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平成15年神審第98号
件名

プレジャーボート村本号突堤衝突事件(簡易)

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成16年5月31日

審判庁区分
神戸地方海難審判庁(橋本 學)

副理事官
小俣幸伸

指定海難関係人
A 職名:村本号操縦者 
B 職名:村本号所有者

損害
村本号・・・船首部を圧壊して破口を生じる損傷、操縦者及び同乗者が、それぞれ頭部打撲などの負傷

原因
技量未熟のまま操縦したこと

裁決主文

 本件突堤衝突は、操縦者の技量が未熟であったことによって発生したものである。
 
裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成15年8月10日13時40分
 兵庫県三原郡西淡町慶野松原海岸
 
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボート村本号
登録長 2.51メートル
機関の種類 電気点火機関
出力 106キロワット

3 事実の経過
 村本号は、水上オートバイと呼称される2人乗りのFRP製プレジャーボートで、小型船舶操縦士免状を有しないA指定海難関係人が1人で乗り組み、女性1人を後部座席に乗せ、遊走の目的で、船首尾とも極浅い喫水をもって、平成15年8月10日13時35分兵庫県三原郡西淡町慶野松原海岸の砂浜を発し、沖合100メートル付近の遊走予定海域へ向かった。
 ところで、慶野松原海岸には、砂浜から北西方向へ約50メートル突き出した2本の砂防突堤が、三原川河口から北東方向へ約180メートル間隔で並んで構築されており、A指定海難関係人は、それら2本の突堤近くの前示遊走海域において、10時00分ごろから叔父及びその友人であるB指定海難関係人ほか2人の計5人で、村本号を含む3台の水上オートバイを使用し、それぞれが交替で乗船しながら遊走を繰り返していたものであった。
 また、A指定海難関係人は、水上オートバイに乗った経験が全くなかったものの、同日午前中に叔父と一緒に乗って数回遊走したところ、未熟ながらも操縦できるようになったことから、当地で知り合った女性1人を村本号の後部座席に乗せて遊走を始めたものであり、B指定海難関係人は、A指定海難関係人が免許を持っていないことを知っていたので、同人に関しては、その叔父に、自らが所有する同船に乗船することをも含めて、安全面での指導を全て任せていたのであった。
 そして、A指定海難関係人は、遊走海域に至ったのち、11.0ノットの対地速力で、左右に旋回を繰り返しながら遊走していたところ、13時40分少し前三原川河口から数えて2本目の砂防突堤先端部至近で右旋回していたとき、当日まで水上オートバイに乗った経験が全くなく、操縦技量が未熟であったことなどから、旋回しているうちに自船がどの方向に進んでいるのか判らない状態に陥った。
 こうして、A指定海難関係人は、操縦技量が未熟であったことなどに起因して、方向感覚を喪失した状態のまま旋回中、13時40分わずか前前示砂防突堤先端部に向かって進行していることに気付き、衝突の危険を感じて、急きょスロットルレバーを緩めるとともに、急ハンドルを切ったが、及ばず、13時40分湊港西防波堤灯台から059度(真方位)560メートルの地点において、村本号は、東北東を向いたとき、原速力のまま、同突堤先端部の捨石に衝突した。
 当時、天候は晴で風力2の北風が吹き、潮候は上げ潮の中央期であった。
 衝突の結果、村本号は、船首部を圧壊して破口を生じ、A指定海難関係人及び同乗の女性が、それぞれ頭部打撲などの傷を負った。 

(原因)
 本件突堤衝突は、兵庫県三原郡西淡町慶野松原海岸において、遊走中の村本号が、操縦者の技量が未熟であったため、同海岸に構築されている砂防突堤に向かって進行したことによって発生したものである。
 
(指定海難関係人の所為)
 A指定海難関係人が、技量未熟のまま操縦したことは、本件発生の原因となる。
 A浦川指定海難関係人に対しては、十分に反省していることに徴し、勧告しない。
 B指定海難関係人の所為は、本件発生の原因とならない。





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