日本財団 図書館


3・7 航行上の条件等
 船舶安全法に基づき、定期検査を受け、これに合格した船舶に対しては、航行上遵守しなければならない航行区域(漁船にあっては従業制限)、最大とう載人員、制限気圧、満載喫水線、その他の条件が定められる(法第5条、第9条、施行規則第5条〜第12条)。
3・7・1 航行区域(施行規則第1条)
 船舶の航行し得る区域の限度を示すため、船舶(漁船を除く。)には、航行区域が定められている。
 航行区域は、下記の4種に区分されている。
(1)平水区域・・・ 湖、川及び港内並びに特定の水域
(2)沿海区域・・・ 北海道、本州、九州、四国及びそれに属する特定の島、朝鮮半島並びに樺太本島(北緯50度以北の区域を除く。)の海岸から20海里以内の水域及び特定の水域。
(3)近海区域・・・ 東は東経175度、西は同94度、南は南緯11度、北は北緯63度の線により囲まれた水域
(4)遠洋区域・・・ すべての水域
 航行区域は、技術基準に対する船体、機関、設備等の適合状況によるほか、船舶の長さ及び最高速力等を標準として定められる。
 
汽船の場合(施行規則船舶検査心得5.0〜7.0(a)表5.0<1>)
航行区域 長さ 最強速力 備考
遠洋区域 60m以上 10ノット以上
遠洋区域 45m以上 10ノット以上
1. 巡視船、引き船等旅客及び貨物を搭載しない特別用途の船舶であって、暴露部には風雨密閉鎖装置を備える小甲板口(1.5m2未満)のみを有する船舶に限られる。
2. 遠洋区域を航行区域とする旅客船の復原性基準に適合していること。
3. 船首高さは、2,960mm以上であること。
4. 船首桜の長さは、0.25L以上であること。
5. 救命設備は、第3種船として取扱われる。
近海区域 30m以上 8ノット以上
近海区域 24m以上 8ノット以上
1. 同程度の一般船舶に比し、特に大なる乾舷を有する船舶であって、風雨密閉鎖装置を備える小甲板口(1.5m2未満)のみを有する船舶に限られる。
2. 近海区域を航行区域とする旅客船の福原性基準に適合していること。
3. 船首高さは、1,580mm以上であること。
4. 夏期帯域又は熱帯域に限定される。
近海区域(ただし、注1の区域に限る。) 10m以上 無制限
1. 近海区域を航行区域とする旅客船の復原性基準に適合していること。
2. いずれの一区画に浸水した場合においても、次に掲げる条件下において平衡状態で浮かんでいること。(長さ12m未満の船舶については、小安則の規定に適合すること。)
(1)浸水後の水線が、浸水の可能性のあるいずれの開口よりも下方にあること。
(2)浸水後のメタセンタ高さが50mm以上であること。
3. ラジオ(短波帯受信可能なもの。)を有していること。
4. 航行する区域は、夏期帯域又は熱帯域に限定される。
沿海区域 20m以上 6ノット以上
沿海区域 無制限 6ノット以上
1. 同程度の一般船舶に比し、特に大なる乾舷を有する船舶であって、風雨密閉鎖装置を備える小甲板口(1.5m2未満)のみを有する船舶に限られる。
2. 沿海区域を航行域とする旅客船の復原性基準に適合していること。
沿海区域(ただし、注2の限定沿海に限る。) 5m以上 無制限 最強速力14ノット以上であり、ラジオ(短波帯受信可能なもの。)を有しているものについては、全沿海区域までに拡大される。
沿海区域(ただし、注3の限定沿海に限る。) 5m未満
平水区域 無制限 無制限
 
注1 ここでいう「近海区域」とは、次の(i)又は(ii)の水域をいう。
(i)近海区域の範囲のうち、母港から当該船舶の最強速力で2時間以内で往復できる範囲(ただし、母港から20海里を超えない範囲とする。)内。
 この場合、母港から2時間以内(ただし、40海里を超える場合は40海里以内に限る。)で到着することができるところに避難港がある場合には、更にそこから2時間で往復できる範囲内(ただし、避難港から20海里を超える場合は、20海里以内に限る。)の水域として差し支えない。
 これらの水域は、下図を参考にその範囲を決定される。
 
近海区域
 
(ii)近海区域の範囲のうち、沿海区域の任意の1点から当該船舶の最強速力で2時間以内で往復できる範囲(ただし、沿海区域から20海里を超えない範囲とする。)内。
 この場合、任意の1点から2時間以内(ただし、40海里を超える場合は40海里以内に限る。)で到達することができるところに避難港がある場合は、更にそこから2時間で往復できる範囲内(ただし、避難港から20海里を超える場合は、20海里以内に限る。)の水域として差し支えない。
 
 
注2 ここでいう「限定沿海」とは、沿海区域の範囲のうち平水区域から当該船舶の最強速力で2時間以内に往復できる範囲内である。
 この場合母港又は、母港を含む平水区域より片道2時間以内で到達することができるところに避難港がある場合は、更にそこから2時間で往復できる範囲内の水域として差し支えない。また、当該水域に加えて、他の平水区域である水域を含めて当該船舶の航行区域を定めても差し支えない。
 これらの水域は、下図を参考にその範囲を決定される。
 
 
注3 ここでいう「限定沿海」とは、上記注2により定められる区域のうち平水区域である水域及び海岸から5海里以内の水域をいう。ただし、船舶の構造、復原性、乾舷、閉鎖装置等を考慮して差し支えないと認められた場合は、注2に定める範囲内まで拡大されることもある。この場合には、少なくとも次の条件を満足していなければならない。
(i)全通甲板を有するもの又は船首暴露甲板の長さがαLよりも大きいものであること。
 
 
(ii)人を搭載しない状態による最小乾舷(Fx: 単位メートル)が次式を満足すること。
 
 
注4 最強速力とは、船底が汚損していない状態で、平穏な海上における連続最大出力時の速力であり、喫水は原則として、満載喫水線の指定を受ける船舶にあっては指定された喫水、その他の船舶にあっては計画喫水である。
注5 小型兼用船に本表を適用するに当たっては、当該小型兼用船の航行区域は漁ろうをしない間の航行区域とする。
注6 小安則第2条第1項に規定する小型船舶にあっては本表によるほか、9-1の2.3(a)及び2.4(a)によること。(「電気装備基準編(中級)」参照。)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION