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IV 指導者会議
1. 社会教育団体関係者会議
(1)日時 平成16年10月15日(金) 14:00〜16:00
(2)場所 福山市新涯公民館
(3)出席者 福山市青少年女性課長 片岡静子
  福山市明るい町づくり推進協議会 清水忠美
  福山市子ども会育成協議会 久岡昭博
  (元)福山市社会教育部長 倉田秀孝
  福山海上保安署次長
  福山海洋少年団関係者 4名
(4)テーマ 「福山市における青少年健全育成と青少年育成団体に期待するもの」
※平成16年度、福山海洋少年団が日本連盟の「団員拡充モデル事業」を受けた経緯とその内容について説明。今後行う事業についても意見を聞いた。
(5)話し合われた具体的な内容
(1)最近の子どもについて
 核家族化の進行により、家の中で遊ぶことが多く、同級生と遊ばない子どもが多くなり、昔のように異年齢間での遊ぶことが無くなった。それにより人間関係が薄くなるとともに「地域で子どもを育てる」という意識が薄れてきている。
・自分中心の考え方が進んでいる。
・礼儀を弁えない子が多い。(家庭で教えていない)
・集団での行動がとれない。誰かがやってくれるのを待っている。
・子ども会のスポーツ活動があって、他の団体に入れない。
・子どもがやることが多すぎる。(塾・サッカー・習い事など)
・集中力が欠けている。
・人の意見に流されやすい。主体性が乏しい。
・心を割って話せる友達が居ないのではないか。
・異年齢で遊ぶことが無い。
・子ども会でも参加はするが、中心にはなりたがらない。
・我慢ができない。すぐカッとなりやすい。
 
(2)最近の親について
 戦後民主主義教育を受けた親の子どもが、現在の子どもの親になっている。集団の中で育つという体験が無いためか、自立心が薄く子どもに融合しやすく子育てに対応できていない。
・自分で解決する力がなく、すぐ人に頼ってしまう。
・家庭教育が十分できていない。(昔は祖母が家に居て教育していた)
・共稼ぎが多く、子どもに拘わる時間が少ない。
・子どものしつけを他人に任せすぎている。(学校・団体等)
・親子で何かをするということがない。
・親がいいことだと思っても、子どもが「ノー」と言ったら、それ以上進めない。変な意味での自主性を重んじている。
・親同士の情報交換ができていない。
 
(3)青少年育成団体の現状と課題
 福山市には、海洋少年団、ボーイスカウト、ガールスカウト、交通少年団、子ども会、スポーツ少年団等が活動しているが、さまざまな悩みを抱えている。とくに団員の減少は大きな問題である。
・市が拘わっている(補助金等)団体は子ども会だけである。
・財源を確保するのが困難になってきている。
・構成員の減少。
・団体間の交流がないため、いろんな情報の共有ができない。
・今の子どもに合ったプログラムができているのか。
・子どもに合わせるのか、団体の育成プログラムに子どもを引き込むのか。
・団員募集に対して、行政の協力がない。
・福山市では、子ども会以外の青少年育成団体の実態を十分把握していない。
・行政の後押しがあると無いとでは、子どもの集まりが全く違う。
 
(4)今後の青少年育成団体に期待するもの
 学校週五日制により子どもの余暇時間が増え、どの団体も団員の増加を期待していた。親の中には、自分が経験できなかった団体生活を子どもに体験させたいと考えている人が多くいる。そういう親を引き込んで、親子でも楽しめるプログラムを取り入れた活動をしてほしい。
・親同士の情報交換の場を作ってほしい。
・団体のPRが十分でないので、存在すら知らない人が多い。体験入団のような行事を増やしてもっとPRすべきである。
・異年齢集団としての特徴を生かしたプログラムの実行を。
・活動の場所をもっと市民の目に付くところでやってほしい。
・保護者も積極的に活動に参加し、子どもと共通の話題を持つべきである。
 
【参考資料】
福山市における過去5年間の児童数一覧表(小学校)
(単位:人)
年度 3年生 4年生 5年生 6年生 合計
12 3,716 3,724 3,790 3,968 15,198
13 1,872 1,875 1,965 1,761 1,916 1,831 1,939 1,888 7,692 7,355
3,747 3,726 3,747 3,827 15,047
14 1,935 1,803 1,874 1,848 1,955 1,776 1,911 1,822 7,675 7,240
3,738 3,722 3,722 3,733 14,915
15 2,167 1,974 2,045 1,897 2,002 1,970 2,085 1,874 8,299 7,715
4,141 3,942 3,972 3,959 16,014
16 3,881 4,071 3,883 3,941 15,776

