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C部 船舶の要件
第6規則 無線設備
1 船舶は、その予定された航海においてこの章の第4規則に規定する機能要件を満たすことができる無線設備であって、この章の第7規則の要件及び当該船舶がその予定された航海において通過する海域に該当するこの章の第8規則から第11規則までのいずれかの要件を満たす(この章の第3規則の規定により免除される場合を除く。)ものを備える。
2 無線設備は、次の要件を満たすものでなければならない。
(1)その適正な使用に対し機械的、電気的その他の原因による妨害を受けない位置並びに他の設備及び装置と電磁的に両立し及び有害な相互作用が生じないことを確保するような位置に設けること。
(2)できる限り最高の安全性及び運用の利用可能性を確保するような位置に設けること。
(3)水又は極端な高温若しくは低温及び他の害を与える環境上の条件による影響から保護すること。
(4)無線設備を操作するための装置を十分に照明するような照明であって、主電源及び非常電源から独立した、確実に機能しかつ恒久的に取り付けられたものを備えること。
(5)無線設備の使用に適用する呼出符号、船舶局識別その他の符号を明確に表示すること。
3 航行の安全のために要求されるVHF無線電話の通信路の制御器は、操舵(そうだ)を指揮する場所に近い船橋内の位置において直ちに使用することができるようにしておくものとし、また、必要な場合には、船橋の両翼から無線通信を行うことを可能にする設備を設ける。持ち運び式VHF装置は、当該設備に代えて使用することができる。
4 旅客船においては、操舵指揮場所に遭難通報受信パネル(注:船舶設備規程では遭難信号送信操作装置といっている。)が設置されなければならない。このパネルは、もし押した場合、それぞれの用途から船上に要求される全無線通信設備を使用して遭難通報を開始する唯一のボタンを有するか、又は、個々の設備に対して1つのボタンを有する。ボタンが作動した場合は常に明確に見てわかるように表示されなければならない。ボタンの誤操作を防ぐための手段が講じられなければならない。もし、衛星系非常用位置指示無線標識が第2の遭難通報として用いられ、かつ、それが遠隔より作動させ得ないならば、操舵室内の操舵指揮場所の近くに、付加的に衛星系非常用位置指示無線標識を備え付けることが受け入れられなければならない。
5 旅客船においては、最初の遭難通報に含められるべき船位の情報は、常に、自動的にすべての関連する無線通信装置に与えられなければならない。
6 旅客船においては、遭難受信パネル(注:船舶設備規程では遭難信号受信警報装置といっている。)が操舵指揮場所に設置されなければならない。この遭難受信パネルは、船上で受信した遭難通報がどの無線通信業務を通じて得たものかを、視覚的かつ聴覚的に示すものでなければならない。
 
第7規則 無線設備(総則)
1 船舶には、次のものを備える。
(1)次の能力を有するVHF無線設備
(1.1)周波数156.525メガヘルツ(第70チャンネル)によるデジタル選択呼出しを送信し及び受信すること。船舶を通常操船する場所から第70チャンネルで遭難警報の送信を行うことができるものとする。13
(1.2)周波数156.300メガヘルツ(第6チャンネル)、156.650メガヘルツ(第13チャンネル)、及び156.800メガヘルツ(第16チャンネル)で無線電話通信を送信し及び受信すること。
(2)VHF第70チャンネルによるデジタル選択呼出しの無休聴守をすることができる無線設備
 当該無線設備は、(1)(1.1)の規定により要求される設備と分離し又はこれと組み合せることができる。13

13 特定の船舶については、この要件を免除することができる(この章の第9規則4参照)。

(3)次の要件を満たす9キガヘルツの周波数帯で運用することができるレーダー・トランスポンダー
(3.1)容易に利用することができるように積み付けること。
(3.2)前章第6規則2.2の規定により救命用の端艇及びいかだに対して要求されるもののうちの1とすることができること。
(4)国際ナブテックス業務が提供される海域の航海に従事する船舶の場合には、国際ナブテックス業務による放送を受信することができる受信機
(5)国際ナブテックス業務が提供されていない海域であって、インマルサットの通信圏内のものの航海に従事する船舶の場合には、インマルサット高度集団呼出制度(注:高機能グループ呼出システムのこと。)による海上安全情報を受信するための無線設備。14ただし、HF直接印刷電信による海上安全情報に関する業務が提供される海域のみの航海に従事する船舶であって、当該業務を受信することができる設備を備えるものは、この要件を免除することができる。15

