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3)気仙沼市環境保全活動:エコポイント活動
佐々木正和 宮城県気仙沼市 気仙沼商工会議所中小企業相談所所長
(代理 菅原一美)
 気仙沼は東北新幹線から在来線で約一時間。日本一の魚の水揚げ港です。魚に対してのすごいこだわりがあって、海をきれいにする、というのが町の人達の願いでした。なぜ環境か、地域の誇りは海・山・川の豊かな自然の環境であり、山の幸があり、海の幸があり、そこに暮らしてきた文化がある地域を大事にする。環境を真中において見て、自然、観光、教育、漁業、そして、皆さん御存知の「森は海の恋人」といわれる畠山さんとの取り組みもこの中に取り入れ、ひとつの環境に対する取り組みを町挙げてやってみよう、ということを考えました。
 ここのひとつのやり方として、気仙沼エコ・クラブ、エコ・ポイント活動という事からスタートした。エコ・ポイント実行委員会というのがあり、気仙沼地区のエネルギー懇談会総会というのが書いてあるが、東北電力が主体になって、地元の商工会、主要な企業、気仙沼の市役所も主体となって、環境に対する取り組みとしてエコ・ポイントクラブの実行委員会というのを作った。
 仕組みは簡単である。エコポイント活動の申請、認定、募集、実施、エコ・ポイントカードの配布、捺印。面倒なことはやらなくても、例えば、小学校の○○年A組の10人が○○地域の道路のゴミを拾いたいということを計画すると、気仙沼の商工会議所の中にある実行委員会事務局に申請書をだす。まずほとんどが許可される。責任者が、メンバー10人の名前を書いて、ゴミ拾いをやります、というと、エコ・ポイントカードを貸し出す。カードの中にはんこを押す場所があるが、そのはんこを無条件で責任者に貸し出してくれる。環境に対する貢献をやった人達に一回に一つずつ印が押される。それが10個で、「クリーン賞」、20個で「グリーン賞」、30個で「エコロジー賞」ということになる。活動の数に応じて、点数が付けられる。
 ポイントが溜まったときに、表彰する表彰制度がある。活動をやると、事務局にこういうことをやったと、報告をする。子供達だけでなく、お年寄り、女性、男性と皆、関っていて、気仙沼約6万人に対し、カードの発行数は既に6,000枚。それだけの人がかかわっています。表彰制度として、気仙沼商工会議所が表彰状をくれる。表彰状をもらったおじいちゃんの中には、「私は一生のうちではじめて、賞状で表彰された」と本当に喜んでいかれる方もあるそうです。「俺が死んだら、賞状を並べてくれよ」と言って、お葬式の祭壇に飾って、家族も名誉に思ってもらおう、という希望をもって、賞状を一杯集めておられる方もあるそうです。
 気仙沼の大島で、海岸のゴミ拾いをやっている写真です。子供達の写真。気仙沼市内から10人ぐらい来ていただいて、学校の先生が引率してゴミ拾いをやったときの写真です。ゴミ拾いをしたら、ポイントカードが出来る前は、何でお礼をしたらいいか分からない。お礼のシステムが何もないということだったので、私達が、工作教室を開いて子供たちにお礼をしましょう、あそばせてあげましょう、ということで始めたのが、大島の工作教室です。ロビーの方に材料など展示してありますので、ご覧下さい。
 こちらは子供達の作品の写真です。海のゴミ拾いだけでなく、道路のゴミ拾い、道路脇に花などを植える美化活動をやった人にも、ポイントが上げられます。発行のカード数として、先ほど6000といいましたが、約7000ですね。市民の約1割がこのポイントカードを持っています。
 平成16年度の地球温暖化防止環境大臣賞を去年の暮れに小池環境大臣からいただいた、ということです。花を植えるだけでなく、山に木を植える、ということも併せて、ボランティア活動としてやっておられる。表彰式の記念写真。右は私が最初にお会いした臼井商工会議所会頭。左が気仙沼の市長です。
 エコ・ポイント活動システムの流れ図です。環境、観光、食という中の流れでエコ・ポイントがぐるぐる回っています。エコ・ポイントのメリットは、森野さんからも御紹介がありましたが、一番のメリットはポイントが溜まりますと、飲食店、小売店など各商店の割引がききます。一般的な割引より高い割引率で、引いてもらえる。3段階に応じて、割引のパーセントが変わってくる。お店の協力によって、例えば、「クリーン賞の人には、11%引きにします」という宣言を店の前に貼ります。他の店がそのようなものを前に貼ると「私もやりたい」と、どんどん協賛店が増えて行く。地域の活性化の一面も持っている。
 もうひとつの大きなポイントは、クリーン賞、グリーン賞、エコロジー賞で、それぞれ、定期預金の金利が上乗せされる。気仙沼信用組合という地元の金融機関が0.06、0.09、0.12と上乗せすることを、自発的に申し出て協力してくださっているようです。地域銀行もこれについて検討中だということですので、多分、その方向に進んで行くのではないかと思います。
 佐々木さんに「これだけのことをやるには、事務局経費とかいろいろ掛かるんではないでしょうか?誰がふたんするのですか?」と伺ったところ、気仙沼商工会議所で、このチケットを印刷する印刷費だけですんでいるんで、あとは一切お世話をしません。はんこを貸し出すだけです。何も監視するわけでもないので、通常業務の中でやれるので、特にお金はかからない。ゆるい形の地域通貨、環境チケットの仕組みで、エコ・クラブのポイントということで、進んで行く。もうひとつ、気仙沼だけでは勿体無いので、近くの唐桑とか石巻にも提案をしている。どこまで広くするのが適切なのか、私にはわからないのですが、近隣の市町村に交流を提案していくことも、これから進めるということです。簡単ですが、御紹介をさせていただきました。
 
 
 
 
 
 


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