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5・2 蓄電池(鉛蓄電池)
 ここでは専ら船用鉛蓄電池(JISF8101:92)について記述する。
 
 
 20℃に換算した1.240±0.05とする。
 温度換算は次の式による。
D20=Dt+0.0007(t-20)
D20:20℃における電解液の比重
Dt:t℃における電解液の比重
t:比重を測定したときの電解液の温度〔℃〕
 
種類 使用極板 完全充電時における
電解液比重(20℃)
放電条件
放電率 放電終止電圧 電解液温度
船舶用 ペースト式陽極板 1.240±0.01 10HR 1.8V/セル 25±2℃
列車始動用
GS:TRK
ペースト式陽極板 1.280±0.01 5HR 1.70V/セル 25±2℃
備考:蓄電池の容量は放電条件によって異なるので5・2・4項を参照のこと。
 
アンペア時容量 Ah=放電電流〔A〕×放電時間〔h〕
又は ワット時容量 Wh=アンペア時容量〔Ah〕×平均放電電圧〔V〕
 容量は放電率、電解液温度、電解液濃度、放電終止電圧などによって大きく変わるので5・2・3の条件における放電容量を定格容量という。
 
 放電中の電解液温度は25±2〔℃〕を標準とする。
 標準温度以外の温度で放電を行うときは、次の式により換算した容量を標準温度における容量とする。ただし、この換算式は10〜40℃の温度範囲において適用する。
C25:標準温度に換算した容量
Ct:t℃における容量〔Ah〕
t:放電中の最後の2時間における電解液の平均温度〔℃〕
 
 過充電1Ah当りのガス発生量は次のとおりである。
電気分解される水の量 0.336〔cc〕
0℃、1気圧下における発生ガス量
酸素ガス0.21〔
水素ガス0.42〔
 これらの値はいずれも蓄電池1セル当りのものである。
注:アルカリ蓄電池の場合もほぼ同様である。
 
 次式以上の換気量があれば完全であろう。
V:希釈率=100/3.8(3.8%は水素ガスの爆発限界)
q:水素ガス発生量=0.42〔/h〕
s:安全係数=10・・・船舶用の場合
n:蓄電池セル数
I:過充電電流〔A〕
 
E:完全充電時の起電力〔V〕
r:蓄電池内部の抵抗〔Ω〕
R:蓄電池外部の接続かんなどの抵抗〔Ω〕
R’:蓄電池に接続された外線回路抵抗〔Ω〕
〔例題〕船用鉛蓄電池JIS F8101のSS300(300Ah)のものを12セル、すなわち24〔V〕として充電完了後使用中、外線への両端子間に短絡が起きた。この場合の短絡電流はおよそ何〔A〕か。ただし1セル2.09〔V〕、内部抵抗r=88×10-4〔Ω〕、外部抵抗R≒21×10-4〔Ω〕と仮定する。かつ外線回路抵抗R'≒0とする。
〔解〕 E=2.09〔V〕×12=25.08〔V〕
(1)巻数比2の変圧器がある。一次電圧440〔V〕ACの場合、二次電圧は何〔V〕か。又一次側電流が100〔A〕のとき二次側電流は何〔A〕か。
(2)変圧器の等価回路において二次に換算した諸定数を示せ。ただし励磁電流は小さいため無視するものとする。
(3)インピーダンス電圧について説明せよ。そして船舶設備規程ではインピーダンス電圧5〜6〔%〕では何〔秒〕の短絡電流をかけることになっているか。
(4)単相変圧器の出力10〔kW〕を3個△又はY結線した場合の全出力は何〔kW〕か。
(5)△結線の45〔kW〕の変圧器が1台故障して、V結線に接続替えした場合の容量は何〔kW〕か。
(6)蓄電池の容量算定式を示せ。
(7)200Ahの鉛蓄電池が充電中に発生する酸素ガス及び水素ガスを1セル当り算出せよ。ただし、0〔℃〕1気圧下のもとでの値とする。







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