14 GMDSSでのインマルサット高度集団呼出安全ネット受信機(注:高機能グループ呼出受信機のこと。)の搭載に関する決議A.701(17)を参照すること。
15 機関が決議A.705(17)において採択した海上安全情報の普及に関する勧告を参照すること。

(6)この章の第8規則3の規定が適用される場合を除くほか、次の要件を満たす衛星系非常用位置指示無線標識(衛星系EPIRB)。16

16 捜索救助自動追尾性能に関する決議A.616(15)を参照すること。

(6.1)406メガヘルツの周波数帯で運用する極軌道衛星業務又は、船舶がインマルサットの通信圏内のみの航海に従事する場合には、1.6キガヘルツの周波数帯で運用するインマルサット静止衛星業務によって遭難警報を送信することができること。17

17 インマルサット衛星の通信圏内の各海洋において受信及び処理を行う適当な地上施設が利用可能なことを条件とする。

(6.2)容易に近づき得る場所に備えること。
(6.3)手動による取り外すことができ、かつ、救命用の端艇及びいかだの中に1人で持ち込むことができること。
(6.4)船舶が沈没の際に離脱して浮かび、かつ、浮かんだときに自動的に始動することができること。
(6.5)手動により始動することができること。
2 すべての旅客船には、通常船舶が航海する場所から、航空用の周波数121.5及び123.1MHzを使用して、捜索救助の目的のための双方向無線通信に関する手段を備え付けなければならない。
 
第8規則 無線設備(A1海域)
1 A1海域内のみの航海に従事する船舶には、この章の第7規則の要件に加え、船舶を通常操船する場所で船舶から陸上への遭難警報の送信を行うことができる次のいずれかのものにより運用される無線設備を備える。
(1)デジタル選択呼出しを用いるVHF
 この要件は、3に規定する非常用位置指示無線標識によって満たすことができるものとし、また、当該非常用位置指示無線標識は、船舶を通常操船する場所に近接して備えるか又は当該場所から遠隔始動することができるように備える。
(2)周波数406メガヘルツによる極軌道衛星業務
 この要件は、この章の第7規則1(6)の規定により要求される衛星系非常用位置指示無線標識によって満たすことができるものとし、また、当該衛星系非常用位置指示無線標識は、船舶を通常操船する場所に近接して備えるか又は当該場所から遠隔始動することができるように備える。
(3)船舶がデジタル選択呼出しを備えるMF海岸局の通信圏内の航海に従事する場合には、デジタル選択呼出しを用いるMF
(4)デジタル選択呼出しを用いるHF
(5)インマルサット静止衛星業務
 この要件は、次のいずれかのものによって満たすことができる。
(5.1)インマルサット船舶地球局18

18 この要件は、双方向の通信が可能なインマルサット船舶地球局(例えば、インマルサットA型、インマルサットB型(決議A.808(19))、又はインマルサットC型(決議A.807(19)船舶地球局)によって満たすことができる。この注の規定は、別段の定めがない限り、この章に規定するインマルサット船舶地球局に適用する。

(5.2)この章の第7規則1(6)の規定により要求される衛星系非常用位置指示無線標識
 当該衛星系非常用位置指示無線標識は、船舶を通常操船する場所に近接して備えるか又は当該場所から遠隔始動することができるように備える。
2 この章の第7規則1(1)の規定により要求されるVHF無線設備は、また、無線電話による一般無線通信を送信し及び受信することができるものとする。
3 A1海域内のみの航海に従事する船舶には、この章の第7規則1(6)の規定により要求される衛星系非常用位置指示無線標識に代えて、次の要件を満たす非常用位置指示無線標識を備えることができる。
(1)デジタル選択呼出しを用いるVHF第70チャンネルによる遭難警報を送信すること及び9ギガヘルツの周波数帯で運用するレーダー・トランスポンダーによって位置の探知ができること。
(2)容易に近づき得る場所に備えること。
(3)手動により取り外すことができ、かつ、救命用の端艇及びいかだの中に1人で持ち込むことができること。
(4)船舶が沈没の際に離脱して浮かび、かつ、浮かんだときに自動的に始動することができること。
(5)手動により始動することができること。







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