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創造力・精神力の豊かな才能は宝物
東京財団
 
 創造力・精神力の豊かな人材、才能を発掘することは、本人にとって素晴らしいというだけでなく、日本の宝物になります。東京財団の活動の一つの重点はそこにあります。
 人間には「知・情・意」の育成が必要です。一般的には子供たちは、学校で「知」を、家庭や社会で「情」を、遊びやスポーツで「意」を育成されています。昨今の日本の状況を見ますと、「意」の部分が比較的に弱く、国際的に見ても見劣りする場面に遭遇します。
 「意」は「やり遂げるぞ!負けないぞ!」というもので、創造力や精神力の豊かさにつながっていくので、若いうちから鍛えて置いた方が良いに決まっています。小松川高校の自由で熱意のこもった教育精神と、東京財団のこの気持ちが一つになり、本件実験授業が実現しました。
 
 ストーリーマンガを描く場合、物語の背景描写、登場人物の心理描写、エンタテインメントの要素、斬新なアイデアなどが要求されます。総合芸術の創作活動のイメージです。つまり限られた環境の中で、「知・情・意」の全てを動員することが必要とされます。これは想像していたより、ずっと過酷なもので、経験者しか分らないことでしょう。だからこそ、一人でストーリーを作り上げ、キャラクターを起こし、演出し、コマ割り・構図などを考えて、ひとつの作品を完成させる、作品を通して読者にメッセージを伝える、という作業に達成感、充実感を自覚することができ、「意」を強く育成することができます。
 楽しく、また厳しい授業でしたが、参加者20余名が良く頑張りました。予想を超える成果と手ごたえがありました。終了後、「日台文化交流青少年スカラシップ」(フジサンケイビジネスアイ・産経新聞社主催)に作品を応募したところ、優秀賞をはじめ各賞に入選しました。皆さんの創造力、精神力が豊かなメッセージとして伝わったのです。
 ご指導くださいました、関口シュン先生、さちみりほ先生、校長先生以下教職員の皆様、それからOBの皆様に厚くお礼申し上げます。
 
 今後、今回の意図を汲んだ学習は何らかの形で発展的に継承されていくものと思われます。東京財団は、本事業継続も含めて、様々な切り口、先駆的な着眼点をもって、日本のために活動して参ります。
 
マンガ・ワークショップの流れ
 
 
日時:2004年5月29日〜2005年1月15日(計11回)
 
場所:東京都立小松川高等学校
(東京都江戸川区平井1-27-10)
 
参加者:小松川高校在校生を中心とした江戸川区内の中学〜高校生23名
 
講師:
関口 シュン先生<マンガ家・西洋占星術研究家、カウンセラー>
 
1957年5月22日生まれ。東京都出身。
18歳でマンガ家永島慎二氏に師事。3年半後独立。
22歳、月刊「ガロ」でデビュー。
 
 主な作品は、マンガ「フットギア」「ヴィーナス」「風街ろまん」ほか。近年ますますジャンルにこだわらず、かがく絵本、環境絵本、教科書、総合学習書、保育書、児童書、イヌネコのしつけの本など多岐にわたり活躍中。
 
 
さちみ りほ先生<マンガ家>
 
1989年「陽だまりの階段」ちゃお(小学館)でデビュー。
1991年秋田書店に移籍。
プリンセスGOLD、エレガンスイブなどで活躍中。
 
代表作
「銀のヴァルキュリアス」1〜6巻(連載中)
「夢やしきへようこそ」全13巻
「シリーズ斎」「真珠夫人」全3巻
 
 
カリキュラム
回数 月日 時間 内容  
1回 5/29(土) 13:00〜15:00 オリエンテーション 講師紹介−講座メンバー紹介−カリキュラム説明。
15〜20ページのショートストーリー・マンガを描くにあたっての心構え。準備するもの
2回 6/5(土) 9:00〜11:00 アイデア出し
ストーリーイメージ
道具配布。
どんなマンガを描いていくのか。何を描きたいのか。
アイデアやストーリーイメージを作る。
3回 6/12(土) 13:00〜15:00 シナリオ作り アイデアをストーリーにする。シナリオにする。同時にキャラクター設定も決める。
4回 6/19(土) 9:00〜11:00 ラフコンテ作り(1)
(ネーム)
シナリオを元に、ノートなどにコマ割をして、全体の構成やセリフ(ネーム)を決めていく。キャラクターや背景なども再チェック。
5回 8/28(土) 9:00〜11:00 ラフコンテ作り(2)
(ネーム)
このラフコンテの段階はとても重要。何度でも納得できるまでやり直す。ラフコンテ完成。
6回 10/9(土) 13:00〜15:00 原稿下描き(1) 完成したラフコンテを元に、いよいよ原稿用紙に下描きを始める。コマ割→セリフ→キャラクター→背景の順番で。
7回 10/23(土) 9:00〜11:00 原稿下描き(2) 原稿下描きを進める。
8回 10/30(土) 13:00〜15:00 原稿下描き(3) 原稿下描きを進める。
ペン入れを始めてもよい。
9回 11/20(土) 9:00〜11:00 原稿ペン入れ(1) ペン入れを進める。キャラクターまたはコマの枠線から始める。
10回 11/27(土) 13:00〜15:00 原稿ペン入れ(2) ペン入れを進める。背景の描き方。仕上げの仕方。
11回 1/15(土) 13:00〜15:00 原稿ペン入れ(3)完成 ペン入れを進める。できるだけ完成を目指す。







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