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(4)道路交通について
 
(1)道路の現況・課題
 「道(みち)」は地域住民の生活をサポートし、様々なサービスを提供するためのツールとして、欠かせない存在になっています。
 また、災害などの非常事態にも緊急物資の輸送路という一面を担ったり、水道や電気などのライフラインの収納スペースである道路は、まさに住民生活の「生命線」と言っても過言ではありません。
 佐賀県の道路に、今、いったい何が求められているのでしょうか。
 一つは、全国的に遅れをとっている「道路整備率」です。この道路整備率は道路の混雑状況や渋滞状況を表す一つの指標で、全国平均が53・7%に比べ佐賀県は45・6%(平成14年度末)と低い値となっていますが、これは県下全体を見たときに、よその都道府県より道路が込み合っているということなのです。
 
佐賀県の将来道路網図
(拡大画面:315KB)
 
 これは可住地面積が広く、県内のいろいろなところに居住地が点在する分散型の都市構造を有し、人・モノ・情報の交流を道に頼っている佐賀県にとって、経済活動や余暇活動に対して大きなマイナス要因となっています。
 もう一つは、健康ブームもあいまって道を歩く人が増えたり、また高齢社会という社会背景を受けて声高に提唱されているのが「交通安全」です。
 これは「安心して道を歩きたい」、「使い勝手のいい道路であって欲しい」、「歩道と車道を分離することでスムーズな走行をしたい」、など毎日使う道路の機能向上を目指した住民の切なる願いの現れです。
 
(2)道路整備への取組み
 このため佐賀県では、この二つの課題に対して「広域・高速道路網の形成」と「交通安全事業の推進」に重点的に取り組むこととしています。
 この広域・高速道路網を形成しているのが、東西軸として「西九州自動車道」、「九州横断自動車道」、「有明海沿岸道路」、南北軸として「九州縦貫自動車道」、「佐賀唐津道路」「国道498号」です。
 この広域・高速道路網の完成により、空の玄関口である有明佐賀空港を始め海外からのコンテナ貨物の取扱量の伸びが著しい伊万里港などの県内有数の人流・物流の拠点を連絡し、分散している各都市間を1時間以内(県内主要都市間55分構想)で結ぶことで、地域一体となった振興や活性化を図ることができます。
 またこの広域・高速道路網により、一般道路の負荷が軽減されるため、日常生活で使っている道路においてもスムーズな走行ができるようになり、物流などのサービスが飛躍的に向上すると予測しています。
 さらには、歩行者の視点から見た人にやさしく、あらゆる人が使えるような「歩道の整備」にも積極的に取組み、人家連坦地区や小学校、中学校の人が集まりやすいところを中心に整備を進めているところです。
 これにより、モノや人が発生するところの安全性を確保することで、スムーズな車の流れが確保され、新たな事業の効果が発現できると期待をしているところです。
 
(3)路線バス・タクシーの概況
 県内の乗り合いバス事業は、自家用車の普及などにより、輸送人員が年々減少しており、平成14年度の輸送人員は、1032万人と、ピーク時の昭和42年度の約6分の1に減少しています。
 
乗合バス輸送人員の推移
出典「九州運輸要覧(H15年度版)」
 
 
 しかしながら、乗り合いバスは地域住民、とりわけ高齢者や学童などの交通弱者にとって最も身近な公共交通機関として重要な役割を果たしており、県は、国及び市町村と連携して路線バス運行費補助の財政支援措置を講じてきたところです。
 道路運送法の改正(施行は平成14年2月)により、乗り合いバス事業に係る需給調整規制が廃止され、事業の参入、退出が自由化されたことに伴い、平成13年4月から、国において、運行費補助に関する制度の見直しが行われ、広域的幹線的路線の維持を図るための措置が講じられています。
 県においても、国の補助対象外となる路線等のうち、一定の輸送量のある標準的な区間について、新たに市町村との協調補助により運行費補助を講じています。
 タクシーについては、ドア・ツー・ドアの機動的、個別的輸送機関として県民生活に定着しているものの、輸送人員については、ピーク時からかなり減少し、ここ数年は横這いが続いています。
 そのため、各事業者においては、高齢社会の到来や障害者の社会参加等の多様化する利用者ニーズに対応するため、介護タクシー導入、禁煙タクシー、高齢者に対する割引運賃の設定など、利用促進に向けた創意工夫とサービス向上により、利用者の増加が図られているところです。
 
(5)鉄道について
 
(1)概況
 佐賀県内の鹿児島本線、長崎本線をはじめとするJR5路線(202km、58駅)の利用者は、年間約3300万人を数え、またその半数以上が通勤・通学者であり、交通手段が多様化した今日においても、最も重要かつ日常生活に密着した公共交通機関となっています。
 また、この他に第三セクター鉄道の甘木鉄道と松浦鉄道の2路線があります。
 
