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はじめに
 歴史を見ると、日本の社会を変えていくような出来事はしばしば地方から現れています。鎌倉幕府の成立、戦国時代、そして日本の近代化への幕開けとなった明治維新。それらの変革の原動力となったのは、地方が長年培ってきた文化から生まれた革新精神、独立精神でした。
 
 21世紀を迎えた今、日本は方向性を見失い新たな時代の精神を求めています。
 そのような時こそ、地方から発信される文化が輝きを持ち始めます。中央の古い体制に頼らない地方の革新精神、独立精神を見直すことが、未来を切り拓く視点をつかむことになるのです。
 
 東京財団は、既存の価値観に捕われることなく常に時代を先取りした先見的な視野を持ち、先駆的なアイデア・情報を創造・発信することを目指しています。
 これから先端的・独創的なものはグローバリズムに覆われている中央ではなく、ローカリズムに端を発する地方から生み出されてくるのです。そのような認識のもと、地方の文化や人材など新しい動きに注目し、それらにスポットを当てた地域文化シンポジウムを開催しています。
 
 今回は、マンガ・アニメをテーマにシンポジウムを山口県周南市と石川県金沢市で行いました。
 マンガ・アニメは日本が誇る大衆文化として世界から注目を集めています。マンガ・アニメというと関係企業が集中する東京に注目が集まりがちですが、マンガ家やクリエーターの多くは地方出身です。マンガ・アニメのルーツには日本の各地にあるさまざまな物語の影響が見られます。
 
 山口県周南市にある徳山大学は現在マンガ・アニメを4年制の経営学科で取り扱うという全国でも画期的な試みを行っています。マンガ・アニメは地方大学にとって学生が集まるきっかけになり、ひいては地方都市に若者をひきつける核になる可能性もあります。
 石川県金沢市は加賀前田家の時代から文化振興に関心が深く、新しい文化を受け入れる土壌があります。民話をはじめ物語もたくさんあります。そして教育にも関心が高い豊かな土地です。
 
 今年の地域文化シンポジウムは、このような2つの地域でマンガ・アニメによる地域振興や教育における効果、物語の可能性などをテーマに開催しました。
 
2005年1月
東京財団
 
「シンポジウムしゅうなん'04」
 
日時:2004年7月22日(木)23日(金)
場所:徳山大学1125教室
山口県周南市久米栗ヶ迫843-4-2
内容:(両日とも同内容)
 
時間 内容
13:00〜13:05 開会〜開会あいさつ 杉光 英俊 徳山大学学長
13:05〜13:10 講師・アシスタント紹介 峰岸 恵一 東京工芸大学非常勤講師
なかはらかぜ 徳山大学非常勤講師
13:10〜13:20 まんがについて なかはらかぜ
13:20〜13:30 アニメについて 峰岸 恵一
13:30〜14:05 講座内容説明・サンプルムービー上映〜グループ分け
14:05〜14:55 前半制作 手描きアニメ・粘土アニメ
14:55〜15:05 休憩
15:05〜15:45 後半制作
15:45〜15:55 作品講評
15:55〜16:00 閉会のあいさつ 岡野 啓介 徳山大学経済学部長
 
アニメ教室の様子
 
7月22日、23日とも応募の30組をうわまわる親子が参加しました。
 
マンガ家のなかはらかぜ徳山大学講師によりマンガの描き方教室の様子。
 
なかはらかぜ氏による見本「ジャンプ!」。
 
たった2枚の絵でもアニメーションはつくれます。







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