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2・3・2 標本化と量子化
 アナログ量をデジタル数に変換するには標本化と量子化の処理が行われる。図2・16に標本化(サンプリング化ともいう)を示す。連続的なアナログ信号を周期tsごとにスイッチで断続するとスイッチが接続した時間ごとの振幅がパルス振幅変調波(PAM)として取り出せる。この操作を標本化と呼び、数学的に表現するとアナログ信号と標本化パルスの掛算で行われる。標本化回路はトランジスタ等の電子スイッチが使用される。
 
図2・16 アナログ信号の標本化
(拡大画面:11KB)
 
 標本化(サンプリング化)された振幅を1と0の2進符号に変換する前に量子化が必要となる。標本化された信号の振幅が10進数で3.1415(V)のように有効数字が多いときに各桁の数を10進数から4桁の2進符号化すると3.1415は、0011、0001、0100、0001、0101となり、1と0の数が長くなり、通信時間が長く必要となる。電圧が3(V)でよければ10進数3を2進数0011と変換すればよい。このように有効数字を短くする操作を量子化と呼ぶ。
 
図2・17 量子化波形
 
図2・18 アナログ信号とデジタル符号
 
 図2・17にアナログ信号(破線)と量子化された階段状の波形(実線)を示す。図2・18にアナログ信号、標本化波形及び量子化された2進符号(PCM符号)を示す。振幅A=7.6を8.0に量子化すると8の2進符号、1000に変換される。A=7.5も8.0に量子化されるので1000となる。A=5.6は6.0に量子化されるので2進符号は0110となる。
 表2・1に10進数と4桁の2進数(自然2進数)との対応を示す。10進数の15以上を2進数で表すには2進数の桁数を4桁以上必要となる。
 
表2・1 10進数と4桁の2進数の対応
重み
10進数
23
(8)
22
(4)
21
(2)
20
(1)
0 0 0 0 0
1 0 0 0 1
2 0 0 1 0
3 0 0 1 1
4 0 1 0 0
5 0 1 0 1
6 0 1 1 0
7 0 1 1 1
8 1 0 0 0
9 1 0 0 1
10 1 0 1 0
11 1 0 1 1
12 1 1 0 0
13 1 1 0 1
14 1 1 1 0
15 1 1 1 1
 
 2進数を10進数に変換するには2進数で1がある桁に対応する10進数を加えることから得られる。
例: 2進数、0101を10進数に変換する。
 
 
すなわち、
0101→5
10進数の5に等しい。
 電気回路のスイッチのON-OFFを1と0に対応させると2進数で10進数と同じ計算ができる。
例: 2+3=5 の2進数による計算は
2→0010+3→0011=5→0101
 
 2進数21の桁は1+1=2となり加算した2が22の桁に繰り上がるので0101となる。
 
2・3・3 デジタルIC
(1)デジタル符号と電圧レベル
 符号1と0を電圧V(1)とV(0)に対応させるにはデジタルICを用いる。図2・19に1と0に対応するレベルを示す。
 
図2・19 デジタル符号と電圧
 
 信号レベルがある規定したしきい値とV(1)の間にあればすべて符号1、しきい値とV(0)の間にあればすべて符号0と判断すると雑音などにより信号レベルが変動しても1と0の識別ができるので電圧レベルを読むアナログより雑音妨害に強い通信ができる。
(2)デジタルIC:
 トランジスタ又はICにある大きさ以上の電流が流れる(最大出力電圧とする)ときの状態を符号1、ある大きさ以下の電流の状態(最小出力電圧)を符号0に対応させる。例えばトランジスタに電圧の+5Vを加えたとき符号1とし、-5Vを加えたとき符号0に対応させるTTLレベルなどがある。なお、現在-5Vが0Vとなっている場合が多くなっている。
 汎用されているデジタルICにはTTL、C-MOS及びECLの3つがある。
・TTL; Transistor-Transistor-Logicの略で、米国のテキサスインスツルメント社が規格化したICで、飽和電流で動作するので安定であるが動作速度は中程度である。
・C-MOS; Complementary-Metal Oxide Siliconの略で、金を酸化シリコンに拡散させたトランジスタをPNPとNPNの相補組合せ構造にしたICで入力インピーダンスが高く消費電力が低いが、動作速度が遅いのと変動に弱い欠点があったICを金を拡散することで動作速度を向上し、相補構造により変動に強くすることができて広く使用されている。
・ECL; TTLのように飽和電流で動作をさせないことと大電流を流すことから高速動作をさせるICがECLである。消費電力が大きいことが欠点である。







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