3・3 アンテナ
アンテナは導線による線状アンテナとパラボラのような面を持つ開口面アンテナに大別される。電気力線を検出するアンテナを電界型アンテナと呼び、垂直接地アンテナやダイポールアンテナは電界型で、ループアンテナは磁力線を検出する磁界型アンテナである。電気力線を含む面が垂直の電波を垂直偏波、水平の電波を水平偏波と区別する。電気力線が回転しながら伝搬する電波を回転偏波と呼ぶ。
アンテナに高周波電流を流すと電気力線(電界)と磁力線(磁界)が発生する。 図3・6に示す長さ の電気ダイポールアンテナに電流Iを流したときに距離rにおける電波の進行方向に対して横方向の電界E θ(r)が発生する。電界E θ(r)はアンテナからの距離rに従って (3・4)式に示す3つの電界成分に分かれる。
図3・6 電気ダイポールから放射される電界
となる。ここで、A、j、kは定数である。{ }のなかの第1項は準静電界と呼び、距離rの3乗に逆比例する。第2項は誘導電界と呼び、距離rの2乗に逆比例する。準静電界と誘導電界は距離rが大きくなると逆数なので直ぐに小さくなる電界成分を表す。第3項の放射電界が電波と呼ばれる電界で、距離rに逆比例するので距離rが大きくなっても減衰が少なく遠くまで伝搬するのでこれを電波として利用している。
静電界や誘導電界が存在する領域を近傍電磁界領域、放射電界が存在する遠くの領域を遠方領域と呼ぶ。通信等は遠方電磁界領域の電波を受信している。
定数Aはアンテナの大きさに比例する値を持つので大型のアンテナでは近傍電磁界が消えないで遠く離れた地点でも存在する。アンテナの近くではアンテナ指向性が距離で変化する。
放射磁界では誘導磁界と放射磁界のみで準静磁界は存在しないことが理論的に示されている。磁界=誘導磁界+放射磁界、となる。
図3・7にパラボラアンテナの指向性を示した。距離rが遠くなると近傍指向性から遠方指向性(放射電界)となり、指向性が鋭くなる。しかし、遠方領域になると一定の指向性となり距離とは関係しなくなる。
図3・7 距離による指向性の変化
近傍領域と遠方領域の境界距離rFはアンテナの大きさ(直径)D、電波の波長λから
となる。大型アンテナのrFは遠く離れた地点となる。
アンテナにはアースをとる接地型とアースが不要な非接地型アンテナがある。
図3・8(a)、(b)のダイポールアンテナは非接地型で、(c)の垂直アンテナは接地型アンテナである。
図3・8 非接地型アンテナと接地型アンテナ
非接地アンテナは大地の影響を受けないようにできるだけ高く接地する。接地アンテナは(c)の点線で示した地中の映像アンテナを形成させるためにアース線で大地と結合させる必要がある。海上で使用する場合はアース線を海中に投入する。
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