7・13 音響測深機
音響測深機は、船底に装備された送波器から海底に向かって超音波パルスを発射し、その音波の海底での反射音(エコー)を受波器で受信するまでの時間を測定し、水深を求めるものである。(国際規格では、音測は1500m/sで設計されている。)実際には送波器及び受波器を一体とした送受波器を使用しているものが多い。
図7・18に音響測深機の構成の一例を示す。
図7・18 音響測深機の構成の一例
主な性能基準を表7・2に示す。
表7・2 主な性能基準
項目 |
性能基準 |
測深範囲 |
送受波器下方2m−200m |
レンジスケール |
浅いレンジ:20mをカバーできること。
深いレンジ:200mをカバーできること。 |
主表示器 |
少なくとも、15分間の測深をグラフィック表示すること。 |
その他の表示器 |
主表示に影響しないこと。 |
パルス繰返し率 |
浅いレンジ:36回以上/分
深いレンジ:12回以上/分 |
ピッチング及びローリング |
ピッチング:±5度
ローリング:±10度 |
複合装備 |
2つ以上の送受波器を備えてもよい。その場合使用中の送受波器を明確に表示すること。各送受波器からの深度を別々に表示できること。 |
データ保存 |
12時間以上の深度データを記録紙又は他の方法で保存でき、取り出しできること。 |
測定精度 |
浅いレンジ:±0.5m
深いレンジ:±5m
又は表示深度の±2.5%のいずれか大きい値 |
表示スケール |
水深1m当たりの表示スケール
浅いレンジ:5.0mm
深いレンジ:0.5mm |
深度警報 |
水深が設定値より浅い場合、可視可聴警報(ミュート可能)が発せられること。 |
電源及び機能不良警報 |
機能不良あるいは電源が動作定格を外れた場合は可視可聴警報(ミュート可能)が発せられること。 |
人間工学基準 |
レンジ選択機能は直ちにアクセスできること。レンジスケール、設定深度警報はすべての照明状態で識別できること。 |
マーク |
グラフ式表示では使用中のレンジスケールで1/10以下の間隔での深度目盛マーク。5分以下の間隔の時間マーク |
記録紙 |
記録紙が使用される場合は、残りが1m未満になった時は明確に表示されること。 |
設計及び装備 |
IMO A.694(17)を適用 |
インターフェース |
その他の装置に深度情報を供給できること。(IEC 61162センテンス(DPT)で出力) |
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IEC 61162の国際規格では、デジタル出力のコネクタ型式等、ケーブルの接続については、各製造者の仕様によることになっている。
音響測深機からVDRに深度情報を取り出すための接続は製造メーカーの装備要領書を参照すること。ECDIS、INS等が装備されている場合は、音響測深機からの出力ポートが不足する場合も考えられる。その場合は信号分配器の手配等が新たに必要となる。
2000年1月1日時点での現存船は旧性能基準の音響測深機が装備されている。
これらの旧性能基準適用の音響測深機は出力ポートを備えていない場合がほとんどである。外部への出力ポートがあっても、IEC61162センテンスではなく、NMEA-0183センテンス(DBT)で出力している場合もある。この場合はVDR側で取り込み可能か調査が必要である。 |