 この表で見る限り、海洋少年団へ入団可能学年の子どもの数の減少は見られない。
 
2. 社会教育関係団体関係者会議(活動評価会)
(1)日時 平成17年3月12日(土) 15:00〜17:00
(2)場所 福山市新涯公民館
(3)出席者 福山市青少年女性課長 片岡静子
  福山市明るい町づくり推進協議会 清水忠美
  福山市子ども会育成協議会 久岡昭博
  (元)福山市社会教育部長 倉田秀孝
  福山海上保安署次長
  福山海洋少年団関係者 4名
(4)テーマ 「今後の福山海洋少年団に望むもの」
※平成16年度の「団員拡充モデル事業」の報告会とすると共に、今後の活動について意見をいただいた。
(5)具体的に話し合われた内容
(1)団員拡充モデル事業の総合評価
 福山海洋少年団の指導者は7名います。しかし、仕事の関係で2名は市外に居住し、2名は不規則な勤務状況であるにも拘らず、通常の訓練をやりながらモデル事業を実施したことは大変りっぱなことでした。
 さらに、海洋少年団中国地区連盟大会を事務局である福山団が計画・実施し成功裏に終わったことは賞賛に値する。
 しかし、大事業を終えた後というのは比較的安心感が充満し、指導者の中に安堵感が広がり、活動が停滞することが多い。指導者の一層の努力を求めるものである。
 スタッフの不足についても、優秀なOBを多く育てておられると聞いておりますので、早急に態勢を整えて、子どもたちのために活動をしていただきたい。
 今回の事業では、親子での参加という今までになかった事業が行われ、多くの親たちが海洋少年団活動に感心を示したことは、今後、福山海洋少年団活動の推進に大変おおきな追い風になるように思います。
 残念なことは、福山市教育委員会の後援が得られなかったことである。
 青少年犯罪の低年齢化を防ぐには、海洋少年団のような青少年育成団体の役割が非常に重要なものだと確信しました。これからも、しっかりした活動を続けてもらいたい。
 
(2)組織について
・福山海洋少年団は、結団当初小学5年生40人しかとらなくて大きくなったと聞いている。しかし、現在は20数名しかいないという現実がある。今回のモデル事業をきっかけに多くの団員が入団されることを望む。
・福山海洋少年団は厳しいしつけのイメージがあったが、今回の「海の教室」では、ソフトなイメージを訴えられたと思う。
・市町村合併して新に新市・内海の各町が編入された。とくに内海町はマリンスポーツの盛んなところである。有効に利用する方法を考えると、団員も増えるのではないか。
・入団して1〜2年で退団する子どもが何人かいるようだが、海洋少年団のような団体は、他のスポーツと違って結果がすぐ出るようなものではない。自分が後輩を教えるようになって、初めて少年団の良さがわかる。親も長いスパーンで子どもを支援してやってほしい。
・小学校からだけの入団ではなく、中学生でも入れるような方法を考えてほしい。中学生は結構クラブ活動をしていない人がいて、何かをしたいと思っている人が多いので、本体とは別に中学生だけを集めた団体を作ってみたらどうだろうか。
 
(3)組織・カリキュラムについて
・従来の活動カリキュラムにとらわれない、子どもたちのニーズに合った活動も必要ではないか。福山市には小学校が73校ある。すべてをまとめて1団体というのではなく、分隊のようにして活動すれば、団員も増えるのではないか。現在の訓練場所に来るのが遠いために入団をあきらめている子どももいると思う。
・カッターのように6人が揃わないと出来ない訓練よりも、カヌーのように一人でも出来るものの方が、子どもたちには受けるのではないか。
・厳しいしつけや訓練も今までは受け入れられていたが、最近の親は違う。時代にあった訓練内容を考えていかなければ受け入れられないと思う。
・海洋少年団は、海を訓練の場として活動する団体である。もっと海のこと(海洋・海運・港の仕組み・水産産業等)を教えていく必要があるのではないか。
・福山団の伝統を大切にしつつ、新しい伝統を作っていってほしい。
・海洋少年団のような青少年育成団体に、福山市がもっと力を入れていくよう、バックアップしていく団体が必要ではないか。
・後援会組織を充実させ、金銭面を気にしないで活動ができるようにしなければならないと思う。
 
(4)指導者の育成
 福山海洋少年団の悩みはア. 金がない イ. 訓練場所が遠い ウ. 若い指導者がいない である。中でも指導者の問題は、団員確保についで重要なことである。福山団では8年間頑張って卒団したOBの中から、指導者を育成するという内部養成方式をとってきた。海の仕事に従事してきた外部の人も指導者として受け入れてもいいのではないか。外のことが分かる指導者が必要である。
・福山海洋少年団では、入団後4〜5年を経た団員に、班長になるべく集中講義を行い、試験をして合格したものを班長にしていると聞いた。子どもたちの自信に繋がるから良い方法だと思う。
・卒団したOBが地元にいなければ指導者として活動できない。地元で就職できるようバックアップしていかなければならないと思う。
・福山海洋少年団の指導者は積極的に研修会に参加していると聞く。指導者の力量のアップは必要なことである。
 
(5)団員拡充モデル事業の全体的な評価
 福山海洋少年団は昭和43年に結団されて以来、37年間にわたり青少年の健全育成に取り組んできた。今までに1,000人近いOBを輩出し各方面で活躍していると聞いています。
 福山市が青少年育成団体について、あまりにも無関心であることにも憤りを覚えたが、本年、福山海洋少年団が日本連盟の「団員拡充モデル事業」を行ったことで、市民の感心が少しでも青少年団体へ向いてくれたとすれば、福山市にとって大きな前進だと思う。今後は市内の様々な団体が連絡を取り合い、連携・協力し合いながら青少年の健全育成に取り組んで行ってくれることを望むものである。そのことが福山市当局を動かすことに繋がると確信している。


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