5・5 信号と高周波の測定
代表的なアナログ周波数測定はオシログラフによるリサージュ図形法で、デジタル周波数測定は周波数カウンタである。
図5・15のようにオシログラフの垂直軸(Y軸)に被測定発信器、水平軸(X軸)に標準発振器を接続すると画面にリサージュ図形が表れる。標準発振器の周波数を変化するとX軸とY軸の周波数が互いに整数比のときリサージュ図形が静止する。このときの図形から被測定発振器の周波数が求められる。(a)に測定法の構成、(b)にXとYに同じ周波数と振幅を持ち、位相差が90度の正弦波を加えたとき表れる円形のリサージュ図形を示す。(c)はX:Yの周波数比がそれぞれ、1:1、1:2及び1:3のときのリサージュ図形を示す。同じ周波数比でも位相差が変わるとリサージュ図形が変化するので読取りに注意が必要である。標準発振器の周波数を基準としてリサージュ図形から被測定周波数が精度よく測定できるので低周波帯での周波数測定が行われている。
図5・15 リサージュ図形法周波数測定
(a)測定器の構成
(b)周波数X:Y=1:1、位相差90度
(c)種々のリサージュ
周波数とは1秒間における電気の波の振動数である。50HZは1秒間の50回振動する交流である。被測定信号を1秒間取り出して(ゲートとよぶ)電気振動の数を直接計数する測定器が周波数カウンタである。ゲートする時間は1秒間でなくてもよく0.1秒間なら計数値を10倍、0.01なら100倍とすれば周波数が求められる。
図5・16に周波数カウンタの外観図(a)と加える波形を示す。正弦波入力(b)をパルスに変換して入力パルス列Aとして(c)のゲート回路に加える。ゲート電圧Bが加えられた時間だけゲート回路が開き、入力パルス列がゲートを通過して計数回路で計数されデジタル数字で表示される。(d)に各部における波形関係を示す。ゲート時間幅が広いほど有効数字が多く読み取れる。
ゲート幅を1/n秒間としたときのカウンタの計数値をNとすると、被測定信号の周波数fは
f=nN (HZ) (5・39)
数ヘルツ以下の低い周波数では被測定波形からゲート信号Bをつくり、パルス発生器から取り出した計数パルス列Aを計数する。被測定波形の1周期Tを計数するのでこの方法を周期カウンタ法と呼ぶ。計数値をNとすると被測定周波数fはf=1/T、計数パルスの周波数をfS、周期をtS=1/fSとすれば
N=T/tS=fS/f より (5・40)
として求められる。
図5・16 周波数カウンタ
(a)外観図
(b)被測定信号波
(c)回路構成図
(d)各部波形
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