日造協実態調査報告・要約版(平成17年3月)
社団法人 日本造船協力事業団体連合会
[売上高推移]
●造船売上は4%の伸び
平成15年度の造船売上は対前年比で4.3%の伸び、総売上が1.8%ほど伸びている。過去のデータを振り返ると、次表のとおり平成11〜12年度までは対前年比で大幅減少を記録し、総売上は13年度にようやく横ばいに転じた。造船売上の伸びに対して造船以外は依然水面下を余儀なくされている。
部門別売上高の推移(対前年度指数)
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平成11年度 |
12年度 |
13年度 |
14年度 |
15年度 |
造船売上 |
87.8 |
96.2 |
99.8 |
107.9 |
104.3 |
造船以外 |
89.3 |
100.4 |
104.7 |
97.4 |
99.7 |
計 |
89.1 |
99.2 |
102.3 |
102.3 |
101.8 |
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注)1. |
資料出所:平成12〜16年度日造協実態調査 |
2. |
本表は、各年調査の集計データをつなぎ合わせたもの。集計対象としたサンプル及びサンプル数は、各年毎にまちまちである。 |
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業態別に造船売上をみると、好調な船舶受注を反映し構内企業と兼業企業の伸びが目立っているが、構外企業は微増に止まっている。海外調達を含め資材調達の多様化が進んでいることも一因と考えられる。
業態別造船売上高の推移(対前年度指数)
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平成11年度 |
12年度 |
13年度 |
14年度 |
15年度 |
構内企業 |
87.2 |
95.2 |
108.9 |
103.7 |
107.0 |
構外企業 |
83.3 |
103.2 |
106.5 |
98.0 |
101.9 |
兼業企業 |
90.1 |
92.5 |
92.4 |
116.0 |
104.0 |
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注)1. |
資料出所:平成12〜16年度日造協実態調査 |
2. |
本表は、各年調査の集計データをつなぎ合わせたもの。集計対象としたサンプル及びサンプル数は、各年毎にまちまちである。 |
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●仕事量増加/社内人員は横這い
造船部門の売上に限れば、昨年調査が約8%、今回調査が4.3%と比較的大きな伸びを示している一方で、人員数に関しては社内人員(技術・工員数)は全体で、5年前との比較で-1.1%とわずかながら減少している。平成15年は若干の増加を示しているが、ここ数年続いている社内人員の削減傾向は変わっていないとみてよい。
これらのことから推定されることは、ここのところ急増した船舶建造量の増加(仕事量の増加)への対処は、(1)下請・外注等社外工の活用、(2)残業増などで対応していると推定される。また、仕事量増加にともなって、アイドルの発生が抑えられ稼働率が向上していることも一因と考えられよう。
人員数の推移
注)1. |
資料出所:平成12〜16年度日造協実態調査 |
2. |
本表は、各年調査の集計データをつなぎ合わせたもの。集計対象としたサンプル及びサンプル数は、各年毎にまちまちである。 |
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●拡大する製造現場の協力企業依存
造船業全体の人員数は長期減少傾向にある一方、協力企業への依存度は年々上昇している。平成8年までは造船所本工数と社外工数はほぼ拮抗して推移してきたが、その後ここ7年間は徐々にその差が拡大し現在では6対4から7対3の割合で社外工比率が高まっている。
主要造船所従業員の推移
●日造協企業の半数に社外工
今回調査に回答をいただいた企業376社の中で、人数の多寡に関わらず社外工を抱えている企業は、48%(181社)にのぼり全体の約半数近くをしめている。1社平均の人員数は38名で、自社の技術員・工員数の平均35.6名とほぼ同数に近い。また、経年推移についてみれば、毎年の調査のサンプル企業が一致していないため正確な比較はできないが、社外工(協力事業者)を抱える企業の割合が平成10年以後ずっと50%前後で推移しているのに対し、1社平均の社外工数は漸増している。
特に今回調査では1社当り平均で前年比2倍強に増加している。集計に採用したサンプル数等の違いによる誤差を考慮する必要はあるが、多少の偏りを想定しても前年比で50%以上程度は増加している可能性は高い。各企業とも仕事量の増加分を社外工の活用で埋め合わせていることが伺える。
社外工数等の推移
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回答企業数 |
協力会社(社外工)を有する企業 |
平均の社外工数 |
平成10年調査 |
581社 |
261社(44.9%) |
- |
11年調査 |
582社 |
278社(47.8%) |
12.3人 |
12年調査 |
567社 |
274社(48.3%) |
15.7人 |
13年調査 |
508社 |
242社(47.6%) |
14.8人 |
14年調査 |
478社 |
244社(51.0%) |
16.0人 |
15年調査 |
459社 |
242社(52.7%) |
18.3人 |
16年調査 |
376社 |
181社(48.1%) |
38.6人 |
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注)1. |
資料出所:平成12〜16年度日造協実態調査 |
2. |
本表は、各年調査の集計データをつなぎ合わせたもの。集計対象としたサンプル及びサンプル数は、各年毎にまちまちである。 |
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●切迫する技能者の世代交代
日造協に所属する会員企業技能者の年齢構成をみれば一目瞭然であるが、今後数年内に半数近い技能者が世代交代年齢に達する。ここ1〜2年で若干の新旧世代交代が進んだが、団塊世代(現在55〜57歳)が60歳の定年年齢に到達する2007〜9年頃が世代交代のピークと予想されている。2007年問題といわれている労働力の逼迫危機は造船協力業にとって他業界よりも更に切実といえるかもしれない。
日造協会員所属事業所従業員の年齢階層別構成割合の推移
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平均年齢 |
年齢階層別構成比 |
29歳以下 |
