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1999/02/26 読売新聞夕刊
九州・山口の公営ギャンブル 不況に勝てず 自治体繰入金ゼロも
 
◆ファン拡大へ 「特別席」半額やグループ馬主制度
 九州と山口県の公営ギャンブル場の売り上げが、北九州市など一部を除いて大幅に落ち込んでいる。収益金の一部は運営する地元自治体の一般会計に繰り入れられ、大きな財源となっているが、繰入金がゼロになった所もある。不況に強いと言われてきたギャンブルだが、長引く景気低迷には勝てないようで、グループ馬主制度を導入するなど、ファン掘り起こしに懸命だ。
 九州・山口で、自治体や組合が運営するギャンブル場は、競輪、競艇各七、競馬三、オートレース二の計十九か所。
 「福岡ボート」(福岡市)の売り上げのピークは一九九一年度の千百二億円。その後は減り続け、九七年度は七百九十八億円。九〇年度、百三十一億円あった一般会計への繰入金は、九七年度には六十億円に減り、九八年度も同額の見込みだ。大分県中津市と大分県でつくる組合が運営する「中津競馬」では、七九年度に売り上げが百二十九億九千万円に上ったが、九七年度には四十二億四千万円に落ちた。
 売り上げ減で一般会計への繰り入れが出来なくなりそうなのが「飯塚オート」(福岡県飯塚市)と「山陽オート」(山口県山陽町)。飯塚オートは毎年度、十億―三十億円あった繰入金が、九八年度は初めてゼロになる見込み。「山陽オート」でも一時は十三億八千万円あった繰入金は九七年度はゼロ、九八年度も繰り入れなしの予定だ。
 ファン層拡大を狙って福岡ボートを運営する福岡市では、男性タレントをポスターやテレビCMに起用。四月からは特別観覧席(八百四十席)の料金二千円を半額にする。飯塚オートでは昨年四月、アイドル歌手グループの元メンバーの人気選手を招いて新人王決定戦を開催、四日間で通常の二倍、四万五千人を集め九億二千万円を売り上げた。しかし「あくまで起爆剤に過ぎず場外券売り場設置なども検討しなければ」(飯塚市公営競技事業部)と話す。
 中津競馬では一月、中津市内のショッピングセンター内に場外馬券売り場を設置。四月からは、仲間で金を出し合って馬主になる「グループ馬主制度」をスタートさせる。中津競馬組合では「いずれも、地方競馬では初の試み。何とかファンを増やしたい」と言う。
 他の公営ギャンブルが不振な中、北九州市が運営する門司競輪は九六年度百十五億七千万円、小倉競輪は九七年度四百三十億円、若松競艇は六百二十三億五千万円と、それぞれ過去最高の売り上げを記録した。場外車・舟券売り場の拡充や根強いファンが多いことが背景にあると見られる。
 月刊誌「競馬ゴールド」の大内都紀夫編集長の話「ここまで落ち込んだ背景には、中途半端でない、深い不況感がある。ファンを呼び戻すには、単独でレースを開催するだけでなく、他のレース場との交流を活発化させるなど、魅力あるレース構成などを考える努力が必要だろう」
 
 
 
 
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