北京七日土田真靖特派員 七日の中国総工会機関紙「工人日報」は、労働者の中にもブルジョア自由化思想にかぶれ企業内で騒ぎをあおり生産を破壊しようとするものがいることを初めて示唆、各級労働組合い対し「緊急かつ長期的任務」としてブルジョア自由化反対に取り組むよう要求する独自の社説を発表した。
今回の一連の学生デモ騒ぎでは、一部の青年労働者が学生にまぎれてアジ演説を行ったり、車をひっくり返し、窓ガラスを割ったりしていたことが個々のケースとして報道されているが、学生以外に労働者もブルジョア自由化思想に侵され生産現場を混乱させようとするものがいるとの指摘は初めてであり、当初学生デモ容認の気配をみせた中国指導部がその後態度を一変させた背景の一つとして注目されよう。
「労働者階級はブルジョア自由化反対の先頭に立とう」と題した工人日報の社説はまず「ブルジョア自由化を鼓吹しているものはごく少数だがかれらの影響力、とくに一部の青年に対する腐食作用を過小評価してはならない」と警告、「少数のもの」が「全面的な西洋化」を主張、資本主義の道を歩み、中国共産党を戯画化し、改革と開放、近代化を妨げ「労働者階級と広範な青年をむしばみ害している」と指摘した。
また、「職員、労働者の中でブルジョア自由化の思想をまき散らしている連中に対しては阻止し暴露し、企業内で連絡をとりあい騒ぎをあおっている連中とは徹底して闘争し、生産と建設、安定団結の政治局面を破壊させてはならない」と呼びかけた。
安徽省合肥の学生デモが上海に飛び火し、長期化の様相を呈しはじめたころ、ある中国権威筋は「学生デモ自体は大したことはない。しかしポーランドの教訓もある」と学生デモが労働者による反政府運動に発展、生産低迷が市民の不満をさらにつのらせ、反政府ムードをあおるという悪循環を懸念する空気が党内にあることを指摘したことがある。工人日報社説は指導部内のこのような懸念が現実化するおそれがあることをうかがわせるものだ。
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