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はじめに
 このたび、日本訪問看護振興財団では、認定看護師教育機関として、訪問看護学科のはじめての卒業生を送り出すこととなりました。
 当財団が、訪問看護領域での認定看護師教育機関となりましたのは、昨年の初春のころでした。介護保険制度や医療保険制度等において、在宅サービス重視の方針のもと、様々な取組みがなされており、医療ニーズの高い在宅療養者・障害者に対する、訪問看護への期待は大きくなってきました。
 さらに、医療機関から在宅への移行期のケースマネジメント能力に加え、地域における在宅ケアリーダーとしての役割を求められるようになって参りました。
 このような社会情勢の中、当財団の事業の柱であります、訪問看護師の質向上を目指した教育として、平成17年10月に認定看護師教育課程訪問看護学科を開講いたしました。当初私どもは、小規模の訪問看護ステーションの看護師が6ヶ月間の長期にわたる受講や、近県だけでないこともあり、長期滞在での受講が出来るのかなどと危惧したものです。しかし、このように第1期生の修了式を迎えることができました。
 卒業生の皆様には、将来、訪問看護師の役割や地位の確立のために、全国で活躍されることを期待しております。
 また、開講に際しましては、日本看護協会の共催および日本財団の助成金をいただき、訪問看護認定看護師を世に送り出すために、多くの皆様のお力添えがあったことに対して厚くお礼申し上げます。
 今後とも、あたたかい見守りとご支援を賜りたく、お祝いとお礼のごあいさつとさせていただきます。
 
財団法人 日本訪問看護振興財団
理事長 吉原健二
 
〜平成17年度認定看護師教育課程修了式 式辞より〜
 本日、ご卒業される18名の皆様、ご卒業、誠におめでとうございます。
 ご来賓の皆様やご列席の皆様、また教職員とともに、皆様のご卒業を心からお祝い申し上げます。
 皆様方は、日本訪問看護振興財団 認定看護師教育課程 訪問看護学科の第一期生です。
 今日の修了式に至るまで、昨年10月から学習に実習に励んでこられました。お仕事を辞めて、ご家族と離れて、あるいは忙しい職場を休職しての6ヶ月間は、ご自分自身を相当励まして精進された日々だったと存じます。
 私どもにとりましても初めての取り組みでした。ご不自由をおかけしたことも多々あるかと存じます。東京女子医科大学の諸先生方には大変お世話になりました。講師の皆様や実習施設でご指導いただいた看護師の皆様、あるいは在宅患者の皆様のご支援にも感謝申し上げます。3月10日のケースレポート発表会では医療機関との連携・在宅移行期支援、家族支援、チームケア、高齢者の意欲・自己決定を促す支援や精神的支援、ホームヘルパー吸引問題など、重要な課題が取り上げられておりました。発表会には参観日よろしくご指導いただいた訪問看護ステーションの管理者の皆様に来ていただいたことも印象深く、大変感謝いたしております。
 学生の皆様と過ごしたこの半年間は、介護保険制度改正に伴う介護報酬の改定や診療報酬の改定が同時期となった、めまぐるしい年でした。当財団が平成14年から研究事業として取り組んできた、いわゆる「通所看護」が、「療養通所介護」として制度化された年でした。皆様の卒業と同じ2006年にスタートします。高齢で重度化し、医療ニーズと介護ニーズを併せ持っても、社会参加を支援するために訪問看護と一体化した通所サービスです。
 在宅看護サービスの1つとして、これから訪問看護とともに育てていきたいと思っています。
 わが国の在宅看護はまだ発展途上です。地域ケアの動向を見極めつつ、「看護とは何か」という原点に立って、看護職の本来持っている機能の積極的な活用の模索がまだ続くでしょう。
 皆様がこれから活躍される現場は様々な知恵を働かせて工夫が出来る宝の山です。ご自分の考えをしっかり持って、自らの目標に向けてたゆまぬ努力を続け、わが国の訪問看護をリードしていただくことを祈っています。
 最後になりましたが、この訪問看護認定看護師の教育に多大のご支援をいただきました日本財団には心から感謝申し上げます。
 今年めでたくご卒業される皆様が情熱と行動力を保ち、元気で活躍されることを期待いたしまして私のお祝いの言葉といたします。
 ご卒業、おめでとうございます。
 
財団法人日本訪問看護振興財団 認定看護師教育課程
課程長 佐藤 美穂子
 
入学式


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