まえがき
我が国周辺海域では、依然として、不審船事案や銃器・薬物の密輸入、集団密航事案など国際問題事案が後を絶たず、また、海賊事案を巡る諸問題についても、関係国として的確に対処すべきことが求められている。
これらの事案は、直接又は間接に国民生活を脅かし、我が国船舶等の航行の安全を阻害するものである。
更に、最近では、海上テロ発生の蓋然性がより高くなるなど、国際情勢等の変化に応じて、新たな脅威を生じるとともに、事案の態様等についても大きく変化する状況を呈している。
このため、海上における執行管轄権行使の法的根拠となる海上保安法制についても、これら事案に一層的確に対処するため、新たな、より適切な法制の構築も視野に入れた検討が必要とされ、平成14年度から3カ年計画で、「各国における海上保安法制の比較研究」事業を実施してきた。本報告書は、その事業の成果としてまとめたものである。
本事業では、国際法、刑事法などの専門家及び海上保安庁関係者からなる海上保安体制調査研究委員会を設置し、年8回(計24回)の委員会を開催して、各国の海上保安法制を比較調査し、海上における執行管轄権についての研究を行った。
本報告書が、今後の海上における的確な法執行への基礎資料となれば幸甚である。
3ケ年にわたり、山本委員長をはじめ、本調査研究に精力的に取り組んでいただいた委員の方々に感謝するとともに、本事業を支えていただいた海上保安庁各位に御礼を申し上げる次第である。
なお、本事業は、競艇公益資金による日本財団の助成事業として実施したものである。
平成17年3月
財団法人 海上保安協会
会長 永井 浩
海上保安体制調査研究委員会 委員一覧
委員長 |
東北大学名誉教授 |
山本草二 |
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委員 |
立教大学教授 |
兼原敦子 |
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東京大学教授 |
小寺 彰 |
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神戸大学教授 |
坂元茂樹 |
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横浜国立大学教授 |
田中利幸 |
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海上保安大学校教授 |
廣瀬 肇 |
(16年3月まで) |
村上暦造 |
|
海上保安大学校助教授 |
北川佳世子 |
(16年3月まで) |
海上保安大学校講師 |
中野勝哉 |
(15年4月から) |
海上保安庁総務部参事官 |
辻村邦康 |
(14年6月まで) |
与田俊和 |
(14年7月〜15年6月) |
富取善彦 |
(15年7月〜16年6月) |
五十嵐一美 |
(16年7月から) |
海上保安庁総務部政務課長 |
島崎有平 |
(15年6月まで) |
齋藤芳夫 |
(15年7月〜16年6月) |
大須賀英郎 |
(16年7月から) |
海上保安庁総務部国際・危機管理官 |
後藤靖子 |
(15年3月まで) |
加藤隆司 |
(15年4月〜16年6月) |
東井芳隆 |
(16年7月から) |
海上保安庁警備救難部管理課長 |
渡部典正 |
(16年3月まで) |
城野 功 |
(16年4月から) |
海上保安庁警備救難部刑事課長 |
錦郡 満 |
(15年3月まで) |
石間聡孝 |
(15年4月〜16年3月) |
向田昌幸 |
(16年4月から) |
海上保安庁警備救難部国際刑事課長 |
門野秀行 |
(14年6月まで) |
松脇達朗 |
(14年7月から) |
海上保安庁警備救難部警備課長 |
石橋幹夫 |
(15年3月まで) |
黒木 正 |
(15年4月〜16年3月) |
山下政晴 |
(16年4月から) |
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平成14年度〜平成16年度
「海上保安体制調査研究委員会」開催実績
平成14年度
回
開催日 |
議題 |
発表委員名
海保担当者 |
第1回
6 14 |
海上保安庁の業務概要、最近の代表的な事案について
委員会の進め方について |
委員長 |
第2回
7 12 |
我が国海上保安法制の現状比較法のための序論的考察 |
田中
葛西、警救管理 |
第3回
9 13 |
米国海上保安体制の現状について |
坂元
服部、総務政務 |
第4回
10 16 |
海上警備に関するフランス国内法制について |
兼原
澤井、警救警備 |
第5回
11 8 |
海上保安体制に関するフィリピン・タイ国内法制について |
廣瀬
渡邊、警救国刑 |
第6回
11 29 |
海上秩序維持への国際取極めの関与について |
小寺
後藤、総務国危 |
第7回
12 13 |
英国海上保安体制について |
村上
田口、警救刑事 |
第8回
1 17 |
ドイツにおける海上保安法制について |
村上
葛西、警救管理 |
|
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平成15年度
回
開催日 |
議題 |
発表委員名
海保担当者 |
第1回
4 11 |
委員会の進め方について |
委員長 |
第2回
5 9 |
停船命令について |
村上
江口、警救管理 |
第3回
6 13 |
停船命令について
海上保安庁の問題提起「臨検・捜索」について |
村上
金指、総務政務 |
第4回
7 11 |
臨検・捜索について
海上保安庁の問題提起「拿捕・抑留」について |
坂元
鎌原、総務国危
渡邊、警救国刑 |
第5回
10 17 |
拿捕・抑留について
海上保安庁の問題提起「追跡権」について |
小寺
田口、警救刑事 |
第6回
11 14 |
追跡について
海上保安庁の問題提起「訴追」について |
兼原
澤井、警救警備 |
第7回
12 12 |
訴追について |
田中 |
第8回
1 16 |
16年度の運営方針等について |
|
|
|
平成16年度
回
開催日 |
議題 |
発表委員名
海保担当者 |
第1回
5 14 |
委員会の進め方について |
委員長 |
第2回
6 11 |
停船命令について |
村上
江口、警救管理 |
第3回
7 16 |
追跡権について |
兼原
瀬井、総務政務 |
第4回
10 22 |
臨検・捜索について |
坂元
山本、警救刑事 |
第5回
11 19 |
拿捕について |
小寺
山本、総務国危 |
第6回
12 10 |
抑留と行政措置について |
中野
鹿庭、警救国際 |
第7回
1 14 |
訴追について |
田中
伊地知、警救警備 |
第8回
1 28 |
「各国における海上保安法制の比較研究」事業の総括 |
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