3・4 点検整備と保守上の注意
(1)一般
(A)空中線部の取付け状況
サービスマニュアル等に従い、これに適合した取り付け及び整備状況にあることを確認する。
空中線周辺に電波の伝播を阻害するような障害物がないことを確認する。
クラック、塩害、浸水、ケーブルの損傷がないことを確認する。
(B)接続部の状況
空中線部や防水接続箱のコネクタの取付け状況、端子盤のねじ類の締め付け状況、接地の状態をサービスマニュアル等に従い、これに適合した取付け及び整備状況にあることを確認する。
防水接続箱の防水状態が確保されていることを確認する。
(C)表示灯の断線、操作つまみの欠落等
表示灯の点灯状態、操作つまみの取付け状態を目視で正常であることを確認する。
(D)表示及び添付資料並びに構成品等の確認
名称、型式、型式承認番号、製造番号及び製造年月、製造者名、検定印又は認印、操舵室に装備する機器には磁気コンパス安全距離の必要な表示がなされ、また適正な書類(操作説明書並びに保守のための資料)及び予備品等が備えられていることを確認する。
(2)電源装置
(A)主電源の電圧確認。代替電源からも給電されている場合には、代替電源への切替の確認
代替電源からも給電されている場合には、主電源と代替電源に対し給電側の配電盤等においてスイッチを操作し、電源を切替え、機器の電源端子等において電圧をテスター等で計測し、規定値以内であることを確認する。
(B)記憶素子のバックアップ電池の保守
記憶素子のバックアップのために電池を使用している場合、取扱説明書の指示に従って電池の保守を行うこと。
(3)空中線部(送受信部)
受信範囲にある船舶局から放送されているAISメッセージの受信を表示部で確認する。
(4)制御部(制御器、表示器)
(A)他船情報表示の確認
他船情報(緯度・経度、対地針路・速力等)が表示されることを確認する。
(B)自船情報表示の確認
自船情報(緯度・経度、対地針路・速力)、現在時刻が表示されることを確認する。
(C)メッセージの作成の確認
メッセージを入力し、編集作成できることを確認する。
(D)警報発生機能の確認
取扱説明書に従い、警報発生の条件が発生した場合に警報が発生することを確認する。
(E)表示部の確認
液晶等の表示部のバックライトの断線がなく異常に輝度が低下していないことを確認する。
バックライトやキーボードの照明輝度調整が可能であれば、動作を確認する。
(5)自己診断機能(BIIT:Built In Integrity Test)
機器に内蔵された自己診断機能を用いて正常な動作状態であることを確認する。
(6)保護装置
人体及び構成機器に対する保護装置が機能していることを確認する。
機器の外部、内部を確認する。特にAC/DC50V以上の導電部には保護カバーが付けられていること。
以下にAISの点検整備リストを示す。
(1)一般的事項
整備内容 |
整備の方法 |
判定基準 |
使用機器 |
空中線部の取付状況 |
メーカーのマニュアル等に従い、これに適合した取付け及び整備状態であることを確認する。 |
サービスマニュアル等で指示されたとおり正しく取り付けられていること。 |
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接続部の状況 |
メーカーのマニュアル等に従い、これに適合した取付け及び整備状態であることを目視で確認する。 |
1. コネクタ、端子盤が正しく接続されていること。
2. 空中線部(トランスポンダ)や防水接続箱のコネクタの取付けや端子盤のねじ類の締め付けが適切にされていること。
3. 防水接続箱の防水状態が確保されていること。
4. 接地はマニュアルに指示されているように正しく接続されていること。 |
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表示灯の断線、操作つまみの欠落等 |
メーカーのマニュアル等に従い、これに適合した整備状態であることを目視で確認する。 |
表示灯の点灯状態、操作つまみの取付け状態が正常であること。 |
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表示及び添付資料並びに構成品等の確認 |
メーカーのマニュアル等に従い、必要な表示がされ、又、適正な書類及び予備品等が備えられていることを確認する。 |
1. 名称、型式、型式承認番号、製造番号及び製造年月、製造者名、検定印又は認印、操舵室に装備する機器には磁気コンパス安全距離の必要な表示がされていること。
2. 適正な書類(操作説明書並びに保守のための資料)及び予備品等が備えられていること。 |
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(2)電源装置
整備内容 |
整備の方法 |
判定基準 |
使用機器 |
a. 主電源及び代替電源(有る場合)からの受電が可能であることの確認
b. 代替電源(有る場合)への切り替えの確認 |
主電源及び代替電源(有る場合)に対し、配電盤等において、給電側のスイッチを切り替え、機器の電源端子における電圧をテスターで確認する。 |
1. 主電源又は代替電源(有る場合)から受電が行われ、かつ、その電圧が規定値以内であること。
2. 代替電源(有る場合)への切り替えが速やかに行われること。 |
回路試験器(テスター) |
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(3)空中線部(送受信部)
(拡大画面:120KB) |
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(4)制御部(制御器、表示器)
整備内容 |
整備の方法 |
判定基準 |
使用機器 |
エラー表示 |
機器の動作中にエラー表示がされないことを目視で確認する。 |
エラー表示がされないこと。 |
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ショートメッセージの作成 |
取扱説明書に従い、機器の表示等により確認する。 |
作成したメッセージが表示できること。 |
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自動モードの動作確認 |
メーカーのマニュアル等に従い操作し、AISが自動モードで動作し、近くを航行中の船舶からの信号を受信し、方位、距離、船名が表示されることを確認する。 自己診断機能で確認できる場合はそれで代用する。 |
自動モード(すべての地域において自動的に動作する機能)が正常動作すること。 |
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測位情報の処理確認 |
自船測位表示(緯度、経度)を目視で確認する。 |
地上無線航法装置又は衛星無線航法装置からの測位情報が表示できること。 |
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表示の確認 |
近くを航行中の船舶からの情報を受信し、表示を目視により確認する。
自己診断機能で確認できる場合それで代用する。 |
1. 少なくとも3隻分の方位、距離及び船名を表示できること。
2. 方位と距離は、スクロールせずに表示できること。 |
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(5)自己診断機能及び警報発生機能
整備内容 |
整備の方法 |
判定基準 |
使用機器 |
機器の自己診断機能の確認 |
機器に内蔵された自己診断機能を用いて確認する。 |
自己診断結果は取扱説明書に記載されたとおり正常であること。 |
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機器の警報発生機能の確認 |
機器の取扱説明書等に従い、警報発生条件を少なくとも1つ意図的に設定し、警報が発生することを確認する。 |
設定した警報発生条件に対応した警報が発生すること。 |
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(6)保護装置
整備内容 |
整備の方法 |
判定基準 |
使用機器 |
人体及び構成機器に対する保護装置の確認 |
目視により確認する。 |
AC/DC50V以上の導電部には保護カバーが付けられていること。 |
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