1・3・4 ダイオード
ゲルマニウムやシリコンの結晶にインジウムやガリウム等の材料を加えると陽子が過剰な(又は電子が不足している)P型半導体ができる。逆に砒素やアンチモンなどの材料を加えると電子が過剰なN型半導体ができる。P型半導体は電子を取り去った後にプラスの孔が空いたと考えてP型半導体中には正孔があるともいう。P型とN型の半導体を接合するとダイオードができる。図1・28にPN接合のダイオードと内部の正孔と電子の存在を示す。固体内を自由に動ける電子を自由電子と呼ぶ。
PN接合ダイオードの記号表示を図1・28(b)に示す。
図1・28 PN接合ダイオードと記号表示
(a)
(b)
ダイオードは一方向のみに電流を流す性質があるので交流を直流に変換する整流器に使用できる。図1・29(a)のようにP型にプラス、N型にマイナスの電圧を加えるとダイオードに電流が流れるのでこの方向を順方向という。(b)のように逆方向に電圧を加えると電流が流れない。交流電圧を加えると順方向の時間のみに電流が流れるので交流を直流に整流できる。
図1・29 PN接合ダイオードの整流作用
(a)
(b)
ダイオードには整流用のほかに検波用ダイオード、定電圧ダイオード、可変容量ダイオード、フォトダイオード、発光ダイオード及びトンネルダイオード等目的に対応した種々なダイオードが製造されている。
検波用ダイオード;
信号の検出用ダイオードで高周波で使用できるためには電子と正孔の移動速度が速い材料や構造とする。デジタル用ダイオードではパルス波の速いプラスとマイナスの変化に対応できる遷移時間が短いショットキーダイオード等が使用される。図1・30にショットキーダイオードの構造と記号を示す。半導体間PN接合の代わり金属と半導体間の接合を用いると電子と正孔の移動が速くなり高速用ダイオードとなる。アルミ電極Aとシリコンに軽く不純物を入れたn半導体間で整流が行われる。この電子は右側の不純物が多いn+からアルミ電極を通して取り出される。AからCの方向への電流が流れる。ショットキーダイオードは高速スイッチ回路等に使用される。
図1・30 ショットキーダイオードの構造と記号
定電圧ダイオード(ツェナーダイオード);
ダイオードに逆方向電圧を加えるとある範囲で電流が変化してもダイオード両端の電圧が一定に保たれる性質を利用して安定した電圧を作り出すダイオードがある。この性質をツェナー効果又は降伏現象と呼ぶ。図1・31に示すようにシリコン材料に不純物を多く加えるほどこの降伏電圧が大きくとれる。
図1・31 ツェナーダイオードの電圧・電流特性
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