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1. アンケートの目的
アンケート「コメディカルの人体解剖実習についての実態調査」
 
調査委員会
佐藤巌、加藤征、大谷修、松村讓兒、平田和明
 
1. アンケート調査の背景と目的
 コメディカルの解剖実習について、日本解剖学会および篤志解剖全国連合会では、過去数回にわたる全国調査を行って参りました。医療技術者養成施設を対象にした平成9年の調査、医学部・歯学部の解剖学教室を対象にした平成10年に行われた調査、平成15年には篤志解剖全国連合会からコメディカル学会・協会、コメディカル各養成機関を対象に、平成16年には日本解剖学会コメディカル教育委員会から解剖学教室を対象に、アンケート調査が行われ、全国の解剖学教室でコメディカルのための解剖学実習がすでに広範に行われている状況、またコメディカル教育機関でも解剖学実習への強い期待のあることが明らかになりました。
 しかしコメディカルの解剖学教育の要望に応えるには、解決すべきさまざまな問題点があり、解剖学教室の人的、経費的負担がすでに限界に近いこと、知識とマナーの両面で十分な事前教育を行うべきこと、献体者および遺族等からコメディカル教育についての十分な理解を得ることなどが指摘されております。コメディカル教育機関からは、解剖学教室がどの程度の解剖学実習を引き受けてくれるのか、声も寄せられております。
 そこで、日本献体協会・篤志解剖全国連合会では、実情を踏まえ、コメディカル解剖学教育について全国の解剖学教室でのとりくみの現状と可能性の情報を集約し、報告書として公開するための実態調査を行うことに致しました。
 
医学部(送付数80、回答数56、回答率70%)
歯学部(送付数27、回答数23、回答率85%)
 
平成16年8月10日
コメディカルの人体解剖実習についての実態調査(依頼)
 コメディカルの解剖実習についての現状および関係者の考え方について、日本解剖学会および篤志解剖全国連合会では、過去数回にわたる全国調査を行って参りました。医療技術者養成施設を対象にした平成9年の調査、医学部・歯学部の解剖学教室を対象にした平成10年に行われた調査の結果は、解剖学雑誌に報告されております。また平成15年には篤志解剖全国連合会からコメディカル学会・協会、コメディカル各養成機関を対象に、平成16年には日本解剖学会コメディカル教育委員会から解剖学教室を対象に、アンケート調査が行われ、その結果の一部は、篤志解剖全国連合会の実務担当者研修会などで報告されています。
 これらのアンケート調査により、全国の解剖学教室でコメディカルのための解剖学実習がすでに広範に行われている状況、またコメディカル教育機関でも解剖学実習への強い期待のあることが明らかになりました。その要点を以下に列挙します。
1)剖出を伴わないコメディカルの解剖学(見学)実習について
・解剖学教室の90%以上がすでに行っている。
・費やす時間は平均29時間程度。
・コメディカル1学科(学校)あたりの実習時間は8時間程度。
・コメディカル教育機関からの要請に対し83%が条件次第で引き受けている。
2)剖出を伴うコメディカルの解剖学実習について
・解剖学教室の20%がすでに行っている。
・コメディカル教育機関からの要請に対し45%が条件次第で引き受けている。
 しかしコメディカルの解剖学教育の要望に応えるには、解決すべきさまざまな問題点があり、とくに解剖学教室の人的、経費的負担がすでに限界に近いこと、また知識とマナーの両面で十分な事前教育を行うべきこと、献体者および遺族等からコメディカル教育についての十分な理解を得ることなどが指摘されております。その一方コメディカル教育機関からは、解剖学教室がどの程度の解剖学実習を引き受けてくれるのか、といった戸惑いの声も寄せられております。
 日本篤志献体協会・篤志解剖全国連合会では、このような期待と実情を踏まえ、コメディカル解剖学教育について全国の解剖学教室でのとりくみの現状と可能性についての情報を集約し、報告書として公開するための実態調査を行うことに致しました。今回の実態調査にご回答頂いた内容については、公開することを前提としておりますので、差し支えのある部分については回答を保留して下さるようお願い致します。
財団法人日本篤志献体協会
理事長 内野滋雄
篤志解剖全国連合会
会長 熊木克治
 
参考資料
1)外崎昭、他:医療技術者養成機関における人体関連教育に関する実情調査. 解剖学雑誌, 72: 475-480 (1997)
2)外崎昭、渡部皓:アンケート調査「コメディカル教育への参加・協力の現状」の集計結果について. 解剖学雑誌, 74: 379-392 (1999) 医療技術者養成機関における人体関連教育に関する実情調査(平成9年実施)
 
 
 
 







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