30〜39歳以下 |
40〜49歳以下 |
50〜59歳以下 |
60歳以上 |
平成11年6月 |
45.5歳 |
14.7% |
13.2% |
19.1% |
33.7% |
19.3% |
12年6月 |
45.7歳 |
14.2% |
13.4% |
17.7% |
35.3% |
19.4% |
13年6月 |
45.8歳 |
13.9% |
14.4% |
17.1% |
34.0% |
20.6% |
14年6月 |
45.1歳 |
15.4% |
15.6% |
16.6% |
31.9% |
20.5% |
15年6月 |
44.8歳 |
19.8% |
15.8% |
17.8% |
32.2% |
14.4% |
16年6月 |
45.0歳 |
19.2% |
16.9% |
17.2% |
31.3% |
15.6% |
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注)資料出所:日造協共済加入データ
●求人環境いくぶん改善も楽観できず
調査表採用企業数420社のうち「採用予定数を充足するくらいの応募はある」が149社と全体の35.5%を占めている。「応募者が採用予定数を上回ることが多い」25社(6%)と合わせると、全体の約42%に達しており、技能者、作業員の採用環境は数年前に比べいくぶん改善している。
とはいえ、「応募者が採用予定数に達しないことが多い」企業も74社(17.6%)と2割近くに達する。国全体の有効求人倍率が1倍を下回る雇用状況にもかかわらず、造船協力企業では必ずしも順調に人材補給ができているとはいい難い。今後わが国の労働人口が右下がりに移行することは既定の事実であり、今後2007年から始まる団塊世代の大量リタイアを控えて、業界の求人環境は楽観できない。
技術員・工員募集への応募状況(全体)
●小規模企業には依然厳しい採用環境
採用環境を規模別にみると、「応募者が採用予定数を上回ることが多い」「採用予定数を充足するくらいの応募はある」を合わせた合計が、「51人以上」の区分で約58%あるのに対し、「10人以下」では約27%数以下になっている。「10人以下」企業はここ数年間、人の採用それ自体が皆無の企業が多数あることも「分からない」「無回答」が多い理由であり一概に断定はできないが、小規模企業は相対的に依然厳しい採用環境にあると推測される。
●一部地区で求人難も
地域別では、中国地区の求人難が目立っている。「応募者が採用予定数に達しないことが多い」と回答した企業が約27%(145社中39社)と他地区に比べて突出しており、「応募者が採用予定数を上回ることが多い」「採用予定数を充足するくらいの応募はある」を合わせた合計は約34%止まっている。
中国地域は国内最大の造船集積地であり、周辺地域を含め、造船会社が多数立地していることと併せ、これら殆どの造船会社が大量の受注残を抱えフル操業状態であることなど、人材の需要が極めて旺盛なことが主な理由としてあげられよう。
技術員・工員募集への応募状況(企業規模別)
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調査表 提出企業数 |
応募者が 採用予定数に
達しないことが多い |
採用予定数を
充足する位の 応募はある |
応募者が 採用予定数を
上回ることが多い |
分からない |
無回答 |
規模別 |
10人以下 |
78社 |
11.5% |
20.5% |
6.4% |
37.2% |
24.4% |
11〜25人 |
122社 |
14.8% |
36.9% |
6.6% |
18.9% |
23.0% |
26〜50人 |
92社 |
25.0% |
38.0% |
6.5% |
19.6% |
10.9% |
51人以上 |
84社 |
19.0% |
53.6% |
4.8% |
10.7% |
11.9% |
規模不明 |
44社 |
18.2% |
18.2% |
4.5% |
11.4% |
47.7% |
地域別 |
北海道 |
18社 |
11.1% |
11.1% |
11.1% |
27.8% |
38.9% |
関東 |
48社 |
4.6% |
43.8% |
6.3% |
22.9% |
12.5% |
中部・近畿 |
115社 |
12.2% |
41.7% |
6.1% |
18.3% |
21.7% |
中国・四国 |
145社 |
26.9% |
31.0% |
2.8% |
19.3% |
20.0% |
九州 |
94社 |
12.8% |
35.1% |
9.6% |
20.2% |
22.3% |
全体 |
420社 |
17.6% |
35.5% |
6.0% |
20.0% |
21.0% |
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●設備投資は全体として横這い
過去1年間(15年度)に設備投資をした企業は、構外・兼業企業を合わせた271社のうち153社(56.5%)であった。
過去の設備投資のデータと今回調査の集計データとでは、サンプル(企業)が一致していないので、確度の高い比較はできないが、集計した数値から見る限り、例年に比べて落ち込んでいるわけではないものの、目立って上向きということでもなく、せいぜい横這とみるのが妥当なところであろう。
設備投資の年別比較
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回答企業数 |
設備投資をした企業数・割合 |
1社平均設備投資額(百万円) |
構外企業 |
兼業企業 |
計 |
平成9年調査 |
379社 |
237社(62.5%) |
38.8 |
36.6 |
37.8 |
10年調査 |
379社 |
226社(59.6%) |
74.4 |
23.3 |
43.4 |
11年調査 |
410社 |
211社(51.5%) |
36.4 |
23.3 |
28.4 |
12年調査 |
424社 |
195社(46.0%) |
43.5 |
19.3 |
26.9 |
13年調査 |
354社 |
190社(53.7%) |
42.6 |
26.1 |
30.9 |
14年調査 |
405社 |
186社(45.9%) |
43.2 |
15.6 |
25.5 |
15年調査 |
333社 |
168社(50.5%) |
34.5 |
14.9 |
22.3 |
16年調査 |
271社 |
153社(56.5%) |
37.2 |
21.5 |
26.5 |
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注)1. |
資料出所:平成9〜16年度日造協実態調査 |
2. |
本表は、8年分の調査をつなぎ合わせたもので、集計対象としたサンプル及びサンプル数は、各年毎にまちまちである。
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