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2 新北九州空港の整備状況等
 
 新北九州空港は、圏域200万人の広域・高速交通手段として、また、地域経済の浮揚を図るため、大型航空機の就航が困難な北九州空港の代替空港として、周防灘沖合の北九州市地先水面に、平成17年度末の開港を目指して着々と工事が進められている。
新空港は、国が設置管理する第二種空港で、関門航路等の浚渫土砂により、長さ4125m、幅900m、総面積373haの人工島が造成される。基本計画では、そのうち160haに2500mの滑走路、エプロン、ターミナルビル等の施設が建設されることになっている。
 
建設中の新北九州空港
平成16年10月22日撮影
 
 第1工区では、滑走路、誘導路、エプロン整備工事が進められ、管制塔、旅客ターミナルビル等の建築工事も開始している。滑走路北側にあたる第2工区では、平成16年度より用地造成工事が行われている。また、苅田工区では空港関連用地(6ha)の造成工事が始まっている。
 さらに、航空機に滑走路への進入経路を示すための進入灯工事が、南北に走る滑走路の両端で進捗している。
 これらとともに空港島内への上下水道、電力、通信などの供給設備の接続も着々と進められ、開港に向けていよいよ佳境を迎えることとなる。
 
建設中の新北九州空港連絡橋
平成16年3月27日撮影
 
 空港の建設と同時に空港島と陸地を結ぶ新北九州空港連絡道路の整備が進められ、空港ターミナルビル前から東九州自動車道苅田インターチェンジ(仮称)に直結される。海上の連絡橋の長さは約2・1kmであり、完成すれば、九州・沖縄では最長となる。尚、平成16年10月より、工事車両の使用が開始されている。
 また、さらに利用者の利便性を高めるため、高速性・定時性に優れ、大量に人が運べるアクセス鉄道の導入についての検討も既に始まっている。
 新空港の特徴としては、ひとつは他の海上空港と比較して、非常に安価に建設が進められていることである。新空港は関門航路等の浚渫土砂の処分場としてでき上がる人工島を空港用地として利用するという「港湾整備事業」と「空港整備事業」の合併事業として進められている。
 また、新空港建設地周辺は水深が7mと浅いことから、拡張の容易さも特徴のひとつである。将来の需要の動向を見極めながらの拡張も期待できる。
 さらに、海上空港としての最大のメリットに航空機騒音の影響が少ないことがある。陸側の住宅地への影響は極めて少ないと考えており、深夜・早朝便の運航など24時間運用が可能である。
 
浅い静穏海域に立地(水深-7.0m)
 
3 新北九州空港における路線誘致
 
 現在、経済情勢の低迷、航空会社の合理化の進展、競争の激化など、激動する航空情勢の中、新空港開港時に多くの路線の開設を実現していくため、新北九州空港及び北九州地域が有するポテンシャルを航空会社や航空関連事業者などにアピールするなど、積極的に誘致活動に取り組んでいる。
 
 国内路線のうち、東京便については、日本航空が現北九州空港で現在1日5便運航しており、また、新規航空会社のスターフライヤーが6便の羽田枠を確保したことにより、今以上の便数が確保できる環境になった。他の航空会社も、新北九州空港圏域の航空需要に注目し、興味を示している。
 その他の国内路線については、現在、各航空会社に就航の働きかけを行っているところであり、東京便以外の地方路線の誘致、航空需要の喚起等を目的とした、鹿児島、島根、高知、松山などへの国内チャーター事業などを行っている。
 
 また、近年、経済・産業面でアジアの躍進は著しい。ダイナミックに成長するアジアに対して、北九州市が国際競争力を高めアジアを牽引する拠点都市となるためには、産業・学術・文化など高度な都市機能の強化を図るとともに、海外の諸都市との交流や連携を深め、人、モノ、情報の国際的なクロスポイントとなることが重要である。
 そこで、アジアとの交流を円滑に支え国際競争力を強化していくため、国際路線の開設に取り組んでいる。
 
 国際路線については、定期便就航に向けた実績づくりとして、現北九州空港を利用した国際チャーター事業の推進(平成16年度は、中国・韓国などに25便(片道べース)運航)、またアジアの各航空会社及び旅行代理店、物流事業者などに対して、路線誘致やトップセールスなどを実施している。
 一方、空港の国際化に向けて、税関・入管・検疫という、いわゆるCIQ機能などの受入れ体制の整備、24時間運用化など、様々な環境整備にも取り組んでいる。
 2006年3月の新空港開港時から国際路線を就航させるため、航空会社に対する継続的な路線誘致活動とともに、観光や産業振興などと一体となったセールス活動や需要創出に向けた取り組みを、今後さらに強化することとしている。







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