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3 警察の役割
3.1 法の要請するところおよび警察の責務に従い、警察は、地域社会の安全を維持する役割の一部として、3.2に規定するサービスを提供することによって、VSに対する義務を継続して果たすものとする。
3.2 警察は、警察活動の必要性と資金の範囲内で、この合意書に従い、VSに加盟している全ての地区団体に対して、以下の援助が提供されることを受諾する。
(i)警察の敷地内、および地区の中央警察署丙の実務に適すると思われる場所において、事務所用施設を提供すること
(ii)通信設備の利用、PRECIS被害者援助プログラムを含むコンピュータ、複写機器、郵送料、文房具、(地区の協定による)ポケットベル、および合意に基づくその他の適切な後方支援を提供すること
(iii)裁判所での事件の進行状況を被害者に継続して通知するために、公訴記録を閲覧することができること
(iv)地区VSの委員会との連絡を担当する警察官の任命
(v)VS職員の訓練プログラムの一環として、VSの援助職員がパトロール活動に同行することを認めること
(vi)ボランティアの訓練を援助するために、適切な警察職員による支援を提供すること
(vii)地区の会合や講習会への出席などの特定の活動が行えるように、一般指令規則D58(1)に従い、特定のVS職員に警察車両の運転を認めること
(viii)「警察緊急事態処理手続き」に基づく全ての計画にVSを加えること
 
4 VSの役割
4.1 VSは以下の活動を行う。
4.1.1 加盟の地区VSが24時間サービスを提供すること
4.1.2 警察からのいかなる緊急呼び出しに対し、45分以内にVSの職員が利用できるように確保すること
4.1.3 住居への侵入窃盗の被害者と、現実に可能であればいかなる場所においても、接触すること
4.1.4 VSの「使命に関する公式声明」(この合意書の、B項を参照)に該当する被害者に対して、適切な危機介入、他機関紹介、および継続的な援助を提供すること
4.15 VSの職員の全員が、協議会の許容し得る水準に達するまで訓練を受け、また協議会の実務要綱を遵守するようにすること
4.1.6 全国一律の「(殺人)被害者援助職員」の召集に応えられるようにすること
 
5 共同の責任
5.1 両当事者は、1987年犯罪被害者法定める原則に従う。
5.2 両当事者は、上記の項目2.2につき、共同の責任を有する。
5.3 この合意書の各条項に従い、両当事者は以下の点について協力することに合意する。
5.3.1 被害者に対するサービスの財源、確立、管理、運営費用について論じること
5.3.2 被害者に対するサービスにつき、両当事者の責任を確立すること
5.3.3 被害者に対するサービスの継続的な促進、発展および維持を確実なものとすること
5.3.4 法の定める原則や条件が遵守され維持されるように、確保すること
 
6 VS職員の安全
 VS職員が警察の指示の下に警察官と活動する際には、警察は合理的に可能な限り、VS職員の安全を確保する。
 
7 VSに対する、警察による緊急呼び出し
7.1 危機介入を効率的に運営することを可能にするために、警察は以下の事件の場合には、その地区のVSの連絡担当員に通知する。
(i)全ての突然死を通知する場合、または突然死に接したとき
(ii)死者が出たか、人の生死に関わるような自動車または航空機の衝突・墜落
(iii)警察官が担当した事故で、人が重大な害悪を蒙っている場合
(iv)犯人が現場を荒らしたような、侵入窃盗の事件
(v)捜索および救助事件
(vi)被害者または証人が経験した事件に大きな影響を受けているために、緊急の危機介入援助を明らかに必要としている場合
(vii)行方不明者の捜索で、調査が長引きそうな場合
(viii)一人でいる女性、子どもまたは高齢者から、挙動不審者がいるとの通報があった場合
(ix)工場での事故で重傷者が出た場合
(x)Tranz Rail(ニュージーランド鉄道公社)の車両に関わる事故、および
(xi)VSと警察との間で協議したその他のサービスの要請。なお、ここには例えば「女性保護施設」(Women's Refuge)のようなその他の援助サービス提供者との協議も含まれる。
 
8 殺人
8.1 殺人事件が通報された場合、いかなる状況においても、警察はその地区の緊急呼び出し手続きに従い、訓練を受けた「(殺人)被害者援助職員」に援助を求める。
8.2 殺人現場から遠く離れた場所にいる親族に通知する場合に、警察は、訓練を受けた「(殺人)被害者援助職員」を用いる。
 
9 海外からの旅行者が被害者である場合
 海外からの旅行者が犯罪の被害者であったり、あるいは事故や財産を損失したことによって個人的に困難に直面している場合には、警察はVSの援助を求める。
 
10 情報の利用
 1989年11月9日に警察庁長官によって署名された許可書に基づき、1959年警察規則第33条(1992年警察規則第7条により改正)に従い、警察は、ニュージーランド被害者援助協議会に加盟する地区被害者援助団体に属する認定された職員に対して、以下の情報を毎日提供する。
(a)犯罪被害者に関する日報
(b)電話連絡、犯罪通報、およびCARD報告の写し
 
11 秘密保持
 生命の安全が脅かされている場合を除いては、VS職員がその依頼者との関係を秘密にしたいと求めた場合には、警察はこれを承諾する。
 
12 両当事者の関係の管理
12.1 警察庁長官とVSの委員長は、毎年会合を開き、この合意書の運用状況を確認し、翌年の方針を検討し、優先順位を決定するものとする。
12.2 VSの全国事務局および警察庁の職員は、警察長官と委員長の間で合意に達した方針および優先順位を実際に執行するための実行計画を策定し、この合意書の運用について確認するために、必要に応じ会合を開く。
 
13 譲渡
 両当事者は、この合意書に基づく取り決めのいかなる部分も譲渡してはならない。
 
14 費用
 書面による別段の取り決めが無い限り、両当事者は自己に関わる費用を負担するものとする。
 
15 合意書の有効期間
 この合意書は、一方の当事者が他の当事者に対して書面で破棄を通告してから180日経過するまでは、有効とする。
 
16 紛議の解決
16.1 運用に関する問題は、できる限り地区段階において、解決されるべきである。地区における合意では不十分または不可能である場合には、VS全国事務局に対する警察の代表者とVS全国事務局の代表が合議し、問題の解決を求める。
16.2 問題が未解決のままである場合には、最終的な決定を行うために、事務局長に委託されるものとする。
 
17 修正
 両当事者の権限を有する代理人が書面で合意しない限り、この合意書のいかなる修正も効力を有しないものとする。
 
18 発効
 この合意書は、両当事者がこの文書に署名した日に発効する。
 
1997年8月12日
 
ニュージーランド被害者援助団体協議会を代表して
ローリン・J・アウトリム(署名)
 
立会人
D.スミス
 
ニュージーランド警察庁を代表して
B.マシューズ(署名)


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