JR長崎本線
 
(2)今後の鉄道整備
 鉄道は、大量輸送や定時性、安全性とともに、省エネルギーや環境負荷の低減の面でも優れており、こうした特性を活かしながら、地域間交流の促進と県土の均衡ある発展を図るため、今後とも、利便性の向上、複線化や電化による高速化、輸送量の増大を実現していくこととしています。
 また、九州と本州を結ぶ背骨の重要な部分である九州新幹線鹿児島ルートにおいて、本県区間を含む博多・船小屋間が平成13年6月に着工し、平成22年度全線完成を目指し整備が行われています。
 全線整備後は、九州地域の産業、文化、生活の一体的発展や広域的な交流の促進に寄与し、さらには新鳥栖駅が設置されることで、本県を取り巻く交通の利便性が向上することにより、本県の立地条件が高まることが期待されます。
 
3 佐賀県の観光について
(1)概況
 
 佐賀県は、全国的に有名なものから、知名度は低いが佐賀ならではの独創的なものまで、多彩で魅力あふれる観光資源を有しています。
 例えば、国内最大級の木造復元建物として昨年8月に開館した、日本の近代化に大きく貢献した「幕末・維新期の佐賀」を体感することができる佐賀城本丸歴史館をはじめとして、「吉野ヶ里歴史公園」として現在開園している我が国最大級の弥生時代の環濠集落跡「吉野ヶ里遺跡」、豊臣秀吉ゆかりの「名護屋城跡」、「佐賀の七賢人」の史跡など、数多くの歴史的文化遺産や施設があります。また、日本三大松原の一つで、美しい海岸線を有する「虹の松原」、日本一の干満差を持つ有明海の「干潟」などの自然、日本三大美肌の湯の一つである「嬉野温泉」、肥前風土記でも紹介され、1200年以上の歴史を有する「武雄温泉」など、訪れた人にやすらぎを感じさせる「温泉」、世界的なブランドとして有名な「伊万里・有田焼」や茶人の心を引きつけてやまない「唐津焼」などのやきもの、「有田陶器市」、「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」、「唐津くんち」などの祭り・イベント、「佐賀牛」、「呼子のイカ」、「竹崎カニ」などのグルメ等、恵まれた自然と歴史を背景としたきらりと光る数多くの観光資源を有しています。
 さらに、鉄道や高速自動車道などの交通網の発達に加え、有明佐賀空港の開港により、東京、大阪といった大都市圏から直接観光客を迎えることができるようになり、本県観光のポテンシャルは高まっています。
 これら観光資源を活かして本県観光の振興に取り組んでいますが、全国的な認知度の低さなどによる観光客数の停滞傾向を打破するため、佐賀県では、平成13年度から平成15年度までの3年間、「観光県さが」の認知度を高め、本県への観光客誘致を拡大するため、行政・民間が一体となった「観光県さが」ダイナミックキャンペーンを展開してきました。こうした観光振興策などにより、本県の観光客数は、平成15年で約3200万人(対前年比101.1%)と3年連続増加となりました。また、宿泊者数は、平成15年で約270万人(対前年比100.4%)、観光消費額は、平成15年で約994億円となり、全国的な減少傾向が続く中、わずかではありますが、それぞれ6年ぶりに増加に転じました。
 
佐賀城本丸歴史館
 
県内観光客数と観光消費額の推移
出展「佐賀県観光客動態調査(H15年)」
 
 
(2)今後の取組
 
 本県には、21世紀の観光に求められている「体験」や「本物との出会い」、「やすらぎ」といったニーズに応えられる観光資源が十分に備わっており、今後「観光県」として大きく発展することができると考えています。
 平成17年4月からは九州観光推進機構が発足し、九州7県の行政と民間が一体となって、国内大都市圏や東アジアに向けたPR、誘客事業を展開していくこととなりました。こうした動きのなかで、九州域内で、「佐賀県」を選択してもらう取組が必要であると考えています。
 そこで、平成16年度から観光地の「磨き上げ」に重点を置いた「観光さが魅力アップキャンペーン」や観光基盤の整備など各種事業に取り組んでいます。
 また、今後は、佐賀県の目指すべき方向性ともいうべき観光戦略として、2007年以降に団塊の世代が大量退職期を迎えること等を視野に入れた「ファミリーツーリズム(TM)」(親・子・孫による三世代旅行の適地づくり)の推進により、宿泊観光客の増加を図ることとしています。
 
 
 
佐賀県観光課 提供







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