2・2・4 送信機の構成
送信機に要求される条件は
(1)送信周波数が安定して変動が規定した帯域内に納まること
(2)送信電力が規定した最大及び最小値の範囲内に納まること
(3)不要波成分(スプリアス)発射が小さいこと
(4)アンテナとの整合がとれて規定の放射電力と指向特性が確保できること
(5)誤発射防止対策と人体への保護対策が採られていること
等である。
図2・12にDSBAM送信機の構成例を示す。図は高電力変調方式で、信号は電力が高い最終段に加えられてAM変調されるのでひずみが少ない高品質な変調信号が得られる。
小型送信機等には搬送波の発振器に近い前段の回路に信号を加えてAM変調する低電力変調方式が低価格のため用いられている。
図2・12 DSBAM送信機(高電力変調方式)の構成
受信機に要求される条件は
(1)感度が良いこと(最小受信可能電力が小さいこと)
(2)選択度が良いこと(混信がないこと)
(3)忠実度が良いこと(音質がよいこと)
(4)安定度が良いこと(電源電圧変動、周囲温度変動等の影響がないこと)
等である。図2・13に示すスーパーヘテロダイン方式受信機が一般に用いられている。
図2・13 スーパーヘテロダイン受信機の構成
空中線からの入力電波は高周波増幅されてから周波数混合器(ミキサー又は第1検波器ともいう)において第1局部発信機からの局部発振周波数と混合されて、その差の周波数成分(中間周波数成分)が取り出されて、中間周波数増幅されてから更に第2検波器で信号成分を復調して出力を得る方式である。入力の高周波を一度低い中間周波数に変換して増幅してから信号を復調できるので高性能な受信機が実現できる。
第2局部発信器は音声を含まないモールス信号(A1電波という)を受信するときに使用する回路でモールス信号を音として耳で聴き取るための回路である。
連続的な搬送波の代わりに幅の狭いパルス波を信号で変調すると図2・14に示すパルス変調波となる。
図2・14 パルス変調波
(a)パルス振幅変調PAMは信号に対応してパルス波の振幅を変化する。(b)パルス幅変調PWMまたはPDMパルス幅はパルスの幅を変化させる。(c)パルス位置変調PPMはパルスの位置、(d)パルス符号変調PCMは信号の強さに対応した1と0で構成した2進符号列で表示している。デジタル通信等の機器にはPCMが一般的に利用されている。図2・15はシフトキーイング変調と呼ぶ変調で、信号を1と0の符号列に変換した後に通信のために更に搬送波を変調する波形で、(a)1と0で振幅がオン−オフされる振幅シフトキーイングASK、(b)周波数が変化する周波数シフトキーイングFSK、(c)位相が変化する位相シフトキーイングPSKがある。(c)のPSKは位相が1と0で反転するので2位相シフトキーイングBPSKと呼ばれ移動体通信等に使用されている。
図2・15 シフトキーイング変調波
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