日本財団 図書館


6)日間賀島「海の日イベント」について
杉浦明巳 愛知県半田市 レッツチタ代表
 今回は日間賀での海の日イベントの報告ということで、菅原さんの方からおおせつかったのですが、主催をした日間賀観光協会の坂口さんが本来は来るはずなのですが、丁度フグの漁が忙しく、観光ホテルもやっているので、島をでることは許されず、急遽私が報告をすることになりました。
 私自身は知多半島の半田市を中心に、チタという地域通貨をやっています。常滑市の鯉江さんと御縁があり、3年ほど前から、多屋海岸での活動のお手伝いをしたり、ビーチコーミングのお弁当箱のセットの詰め合わせ作業などをやっております。そういう流れから昨年の夏の日間賀島でのイベントもお手伝いしているので、その記憶をもとに発表させていただきます。なにぶん、島の人間ではないので、思いの程は、坂口さんには及ばないと思いますが、御容赦ください。
 日間賀島の紹介を致します。東の方にサンライズビーチがあり、今回のイベントが行われました。日間賀島は知多半島の先端から約2.4キロ、船で10分ぐらいのところにあります。三河湾に囲まれた、温暖で風光明媚な島です。大きさは甲子園球場約16個分の大きさ。周囲は5.5キロ。セントレアから45分ぐらいですので、是非おこしください。産物としては、海に囲まれているので、魚介の宝庫です。特にタコとフグ。多幸と福と当て字をして、一晩フグ食べ放題一万円コースなどがあります、というようにして、パック旅行の企画を商業ベースに載せています。ここのフグは遠州灘の天然フグです。下関が有名ですが、下関が不漁の折は、日間賀特産のフグが下関にも廻されています。品質も折り紙つきです。人口は2300人、650の世帯数です。そこに年間35万人もの観光客が訪れます。
 余談ですが、日間賀島のもう少し南に篠島という日間賀島と同じぐらいの大きさの島があるのですが、私が子供の頃は、篠島と日間賀島は並び称されまして、子供の頃はどちらかと言うと篠島の方が、歴史が古かったり、万葉集に書かれていたり、伊勢神宮との関りがあったりとかで、歴史があって有名だったのですが、最近は日間賀島の方がダントツにリードしている。日間賀には何も無い、その危機感がバネになって、リードしている。PRが上手で、企画が面白い。観光地なので、今回のテーマの海浜清掃は当然のこととして、観光協会なんかで、毎年シーズンには、行っています。
 日間賀島も篠島も南知多町というところに属しますが、南知多町というと、合併後の名前を南セントレア市と命名したいということが話題になって、恥ずかしい思いをしました。南知多町では、率先して、下水処理事業にも取りかかっています。もうすぐ、その事業も完成するようです。企画が面白いと言う点では、最近紅白にでている40歳にしてデビューした綾戸智絵さんというジャズシンガーが、メジャーになる前からコンサートに呼んでいる。目の付け所がなかなかいい。キッズ・アドベンチャーという夏休みの間に、遊びのインストラクターを常駐させて、いかだ作りや素潜り、キャンプファイアーなど体験型のプログラムを実施したそうです。もう4年ぐらい前から実施しているということです。これが、好評を博し、毎年3000名以上の親子が参加して、そこで、親子のふれあいを改めて確認したり、自然や生き物に対する好奇心を深めるのに役立っています。これがとても良かったと言うことがあります。なかなか、体験型ということで、良いわけです。その延長線上に鯉江さんとの御縁の流れもあると思いますが、今回の海浜清掃プロジェクトへのきっかけとして、一昨年にやった日間賀小学校での授業で、ライフセービングの教室をやった、と。今日はライフセーバの鈴木さんがスーツを着て見えます。その場では赤と黄色のライフセーバーとしてのユニフォームを着られ、隊長さんです。
 ライフセーバーというと、海の救命活動ということが、大隊頭に浮ぶのですが、いろいろ話を伺って行くと、救命の他に、スポーツ、教育、福祉、環境と五つの理念があり、具体的には、海の救命活動だけでなく、事故を未然に防ぐことや、仲間とちからを併せる、とか、海でのマナーを守ろうとか、海を護ろうとか、島の子供たちだけでなく、観光客とも一緒に考えて行ったら、どうなんだろうか?と視点が開けてきまして、そういう流れもあって、日間賀島での初めての環境チケットはライフセーバーのお兄さんたちが、担うということで、展開されたわけです。これが、7月18日のサンライズビーチでの海の日イベントですね。ライフセービングのお兄さんたちが子供たちを集めて、ライフセーバーの教室をする前に掃除をしましょう、ということでやっています。これが親子でライフセービングの講習をしている模様です。その時に配った環境チケットです。ライフセーバーの教室のあとで、チケットと交換して、工作教室ができるというチケットです。
