5・5・5 受信機の測定
図5・26にスーパーへテロダイン受信機の構成図を示す。
図5・26 スーパーへテロダイン受信機
受信機の性能は、感度、選択度、忠実度、雑音指数NF、等で表せる。図5・27に受信機の総合特性を測定する測定器の構成図を示す。
図5・27 受信機総合特性測定構成図
信号発生器出力を擬似空中線回路を通して受信機に入力する。擬似空中線回路はアンテナと同じインピーダンス(高周波抵抗)を持つ回路で、アンテナを接続したときと同じ状態とするためである。出力スイッチSを1にするときは音声出力がマイクロホンで検出されて音質(忠実度)が測定される。
スイッチSを2にするときは負荷抵抗から電気的な低周波出力を取り出して出力計により受信機出力を測定する。また、ひずみ率計により電気的に忠実度を測定する。
図5・27で出力スイッチSを2の位置で感度を測定する。出力計で標準出力(放送用は50mW、商用は10mW)となるときの受信機に加える信号発生器出力を、受信周波数を変えて測定すると図5・28(a)に示すような感度特性が得られる。
図5・28 受信機の感度と選択度特性
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標準出力となるときに入力に加える電圧が小さいほど感度がよい受信機となる。
選択度は受信する周波数以外の周波数を抑圧する能力で、混信を防ぐ特性をいう。選択度の測定は図5・27の構成で出力スイッチSを2の位置とする。選択度の測定法には入力電圧を一定として受信機を同調周波数に固定したまま、信号発生器周波数を変化したときの出力計の読みから求める入力一定法と、出力電圧を一定に保つように信号発生器周波数を変化しながら信号発生器電圧を変化させたときの受信機入力電圧から選択度を求める出力一定法がある。受信機が飽和することなどから一般には出力一定法が行われている。
図5・28(b)に出力一定法による選択度特性の一例を示す。横軸は信号発生器の周波数と受信機の同調周波数の差(離調周波数)、縦軸は出力一定となるために必要な信号発生器出力電圧を同調周波数における入力電圧を基準とした相対入力電圧で示した。選択度がよい受信機ほど幅が狭い曲線となる。(b)は同じ受信機でも同調周波数が1000KHzより600KHzのときの方が選択度が良くなっている特性を示している。
忠実度は変調信号の周波数特性を示す。音響機器等では低音から高音まで広い周波数の音声が再生できることが要求される。受信機の周波数帯域幅に関係する特性で、デジタル機器では受信機の帯域幅が狭いとパルス波形が崩れて正確にデジタル信号が取り出せなくなる。忠実度の測定は図5・27の構成で出力スイッチSを1にすると音響忠実度が求められる。Sを2とすると電気的忠実度が求められる。測定法は受信機の同調周波数に信号発生器出力周波数を一致させる。受信機入力電圧も一定としたまま低周波発振器周波数を変化させると図5・29に示すような忠実度特性が得られる。横軸は変調周波数(低周波発振器周波数)縦軸は出力計の読みを1000Hzを基準として相対出力(dB)で表してある。変調周波数が低いときと高いときは1000Hzのときより忠実度が悪くなることが示されている。図には音響的と電気的忠実度が比較して示してある。
図5・29 忠実度特性の一例
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