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4・2 ケーブルの布設
4・2・1 一般
 ケーブルは一般的にはJIS C 3410のものを使用するが、外洋航行船においては、電路はケーブルの難燃性を損なわないように布設しなければならないため*2、耐延焼性材料を使用したケーブルを使用しない場合には下記要領に従って布設しなければならない。*3
*2:船舶設備規程 第258条
*3:船舶検査心得
(1)無線システム用電路の布設上の一般的注意
(1)他の電路との関係
・水中音響機器等の敏感回路及びその他の一般電路からなるべく間隔をあけ、並行に布設しないことが望ましい。
・妨害電路は敏感電路から500mm以上離すか又は遮へいして布設することが望ましい。
・敏感電路は、一般電路から50mm以上離すか又はシールド付き電線を使用する。
・接地された金属隔壁又は甲板で各電路が隔てられている場合は、これらの条件を満たしたものと考えてよい。
・電路が直交する場合は、その間の距離や遮へいに関して、必ずしも上記を満たす必要はない。
(2)ケーブルは可能な限り最短距離で布設すること。ケーブルの最大長が無線システムメーカーから指定される場合もあるので注意を要する。
(3)磁気コンパスから十分な距離を離して布設すること。
 鋼線がい装ケーブルは、それ自身が磁気コンパスに誤差を発生させるので、直線距離で最低でも2m以上離して布設すること。
(4)接地工事を行うこと。
(5)外傷を受けやすいところに布設するケーブルは、金属管工事か又は保護覆い工事を行うこと。
(6)暴露部に布設するケーブルは、防食処理、塗装を行うこと。
(7)船の振動や衝撃などに十分耐えられるように布設すること。
(8)ケーブルは高温管保温外被から200mm以上離すこと。
(9)防振ゴムを装備した機器へのケーブル導入部は、防振効果を妨げぬよう、ケーブルに十分な余裕を持たせること。
(10)ケーブルの切断長の決定に際しては、機器内部への立ち上がり及び端末処理の余裕を見込むこと。無線機器メーカーの図面には、機器内部での最小必要電線長が指定されているのが一般的である。
(11)マストに布設するケーブルが煙突などの高温排気を受けるおそれがある場合は、防熱処理を施すこと。
(12)電池室の配線は、鉛被ケーブルか又はこれと同等以上の耐酸性ケーブルを使用し、線端は密封すること。
(2)機関区域、居住区域及び車両甲板区域の閉囲された場所の電路は、次のいずれかの方法により布設すること。
(a)1本のケーブルにより布設する方法
 この場合において、「1本のケーブルにより布設する。」とは、当該ケーブルと隣接するケーブルとの間を、これら2本のうち太い方のケーブルの直径の5倍(隣接するケーブルが束の場合は、束のうちの最大径のケーブルの直径の5倍又は束の最大幅のいずれか大きい方の値)以上離すことをいう。(図4・19参照)
 
図4・19 1本のケーブルにより布設する場合
 
(b)束ねたケーブルにより布設する方法
(i)省略
(ii)ケーブルをトランク又は管に挿入して電路を布設する方法
 この場合は、その端部にB級仕切り電線貫通部と同等以上の延焼防止措置を講じること。
(iii)図4・20に示すつば付きコーミングであってB級仕切り電線貫通部と同等以上の効力を有するものをケーブルに設ける方法
 この場合においては、垂直方向に布設するケーブルに設ける場合にあっては6m以内又は2層以内のうちのいずれかの間隔ごとに、水平方向に布設するケーブルに設ける場合にあっては14m以内ごとに設ける。ただし、つばが外板、甲板又は天井に接触する場合には、当該仕切り壁までとして差し支えない。
 なお、図において、水平方向に布設するケーブルに設けるものにあってはL=D、垂直方向に布設するケーブルに設けるものにあってはL=2Dとする。
 
図4・20 束ねたケーブルにより布設する場合







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