 海浜清掃が終わった後で、カードと交換してキットをもらって、工作をする。どこでもそうだと思いますが、親子で好評です。観光協会の方はこれと平行して、あさりの掴み取りやスイカ割りなどを同時並行で行っておりました。
 イベントをやった7月18日は夏休みのオープニングで、海開き。「ハレ」の日だったわけで、私達がビーチに到着したときには、観光協会の方たちによって、ビーチはきれいに清掃されていました。ゴミが落ちていると、観光業の方々は、習慣でゴミを拾ってしまう。子供たち用に少し残してください、というようなことでした。ゴミ拾いというのは、日常の「ケ」の日のことですので、「ハレ」の日、オープニングセレモニーなんかがある日は、やってはいけない、ということを学びました。
 中だるみになって、少々汚れてきたあたりで、やるのが自然何だろうと思いました。
 あと、それから、観光協会としては、もてなす側なのに、汚い状態にはできない。その辺、あちらを立てれば、こちらが立たないという、アンビバレンツなところがあって、結局、役割をはっきりさせないと、いけないんだろうな、ということを思いました。海浜清掃は、結局、ライフセーバーのお兄さん達に任せて、その中でとり行う、というように、役割をはっきりさせるのが、いいのではないかと思いました。
 今後の展望としまして、坂口さんに伺いました。漁業と観光で成たっている島なので、地産地消で産業振興、人材育成を進めて行きたい。それにあたっては、4本の柱があって、ひとつめが料理開発、島の特産で白ミル貝というのがありますが、これのカレーをいただきました。無料で。イベントの日にも配っておりました。おいしかったです。あと、地元産物の市場調査、朝市だとかもやりました。今回のテーマは、自然の体験型漁業の見直し。子供だけでなく、大人も含めた、体験型プログラムを充実させて行こう。その中で、島の自然とか、環境だとかを考える目を養って行こう。キッズアドベンチャーに至っては、もっとこれを進めた形で、例えば、不登校の子供達なんかが、自然や動物に触れ、親しむことで、情緒の安定や、社会性を身につけていく機会をもてる、自然学校みたいなもの発展させていきたい。
 あと、ライフセーバー。できれば、島の青年にライフセーバーのライセンスを取得してもらって、島の青年をライフセーバーに育成して行って、ビーチにはいつもライフセーバーのお兄さんたちがいる、そういう形に持って行きたいと。その中で、インストラクターとかライフセーバーの人達を通して、環境や島の自然を護る姿勢を、観光客と共に育成して行きたい。
 最後に、今回は日間賀島での試みが初めてであったもので、結局、環境チケットも工作教室の引換券みたいなものに過ぎなかったのですが、地域通貨というのは、通貨と言うだけ有って、本来ならぐるぐる循環しなければならないものだと思います。海をきれいにしようという掛け声は正しくて良いことですが、だれでもそれは口にしますが、それは、掛け声だけで、実際には終わってしまいそうなことです。地域通貨と言うのは、みんながいいことをしようと言うときの後押しをする潤滑剤とか促進剤の役割を果たすと思いますので、今日講演をされた、森野さんは事務局のいらない借用証書タイプの地域通貨というのがありまして、ご自分でそれを普及させておられます。いろいろな地域通貨、手法がありますので、私も含めて、是非みなさんも、せっかく作った環境チケットがぐるぐるまわるような継続的な活動になるよう、是非、地域通貨をやっているものの一人としてやっております。
 時間が余ったらお話しようと思っていましたが、これは、チケットではなく、大福帳のようなもので、銀行の通帳のように書きこむやり方のものです。
 
 
 
 
 
 


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION