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はじめに
 現代に生きる私たちは、あり余る衣・食・住に恵まれて豊かな暮らしをしています。地球の誕生は約46億年前で、その地球上に人類が現れたのは数百万年前といわれていますが、人間が今のように豊かに暮らせるようになったのは、わずか2〜300年前からのことです。
 この豊かな生活は科学技術の力によって大きく支えられてきましたが、地球に何億年もかかって蓄えられた資源をわずか数百年の間に使い果たそうとしており、しかもそれが私たちの環境悪化を招き、このままいけば人類の生存さえ脅かされかねない状況になっています。
 日本では昭和30年代に工業の急速な発展によって化学工場等の周辺で深刻な公害問題に直面しました。しかしそのような地域的公害問題は化学、機械、電気などの総合的科学技術によって次々に解決され、美しい環境によみがえらせることができました。今また地球規模の環境問題が叫ばれるとき、日本の科学技術の発展は全世界から期待を寄せられています。
 今日では、科学は多くの専門分野に細分化されていますが、それぞれの人間の探求心を満たしてくれる広大な広がりをもっています。そして科学の分野では本を読んで理解するだけでは不十分で、実験をして体験することが大切です。エジソンのような有名な発明家でも、学校での成績はあまり優れず、自分の手で新しい物をつくり出すことに異常な執念をもって成功したと聞いています。
 この本には科学技術の第一歩と言うべきいくつかの実験の指針が書かれていますので、一つでも二つでも体験して科学の不思議、面白さを知って頂きたいと思います。そして、この豊かな暮らしがいつまでも続くことに貢献できる人間に育ってゆかれることを切望します。
 
磁気の特性を探り、電気を作ろう!
「電気と磁気の関係を知ろう!」
 電気と磁気は内密な関係にあります。すなわち電気に正、負の極があるように磁気にはNとSの極があり、それらの周囲に似たような電解や磁界を形づくります。次の実験で電気や磁気の特性を理解しましょう。
 
目的 磁力が働いている空間すなわち磁界内の磁力線の模様を観察し、磁気の特性を調べる。
 
準備するもの
・棒磁石 ・U字型磁石 ・丸磁石
・鉄粉又は砂鉄 ・クリップ ・鉄くぎ
 
手順
(1)棒磁石の同種の極を近づけると反発しあうことを確認する。
 
 
(2)棒磁石の異種の極を近づけると引き寄せあうことを見る。
 
 
(3)ガラス板上に次の4つの配置で棒磁石及びU字型磁石を置き、それに鉄粉(又は砂鉄)を薄く均一にまき、鉄粉のえがく模様を観察する。
a. 1本の棒磁石を置いた場合
 
 
b. 1個のU字型磁石を置いた場合
 
 
c. 2個の棒磁石の異種の極を向き合わせて置いた場合
 
 
d. 2個の棒磁石の同種の極を向き合わせて置いた場合
 
(4)鉄やニッケル片(釘やクリップ)に棒磁石を近づけて置くと、鉄やニッケル片が一時的に磁石に変わることを確認する。(磁化又は磁気誘導という)
 
考察
 手順(4)で示したそれぞれの場合、鉄粉の模様を磁力線としてとして書きあらわし、磁気の特性を考察する。
 
応用
(1)地球もひとつの大きな磁石である。その磁力線の模様を描いてみよう。
(2)方位磁針をガラス板上に置き、棒磁石やU字型磁石をいろんな方向から近づけて、方位磁針の針の動きを調べよう。







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