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船舶電気装備技術講座 〔試験・検査編〕 (中級)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


3・11 船舶安全法と他の法令との関係
 船舶は、移動性その他の特殊性により、施設の基準及び検査に関する規制は、例えば、高圧ガス設備に関する高圧ガス取締法(昭和26年法律第204号)、ボイラーに関する労働基準法(昭和22年法律第49号)、原子炉装置に関する核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)、電気工事に関する電気工事士法(昭和35年法律第139号)等の適用から、船舶安全法に基づく検査の適用船は除外されており、現在は、船舶安全法一本にまとめられている。
 船舶安全法に関係のある主要な法律その他海上の安全の確保追求に関係する法律は、次のようなものがある。
(1)船舶法
 船舶の特殊性に鑑み、経済的取引の安全を期するため登記登録の制度を設け、国籍及び船籍の制度を規定しているが、これが船舶法である。船舶はこの法に依って船籍を定め登記した後に、管海官庁に備えつけた船舶原簿に登録して船舶国籍証書の交付を受け日本船舶となり、日本船舶に与えられた権利義務の主体となることができるものである。
 船舶安全法は、船舶の安全取締を目途としているものであって、その目的とする処は相互に独立のものであるが、船舶安全法の適用される船舶は、原則として船舶法によって限定されている点で関連を有するものである。
(2)船舶のトン数の測度に関する法律(略称「船舶トン数法」)
 船舶トン数法は、取引の対象となる船舶について、そのトン数を正確に、かつ、統一的に測度し公示する必要から測度の基準及び国際トン数証書の交付に関する規定が定められている。
(3)船舶職員法
 船舶安全法は、一定の区域を航行する船舶として必要な構造諸施設を備えつけるべき規定をし、主として船舶の構造、施設に関する船舶運航の安全確保の最小限の要求を規定しているのに対して、船舶職員法は船舶に乗組む職員の資格及び員数を規定して船舶航行の安全を期そうとするものである。
(4)船員法
 船員法は、労働基準に関する特別法として、船員の労働について必要事項を規制するとともに、幾多の人命財貨を不測の危険から防ぐための公法上の船長の職務権限が規定されている。遭難船の救助義務、危険気象の通報等に関するものは、船舶安全法の物的施設の利用という行為的なものを規定したものである。
(5)海上衝突予防法
 海上衝突予防法は、その文字の示す通り船舶の航法について規定したものであり、見合い関係にある船舶について、いずれに避譲の義務があるかを定めるものであるとともに、識別のための船灯、霧中信号、遭難信号についても規定している。これらの規定は終局的には、船舶航行の安全を確保する目的のものである。
(6)港則法
 港則法は、多数の船舶が輻湊する場所たる港における船舶の衝突その他の危険を防止するため、航法、けい留、危険物の取扱、水路の保安、信号等について船舶その他の関係者のとるべき義務と監督の方法を規定しているものである。
(7)海上交通安全法
 海上交通安全法は港則法等と相まって、船舶交通が輻湊する東京港、伊勢湾及び瀬戸内海の定められた海域における船舶交通の安全を図るため、特別な交通方法、危険を防止するための交通制限、灯火等について規定したものである。
(8)海上運送法
 海上運送法は、海運に関する企業法である。海運事業が独占に走らず、過度の競争に陥らず又公共の利益に反する取引を一方的に強制することがないように、これらの企業を国家的な監督の下に健全な発達を図って、公共の福祉を増進することを目的とするものであって、船舶安全法とはその対象を異にするものである。ただし、海上における安全なくしては海上運送事業の発達はなく、公共の福祉もあり得ない。かかる高次の意味において両法は互いに他を補足する関係にある。
(9)漁船法
 漁船法は、漁業の発達育成のための一環の法律として漁船の建造調整、登録、依頼検査、試験に関するものを定め、漁船の性能向上と漁業生産力の合理的発展を目途としている。
 船舶安全法は、海上における人命確保の至上目的のため堪航性その他の施設等を定めているものであって、漁船といえども特殊船の一形態に過ぎない現実から、これについても等しく安全確保を期しているものである。
(10)電波法
 電波法は、電波に関する一元的な行政を行い、電波の公平かつ能率的な利用を確保するため、無線局の免許、無線設備、無線従事者、運用等を定めている。
 従って、船舶に関する無線について、その強制施設範囲は海上交通の安全を確保する施設として、船舶安全法で定め、なお技術的な基準等は電波法によるものとしているから、両法によって始めて船舶無線の機能が発揮されるものであって、車の両輪の如きものである。
(11)海難審判法
 海難審判法は、海難審判庁の審判によって海難の原因を明らかにし、その発生を防止しようとするものであって海難が人の故意又は過失によって発生したものであるか、船員の労働条件によって発生したものであるか、物的原因によって発生したものであるか、その他外的要因によるものであるかを探究し、裁決をもって結論を明らかにして、懲戒又は勧告の措置をとるものである。
(12)海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律
 海洋汚染防止法は、船舶等からの海洋への油、有害液体物質及び廃棄物の排出を規制し、また規制された油等の防除並びに海上火災の発生及び拡大の防止等の措置を講じることにより、海洋の汚染及び海上の災害を防止することを目的としている。このため、汚染の未然防止措置として、汚染行為の規制、船舶等の構造・設備規制等が規定され、また、事後措置として、防除措置の実施、防除体制の整備等についても規定されている。
 船舶安全法は船舶の安全の観点から構造・設備の規制を行っているが、海洋汚染防止法は汚染の防止の観点から貨物油タンクの二重構造、油水分離装置等の構造・設備規制を行っている。







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