大坂から北海道
天保山風景図
狩野永泰筆 大阪歴史博物館蔵
江戸時代後期
「天下の台所」と呼ばれた大坂へ出入りする北前船などが連なって描かれ、活気に満ちた様子をみることができる。
江戸時代〜明治時代、北前船は、この大坂から瀬戸内〜山陰〜北陸〜東北〜北海道まで往復した。この「西廻り」航路は、大量の物資を運べる船の時代の大動脈であり、各地の寄港地でも、売買が行われた。
この他、大坂〜江戸間を行き来した「菱垣廻船(ひがきかいせん)」も活躍していた。
引札(木版画)
北国筋諸問屋 大阪西横堀 辰巳久左衛門
加賀市 北前船の里資料館蔵
明治時代か
引札(ひきふだ)とは現在の宣伝用チラシであるが、今とは違い手刷りの版画などで美術的にも優れたものが多い。一見きれいに見えるが、瞬時に役割を終える今のチラシにない魅力がある。
この大阪商人の引札は、北前船によって加賀へ伝わったものと思われる。北前船主が多かった加賀には、北前船の各地の寄港地の引札が今も数多く残っている。
引札(木版画)
萬問屋 備中玉島港中買町 井上栄三郎
加賀市 北前船の里資料館蔵
明治時代か
瀬戸内海の玉島の商人が出した引札で、北前船によって加賀に伝わったと思われる。当時の玉島港のにぎわったようすもうかがえる。
引札(木版画)
萬問屋 備中寄島港 林幸太郎
加賀市 北前船の里資料館蔵
明治時代か
瀬戸内の寄島港の商人の出した引札で、北前船によって加賀に伝わったと思われる。寄島港の当時のようすも知ることができる。