であることを示す。
注1:短期間の航海に定期的に従事する船舶にあっては、36時間の給電時間は、申請により、12時間まで軽減される場合もある(上表の(1)の設備を除く。)。
注2:「a」「b」の意味は、次のとおりである。
a:「b」以外のもの。
b:短期間の航海に定期的に従事する船舶。
注3:現在わが国でこの欄の適用を受ける漁船は存在しない。
注4:「救命艇、救命いかだ積付場所及び進水する水面等の照明装置」は、船舶救命設備規則第87条第13号(救命艇、救命艇揚おろし装置及び進水する水面を照明する装置)並びに第90条第1項第7号(救命いかだの積付場所を照明する装置)及び8号(救命いかだ進水装置及び進水する水面を照明する装置)をいう。
注5:「非常標識」については、旅客船に限る。
注6:A1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶は、非常電源から給電することを要しない。
注7:A2水域及びA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶は、非常電源から給電することを要しない。
注8:予備の無線設備の(1)〜(4)については、(5)〜(8)の無線設備と同時に給電される必要はない。
注9:「退船警報装置」は、船舶設備規程第297条により備え付けるもので、非常の際に乗船者に指示を与えるための汽笛、サイレン、補完用の警報装置及び拡声器(電気式のものに限る。)をいう。
注10:「防火戸閉鎖装置」は、船舶防火構造規則第22条の機関区域の防火措置のための防火戸閉鎖装置をいう。
注11:総トン数5,000トン未満の船舶に備える航海用レーダーについては、3時間でよい。
注12:総トン数5,000トン未満の船舶に備える(19)〜(30)の設備については、0時間でよい。
注13:「舵角指示器」は、船舶設備規程第146条の43の舵角指示器をいう。なお、平成14年国土交通省告示第511号第10条第2項第1号に掲げる操舵機室に備える動力源から給電する場合、除外できる。
 総トン数10,000トン以上の船舶にあっては30分間である。
注14:「表示器」は、船舶設備規程第146条の43のプロペラの回転数及び回転方向(可変ピッチプロペラにあってはピッチ)を表示する表示器、及びサイドスラスターの運転状態を表示する表示器をいう。
注15:「消火ポンプ」は、電気式の非常消火ポンプ又は主電源を設置した場所の火災からの影響を受けない電気式のものに限る。
注16:船舶設備規程第288条に規定されている「水中型電動ビルジポンプ」をいう。
注17:「ビルジ管の制御に必要なコック又は弁の操作のための電気設備」は、船舶区画規程第90条第3項に規定されているものをいう。
注18:総トン数10,000トン以上の船舶については、30分間である。
注19:「水密戸開閉装置、警報装置及び指示器」は、船舶設備規程第287条第1項に規定されている電気式のものをいう。なお、操作については逐次操作が認められている。
注20:「水密戸開閉装置及び指示器」は、船舶設備規程第287条第2項に規定されている電気式のものをいう。操作については逐次操作が認められている。
注21:エレベーターの運転については、逐次操作が認められている。
注22:「その他管海官庁が必要と認める設備」は、(9)(3)を有効に作動させるための専用のジャイロコンパスをいう。
 
 
表2・2 臨時の非常電源(船舶設備規程第301条〜301条の2)
設置要件 非常電源が発電機である場合。(※1)
種類及び要件 蓄電池:常に必要な電力が充電されており、電圧を定格電圧の12%以内に維持しながら給電できること。
給電方法 主電源又は非常電源からの給電が停止したとき自動的に、かつ、直ちに給電を開始することができること。
給電時間 30分間(水密戸開閉装置に対しては、3回操作するために必要な時間以上(※2)。)
給電設備 船舶の区分(※3) A B C D E
(1)救命艇、救命いかだ積付場所及び進水する水面等の照明装置(注4)
-
(2)非常標識(電気式のものに限る)(注5)
- -
(3)非常照明装置
(4)船灯(航行中に掲げるもの以外) -
(4-2)船灯(航行中に掲げるもの) - -
(10)信号灯(連続使用) - -
(11)汽笛(連続使用) -
(12)退船警報装置(連続使用)(注9) - -
(13)火災探知装置 - -
(13-2)手動火災警報装置(連続使用) - -
(14)防火戸閉鎖装置(注10) - - - -
(15)非常用の船内通信装置及び船内信号装置
- -
(29)水密戸開閉装置、警報装置及び指示器(注19)
- - - -
(29-2)水密戸開閉装置及び指示器(注20) - - - -
※0 表中の(注4)〜(注20)は、表1の注と同じである。
※1 外洋航行船(国際航海に従事する旅客船を除く。)、内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船においては、非常発電機が“主電源からの給電が停止したとき自動的に始動し、45秒以内に定格出力で給電できるもの”であるときには、臨時の非常電源を備えなくてよい。
※2 国際航海に従事する旅客船及び係留船に限る。
※3 船舶の区分は、次のとおりである。
A:国際航海に従事する旅客船及び係留船。
B:外洋航行船(A及びCを除く。)。
C:限定近海貨物船(総トン数500トン以上)。
D:内航ロールオン・ロールオフ旅客船。
E:国際航海に従事する漁船であって総トン数500トン以上のもの。
 
表2・3 補助電源(船舶設備規程第301条の2の2の規定を要約)
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注(1)(2)及び(4)に対して同時に給電する必要はない。
注(2)(5)・ロ及び(5)・ニに対して同時に給電する必要はない。
注(3)A2水域のみを航行する場合、給電する必要はない。
注(4)A1水域のみを航行する場合、給電する必要はない。
注(5)第299条第2項第22号に規定するジャイロコンパスとは別にインマルサット直接印刷電信又はインマルサット無線電話を作動させるために船舶に備えた場合の当該ジャイロコンパスをいう。
注(6)(1)の設備と同時に使用することができる他のすべての無線設備。
 なお、漁船については船舶検査心得301-2-2.2(a)を参照のこと。
給電等の条件 給電時間 1. 非常電源から給電できる船舶は=1時間以上給電
2. 非常電源から給電できない船舶は=6時間以上給電
給電容量
下記の総負荷A又はBのいずれか大きい負荷に対し、要求される時間給電できること。
1. 上記設備中、(1)〜(4)+(6)=総負荷 A
2. 〃 (5)+(6)=総負荷 B
注 負荷の計算については下記の計算方法による。(船舶検査心得299.2(e))
C = t { 0.5 I (T) + V + α }
t:要求時間(要求される時間に応じ6時間(h)又は1時間(h))
C:負荷(A・h)
I(T):無線設備の送信に必要な電流消費量(A)
V:無線設備の受信に必要な電流消費量(A)
α:上記以外の追加の負荷(ジャイロコンパス、無線設備を操作する場所の照明装置、DC/ACインバーター等)の電流消費量(A)
蓄電池の充電等  補助電源に使用する蓄電池は、10時間以内に要求される最小限の容量まで自動充電することができるとともに、12月を超えない間隔で船舶の停泊中に、蓄電池の電解液の比重を計測すること、電圧を計測すること等により、電池の能力が適正であることを確認すること。(船舶検査心得301-2-2.1(a))







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